俺たちの恋事情

郗櫲乃

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俺はルクシアード・セルージュ。

男性体両性だ。とはいえ、男要素が強く、同じ男性体両性の親友のエルフォードと比べても声が少し低いし、筋肉も多い。顔つきは中性的な中でも男っぽい。彼は中身が男で、体は完全に中間部に位置地する両性だ。

時々俺は思う。羨ましいなって。

両性じゃなくて男なら、あるいはエルみたいに、もうちょっと愛らしい見た目だったら........俺の全てが中途半端で嫌になる。

きっとこの俺の口の悪さも影響してるんだろうな。

うちは男家族だからしょうがない。

でもまあ、そんなんだから、あんまり友人はいない。もちろん恋人だって。

エルがヘンリー先輩とずっとイチャコラしてたのを近くで見てたから、羨ましさとは別にこんなふうに愛してくれる人に出会いたいという憧れもあった。

そう、出会いが無い。これといった人もいない。

今日も今日とてため息が出る。


俺の今の職場は役場だ。
俺の部署は割と暇な時間も多い。必然と周りとのお喋りも多くなる。

「今日うちの子の誕生日会なんだ、皆来るか?」

「行きます行きます!!」

「行くよー」

「セルージュは?」

面倒だが、こういう時は適当に合わせるという方が良いだろうな。

「はい、行きま__」

「すんません、今日ダメです。僕、この子先約済みなんですわ。人と合わせる約束で。」

え? 誰? そんな約束知らない。

「君は友人かい?ならしょうがない。次回は是非とも祝いに来てくれ。」

「はーい、娘さんにおめでとうとお伝え下さい。」

「ああ、ありがとう!」

誰だ?

「よ。迷惑そうな顔してたから断ったけど、良いよな。」

「え、ああ、はい.....」

「その顔、誰だって顔だな。隣部署のティモル・ヴァーミリオン。一応同期。なんなら学校も一緒。同じクラスになったこと無いから覚えてないだろうけど。」

「あー...そう、なんだ。」

ティモル.....ヴァーミリオン.....思い出せないな。
むしろよく俺を覚えてるな....。

「ほら君の友人、エルフォード君?が一時期一部界隈で有名だったからさ、その隣の君も多少ね。」

あー....なるほど。そういう事か。

「ついでだし、予定ある?無いなら、本当にどっかいかないか?」

どうしようかな。助け舟出してくれたし、上司の娘の誕生日会よりは何十倍も良いか。

「良いぞ。どこ行く?飯か?」

「そうだな、良い店知ってんだ。チップはめっちゃ求められるけどね....」

「ふーん....分かった。」

チップを求められるなら変なサービスは無いな。

終業後、二人で食事に行く事になった。


「ここだ。」

「へぇー」

ちょっとお高そうなお店だった。

中も豪華でメニューを見ると凄く美味しそうだ。

「昔、家族のお祝いでよく来てた店なんだ。色んな人にも知ってもらいたくって。あ、お酒飲める?」

「ワインなら。」

「そっか。」

適当に注文して、会話を続ける。

「えっと、ルクシアードだっけ?ルクスって呼んで良い?俺もティムで良いからさ。」

「ああ、構わねえよ。」

「学生時代エルフォード君と仲良かったけど、君も同じなの?あ、答えたくないなら良いんだけど。」

こいつ結構ズケズケ聞くタイプか....面倒くさい...

「今面倒くさいって思ったっしょ~。ごめんて。」

こいつ....

「はぁ.....まあ、隠すことでもないからな。俺は若干男らしい両性。アイツみたいに可愛いくなくて悪かったな。」

「え?十分可愛いよ?」

即答されたその答えにドキリとした。

「コンプレックス?両性だからって、男らしくてはいけないって決まりは無いだろう?気に触ったら悪いけど、そうやって気にしてるの可愛いと思うけど。あと、思った以上に表情豊かでそれも可愛いと思うな。」

「...........それは言外に弄りがいがあると言っていないか?」

「言ってない、言ってない!!本心!! 君のお友達はさ、今の旦那様にずっとお熱で、周りなんて見えてなかったでしょ。だからかな、見た目は可愛いくても、心に響く物はなかった。でも君はさ、周りもよく見てるじゃん。やっぱり周りにも心を向けられると、こっちも心に響くんだ。俺さ、女の子や両性関係なく、ちゃんと周り見てる子が好みなの。」

好み....?

「............俺、今、口説かれてるってこと....?」

「....あ、いや。でも、本当はさ、俺、昔から仲良くなりたいって思ってたんだ。でも、接点もないからどうしようかと思ってるうちに卒業しちゃった。せっかく偶然同じ職場なのに、部署が違うから、また接点無し。今日は本当は凄く勇気出したんだからな!」

こいつは、図体もでかくて男らしいけど、なかなか可愛い性格をしているな。

俺は思わず笑ってしまう。

「ぷくく....んだよそれ...ふふふ、勇気、そっか、勇気か....ぷくく....」

「え!?今の笑う所あったか!?」

「いや、お前のギャップに笑っちまった。」

「ギャップ!?何と何について!?え!?」

「ふふ...はぁー、今日はありがとな。俺、友人とかも少ないから、今後は好きに話しかけてくれ。」

「ああ、うん! 今日はさ、お互いの事いっぱい知ろう!」

「りょーかい。」

ちょうど食事がやって来た。

美味しい食事を取りながら、俺たちは会話を楽しんだ。








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