5 / 16
L-1
しおりを挟む
俺はルクシアード・セルージュ。
男性体両性だ。とはいえ、男要素が強く、同じ男性体両性の親友のエルフォードと比べても声が少し低いし、筋肉も多い。顔つきは中性的な中でも男っぽい。彼は中身が男で、体は完全に中間部に位置地する両性だ。
時々俺は思う。羨ましいなって。
両性じゃなくて男なら、あるいはエルみたいに、もうちょっと愛らしい見た目だったら........俺の全てが中途半端で嫌になる。
きっとこの俺の口の悪さも影響してるんだろうな。
うちは男家族だからしょうがない。
でもまあ、そんなんだから、あんまり友人はいない。もちろん恋人だって。
エルがヘンリー先輩とずっとイチャコラしてたのを近くで見てたから、羨ましさとは別にこんなふうに愛してくれる人に出会いたいという憧れもあった。
そう、出会いが無い。これといった人もいない。
今日も今日とてため息が出る。
俺の今の職場は役場だ。
俺の部署は割と暇な時間も多い。必然と周りとのお喋りも多くなる。
「今日うちの子の誕生日会なんだ、皆来るか?」
「行きます行きます!!」
「行くよー」
「セルージュは?」
面倒だが、こういう時は適当に合わせるという方が良いだろうな。
「はい、行きま__」
「すんません、今日ダメです。僕、この子先約済みなんですわ。人と合わせる約束で。」
え? 誰? そんな約束知らない。
「君は友人かい?ならしょうがない。次回は是非とも祝いに来てくれ。」
「はーい、娘さんにおめでとうとお伝え下さい。」
「ああ、ありがとう!」
誰だ?
「よ。迷惑そうな顔してたから断ったけど、良いよな。」
「え、ああ、はい.....」
「その顔、誰だって顔だな。隣部署のティモル・ヴァーミリオン。一応同期。なんなら学校も一緒。同じクラスになったこと無いから覚えてないだろうけど。」
「あー...そう、なんだ。」
ティモル.....ヴァーミリオン.....思い出せないな。
むしろよく俺を覚えてるな....。
「ほら君の友人、エルフォード君?が一時期一部界隈で有名だったからさ、その隣の君も多少ね。」
あー....なるほど。そういう事か。
「ついでだし、予定ある?無いなら、本当にどっかいかないか?」
どうしようかな。助け舟出してくれたし、上司の娘の誕生日会よりは何十倍も良いか。
「良いぞ。どこ行く?飯か?」
「そうだな、良い店知ってんだ。チップはめっちゃ求められるけどね....」
「ふーん....分かった。」
チップを求められるなら変なサービスは無いな。
終業後、二人で食事に行く事になった。
「ここだ。」
「へぇー」
ちょっとお高そうなお店だった。
中も豪華でメニューを見ると凄く美味しそうだ。
「昔、家族のお祝いでよく来てた店なんだ。色んな人にも知ってもらいたくって。あ、お酒飲める?」
「ワインなら。」
「そっか。」
適当に注文して、会話を続ける。
「えっと、ルクシアードだっけ?ルクスって呼んで良い?俺もティムで良いからさ。」
「ああ、構わねえよ。」
「学生時代エルフォード君と仲良かったけど、君も同じなの?あ、答えたくないなら良いんだけど。」
こいつ結構ズケズケ聞くタイプか....面倒くさい...
「今面倒くさいって思ったっしょ~。ごめんて。」
こいつ....
「はぁ.....まあ、隠すことでもないからな。俺は若干男らしい両性。アイツみたいに可愛いくなくて悪かったな。」
「え?十分可愛いよ?」
即答されたその答えにドキリとした。
「コンプレックス?両性だからって、男らしくてはいけないって決まりは無いだろう?気に触ったら悪いけど、そうやって気にしてるの可愛いと思うけど。あと、思った以上に表情豊かでそれも可愛いと思うな。」
「...........それは言外に弄りがいがあると言っていないか?」
「言ってない、言ってない!!本心!! 君のお友達はさ、今の旦那様にずっとお熱で、周りなんて見えてなかったでしょ。だからかな、見た目は可愛いくても、心に響く物はなかった。でも君はさ、周りもよく見てるじゃん。やっぱり周りにも心を向けられると、こっちも心に響くんだ。俺さ、女の子や両性関係なく、ちゃんと周り見てる子が好みなの。」
好み....?
「............俺、今、口説かれてるってこと....?」
「....あ、いや。でも、本当はさ、俺、昔から仲良くなりたいって思ってたんだ。でも、接点もないからどうしようかと思ってるうちに卒業しちゃった。せっかく偶然同じ職場なのに、部署が違うから、また接点無し。今日は本当は凄く勇気出したんだからな!」
こいつは、図体もでかくて男らしいけど、なかなか可愛い性格をしているな。
俺は思わず笑ってしまう。
「ぷくく....んだよそれ...ふふふ、勇気、そっか、勇気か....ぷくく....」
「え!?今の笑う所あったか!?」
「いや、お前のギャップに笑っちまった。」
「ギャップ!?何と何について!?え!?」
「ふふ...はぁー、今日はありがとな。俺、友人とかも少ないから、今後は好きに話しかけてくれ。」
「ああ、うん! 今日はさ、お互いの事いっぱい知ろう!」
「りょーかい。」
ちょうど食事がやって来た。
美味しい食事を取りながら、俺たちは会話を楽しんだ。
男性体両性だ。とはいえ、男要素が強く、同じ男性体両性の親友のエルフォードと比べても声が少し低いし、筋肉も多い。顔つきは中性的な中でも男っぽい。彼は中身が男で、体は完全に中間部に位置地する両性だ。
時々俺は思う。羨ましいなって。
両性じゃなくて男なら、あるいはエルみたいに、もうちょっと愛らしい見た目だったら........俺の全てが中途半端で嫌になる。
きっとこの俺の口の悪さも影響してるんだろうな。
うちは男家族だからしょうがない。
でもまあ、そんなんだから、あんまり友人はいない。もちろん恋人だって。
エルがヘンリー先輩とずっとイチャコラしてたのを近くで見てたから、羨ましさとは別にこんなふうに愛してくれる人に出会いたいという憧れもあった。
そう、出会いが無い。これといった人もいない。
今日も今日とてため息が出る。
俺の今の職場は役場だ。
俺の部署は割と暇な時間も多い。必然と周りとのお喋りも多くなる。
「今日うちの子の誕生日会なんだ、皆来るか?」
「行きます行きます!!」
「行くよー」
「セルージュは?」
面倒だが、こういう時は適当に合わせるという方が良いだろうな。
「はい、行きま__」
「すんません、今日ダメです。僕、この子先約済みなんですわ。人と合わせる約束で。」
え? 誰? そんな約束知らない。
「君は友人かい?ならしょうがない。次回は是非とも祝いに来てくれ。」
「はーい、娘さんにおめでとうとお伝え下さい。」
「ああ、ありがとう!」
誰だ?
「よ。迷惑そうな顔してたから断ったけど、良いよな。」
「え、ああ、はい.....」
「その顔、誰だって顔だな。隣部署のティモル・ヴァーミリオン。一応同期。なんなら学校も一緒。同じクラスになったこと無いから覚えてないだろうけど。」
「あー...そう、なんだ。」
ティモル.....ヴァーミリオン.....思い出せないな。
むしろよく俺を覚えてるな....。
「ほら君の友人、エルフォード君?が一時期一部界隈で有名だったからさ、その隣の君も多少ね。」
あー....なるほど。そういう事か。
「ついでだし、予定ある?無いなら、本当にどっかいかないか?」
どうしようかな。助け舟出してくれたし、上司の娘の誕生日会よりは何十倍も良いか。
「良いぞ。どこ行く?飯か?」
「そうだな、良い店知ってんだ。チップはめっちゃ求められるけどね....」
「ふーん....分かった。」
チップを求められるなら変なサービスは無いな。
終業後、二人で食事に行く事になった。
「ここだ。」
「へぇー」
ちょっとお高そうなお店だった。
中も豪華でメニューを見ると凄く美味しそうだ。
「昔、家族のお祝いでよく来てた店なんだ。色んな人にも知ってもらいたくって。あ、お酒飲める?」
「ワインなら。」
「そっか。」
適当に注文して、会話を続ける。
「えっと、ルクシアードだっけ?ルクスって呼んで良い?俺もティムで良いからさ。」
「ああ、構わねえよ。」
「学生時代エルフォード君と仲良かったけど、君も同じなの?あ、答えたくないなら良いんだけど。」
こいつ結構ズケズケ聞くタイプか....面倒くさい...
「今面倒くさいって思ったっしょ~。ごめんて。」
こいつ....
「はぁ.....まあ、隠すことでもないからな。俺は若干男らしい両性。アイツみたいに可愛いくなくて悪かったな。」
「え?十分可愛いよ?」
即答されたその答えにドキリとした。
「コンプレックス?両性だからって、男らしくてはいけないって決まりは無いだろう?気に触ったら悪いけど、そうやって気にしてるの可愛いと思うけど。あと、思った以上に表情豊かでそれも可愛いと思うな。」
「...........それは言外に弄りがいがあると言っていないか?」
「言ってない、言ってない!!本心!! 君のお友達はさ、今の旦那様にずっとお熱で、周りなんて見えてなかったでしょ。だからかな、見た目は可愛いくても、心に響く物はなかった。でも君はさ、周りもよく見てるじゃん。やっぱり周りにも心を向けられると、こっちも心に響くんだ。俺さ、女の子や両性関係なく、ちゃんと周り見てる子が好みなの。」
好み....?
「............俺、今、口説かれてるってこと....?」
「....あ、いや。でも、本当はさ、俺、昔から仲良くなりたいって思ってたんだ。でも、接点もないからどうしようかと思ってるうちに卒業しちゃった。せっかく偶然同じ職場なのに、部署が違うから、また接点無し。今日は本当は凄く勇気出したんだからな!」
こいつは、図体もでかくて男らしいけど、なかなか可愛い性格をしているな。
俺は思わず笑ってしまう。
「ぷくく....んだよそれ...ふふふ、勇気、そっか、勇気か....ぷくく....」
「え!?今の笑う所あったか!?」
「いや、お前のギャップに笑っちまった。」
「ギャップ!?何と何について!?え!?」
「ふふ...はぁー、今日はありがとな。俺、友人とかも少ないから、今後は好きに話しかけてくれ。」
「ああ、うん! 今日はさ、お互いの事いっぱい知ろう!」
「りょーかい。」
ちょうど食事がやって来た。
美味しい食事を取りながら、俺たちは会話を楽しんだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】この契約に愛なんてないはずだった
なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。
そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。
数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。
身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。
生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。
これはただの契約のはずだった。
愛なんて、最初からあるわけがなかった。
けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。
ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。
これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
王弟の恋
結衣可
BL
「狼の護衛騎士は、今日も心配が尽きない」のスピンオフ・ストーリー。
戦時中、アルデンティア王国の王弟レイヴィスは、王直属の黒衣の騎士リアンと共にただ戦の夜に寄り添うことで孤独を癒やしていたが、一度だけ一線を越えてしまう。
しかし、戦が終わり、レイヴィスは国境の共生都市ルーヴェンの領主に任じられる。リアンとはそれきり疎遠になり、外交と再建に明け暮れる日々の中で、彼を思い出すことも減っていった。
そして、3年後――王の密命を帯びて、リアンがルーヴェンを訪れる。
再会の夜、レイヴィスは封じていた想いを揺さぶられ、リアンもまた「任務と心」の狭間で揺れていた。
――立場に縛られた二人の恋の行方は・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる