2 / 16
2
しおりを挟む
くちゅ...ちゅっ....
「ん.....」
息がちょっと苦しい。でも凄く心地よいというか、気持ちが良いっていうか...
なんだろう、これ....
「んっ...ふ....」
艶っぽい声が聞こえる。艶かしい音が聞こえる。
意識が覚醒すると同時に目を開けると、至近距離に先輩の顔があった。
「んんっ!?」
「目が覚めた?良かった。」
見渡すと俺の部屋だった。
「ご家族はお買い物に出かけられたよ。今ここでは2人きりだ。」
「あ、そうなん.....いや、えっと...さっきって....」
「ごめん。抑えが効かなくて。どうしてもキスをしたくなって。嫌だった?」
やっぱり!? え!?なんで? 先輩が、俺にキス?
そういうこと?それとも別の意味が....?
「あの....いやじゃ、ないですけど....なんで....?」
「なんでだと思う?」
「えっと.....」
先輩が俺を見つめるその目は優しさ以外に熱を孕んでいた。
「そういう事....なんですか...?」
「そういう事、なんだ。君と一緒だよね?」
ああ、嬉しい。俺の気持ちに気づかれていた恥ずかしさよりも嬉しさが勝った。
じんわりと涙が滲み出す。
「先輩、大好き。」
「俺も大好き。もっかいキスしても良い?」
「はい。」
俺たちは長いことキスをし続けた。
「それで?晴れてお付き合いを始めたと。おめっとさん。で?」
「えっと、薬のこと話したら、あまり苦じゃないなら学生のうちは飲んでおいた方が良いって。」
「.......虫も殺せなさそうな顔してあの人も野獣ってことね。」
「へ?」
「あの薬、性欲を抑えるだけで、避妊効果は高くないから気をつけろってこと。」
「それって.....」
うわああっ、え、先輩と!?えっちぃことするの!?
「まああの先輩のことだから、避妊云々よりもお前が物欲しそうな顔してたら抑え効かないってことだと思うけど。」
ボソリと呟いたルクスの言葉はお花畑になっている俺の耳には届かなかった。
元は時々しか会わなかったが、付き合ってからはほぼ毎日一緒に下校する。
放課後デートももちろん忘れない。
ずっと一緒にいるとドキドキとムズムズでどうにかなってしまいそうだったけど、去り際に必ず俺が満足するまでキスをしてから別れてくれる。
付き合ってから相手の嫌なところが目につくようになるとか言うけど、少なくとも今のところはそんなこと全くない。むしろ好きが募っていく。
週末、先輩の家に遊びに行くことになった。
弟さんが居た。とは言っても、学校では彼も先輩なんだけど。ディーン先輩と言う。ヘンリー先輩に似た整った顔だが、愛らしさがある。俺らは女と言われたら信じるっていう顔だけど、ディーン先輩は可愛らしい男って感じだ。
ヘンリー先輩が事前に俺を連れてくるのを伝えていたらしく、ニヤニヤ顔で「うちの両親今日夜勤で朝まで帰ってこないんだよ。僕はご飯食べたら友達の家行ってくるから、ごゆっくり。」と宣った。
その意味が分からないほど子どもじゃない。
頭から蒸気が出てたんじゃないだろうか。
そんな様子を見てディーン先輩はクスクスと笑う。
「ディーン、からかうな」
「いいじゃん別に。僕が恋人連れてきたら同じことやっていいからさ。あ、今日ね、フライをいっぱい作ったんだ。牡蠣とか魚とか、トンカツとか。兄ちゃんは牡蠣好きでしょ?いっぱい、いーっぱい食べてね。」
「ディーン.....」
珍しく顔を赤くしつつ呆れ顔のヘンリー先輩。
俺には何か意味があったのか分からなかったけど、ディーン先輩がお料理出来る事は分かったよ。
食事は非常に美味しかった。油物で太りそうで心配だけど、今日くらいはいいでしょう。
そして事前の宣言通り、ディーン先輩は食器を片付けたらにこやかにいってきまーすと友達の家に向かった。
この家は俺とヘンリー先輩の2人きりになった。
「.....えっと.....部屋....行くか」
「は、い.....」
他人の手による2人きりというのはなかなか気恥ずかしくて、お互い言葉が少なくなる。
「エル....抱きしめても良い?」
「は、はい」
ベッドに座るなり先輩は俺を後ろから抱きしめた。
ああ、いい匂い。暖かくて優しくて、安心する。
「エル、本当は、そんなつもりなかったんだけど、ディーンのお膳立てのせいで頭がそういう頭になっちゃった。」
「先輩...?」
「ねえ、エル....。今日....良いかな?」
抱きしめている手に力が入っている。
何が良いのかって聞かなくても、分かる。
だって俺も同じ気持ちだから。
「先輩、俺の初めて貰ってくださいっ」
「ありがとう....」
そのまま後ろに倒れ込み、俺たちは深いキスをした。
「ん.....」
息がちょっと苦しい。でも凄く心地よいというか、気持ちが良いっていうか...
なんだろう、これ....
「んっ...ふ....」
艶っぽい声が聞こえる。艶かしい音が聞こえる。
意識が覚醒すると同時に目を開けると、至近距離に先輩の顔があった。
「んんっ!?」
「目が覚めた?良かった。」
見渡すと俺の部屋だった。
「ご家族はお買い物に出かけられたよ。今ここでは2人きりだ。」
「あ、そうなん.....いや、えっと...さっきって....」
「ごめん。抑えが効かなくて。どうしてもキスをしたくなって。嫌だった?」
やっぱり!? え!?なんで? 先輩が、俺にキス?
そういうこと?それとも別の意味が....?
「あの....いやじゃ、ないですけど....なんで....?」
「なんでだと思う?」
「えっと.....」
先輩が俺を見つめるその目は優しさ以外に熱を孕んでいた。
「そういう事....なんですか...?」
「そういう事、なんだ。君と一緒だよね?」
ああ、嬉しい。俺の気持ちに気づかれていた恥ずかしさよりも嬉しさが勝った。
じんわりと涙が滲み出す。
「先輩、大好き。」
「俺も大好き。もっかいキスしても良い?」
「はい。」
俺たちは長いことキスをし続けた。
「それで?晴れてお付き合いを始めたと。おめっとさん。で?」
「えっと、薬のこと話したら、あまり苦じゃないなら学生のうちは飲んでおいた方が良いって。」
「.......虫も殺せなさそうな顔してあの人も野獣ってことね。」
「へ?」
「あの薬、性欲を抑えるだけで、避妊効果は高くないから気をつけろってこと。」
「それって.....」
うわああっ、え、先輩と!?えっちぃことするの!?
「まああの先輩のことだから、避妊云々よりもお前が物欲しそうな顔してたら抑え効かないってことだと思うけど。」
ボソリと呟いたルクスの言葉はお花畑になっている俺の耳には届かなかった。
元は時々しか会わなかったが、付き合ってからはほぼ毎日一緒に下校する。
放課後デートももちろん忘れない。
ずっと一緒にいるとドキドキとムズムズでどうにかなってしまいそうだったけど、去り際に必ず俺が満足するまでキスをしてから別れてくれる。
付き合ってから相手の嫌なところが目につくようになるとか言うけど、少なくとも今のところはそんなこと全くない。むしろ好きが募っていく。
週末、先輩の家に遊びに行くことになった。
弟さんが居た。とは言っても、学校では彼も先輩なんだけど。ディーン先輩と言う。ヘンリー先輩に似た整った顔だが、愛らしさがある。俺らは女と言われたら信じるっていう顔だけど、ディーン先輩は可愛らしい男って感じだ。
ヘンリー先輩が事前に俺を連れてくるのを伝えていたらしく、ニヤニヤ顔で「うちの両親今日夜勤で朝まで帰ってこないんだよ。僕はご飯食べたら友達の家行ってくるから、ごゆっくり。」と宣った。
その意味が分からないほど子どもじゃない。
頭から蒸気が出てたんじゃないだろうか。
そんな様子を見てディーン先輩はクスクスと笑う。
「ディーン、からかうな」
「いいじゃん別に。僕が恋人連れてきたら同じことやっていいからさ。あ、今日ね、フライをいっぱい作ったんだ。牡蠣とか魚とか、トンカツとか。兄ちゃんは牡蠣好きでしょ?いっぱい、いーっぱい食べてね。」
「ディーン.....」
珍しく顔を赤くしつつ呆れ顔のヘンリー先輩。
俺には何か意味があったのか分からなかったけど、ディーン先輩がお料理出来る事は分かったよ。
食事は非常に美味しかった。油物で太りそうで心配だけど、今日くらいはいいでしょう。
そして事前の宣言通り、ディーン先輩は食器を片付けたらにこやかにいってきまーすと友達の家に向かった。
この家は俺とヘンリー先輩の2人きりになった。
「.....えっと.....部屋....行くか」
「は、い.....」
他人の手による2人きりというのはなかなか気恥ずかしくて、お互い言葉が少なくなる。
「エル....抱きしめても良い?」
「は、はい」
ベッドに座るなり先輩は俺を後ろから抱きしめた。
ああ、いい匂い。暖かくて優しくて、安心する。
「エル、本当は、そんなつもりなかったんだけど、ディーンのお膳立てのせいで頭がそういう頭になっちゃった。」
「先輩...?」
「ねえ、エル....。今日....良いかな?」
抱きしめている手に力が入っている。
何が良いのかって聞かなくても、分かる。
だって俺も同じ気持ちだから。
「先輩、俺の初めて貰ってくださいっ」
「ありがとう....」
そのまま後ろに倒れ込み、俺たちは深いキスをした。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】この契約に愛なんてないはずだった
なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。
そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。
数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。
身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。
生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。
これはただの契約のはずだった。
愛なんて、最初からあるわけがなかった。
けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。
ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。
これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
王弟の恋
結衣可
BL
「狼の護衛騎士は、今日も心配が尽きない」のスピンオフ・ストーリー。
戦時中、アルデンティア王国の王弟レイヴィスは、王直属の黒衣の騎士リアンと共にただ戦の夜に寄り添うことで孤独を癒やしていたが、一度だけ一線を越えてしまう。
しかし、戦が終わり、レイヴィスは国境の共生都市ルーヴェンの領主に任じられる。リアンとはそれきり疎遠になり、外交と再建に明け暮れる日々の中で、彼を思い出すことも減っていった。
そして、3年後――王の密命を帯びて、リアンがルーヴェンを訪れる。
再会の夜、レイヴィスは封じていた想いを揺さぶられ、リアンもまた「任務と心」の狭間で揺れていた。
――立場に縛られた二人の恋の行方は・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる