俺たちの恋事情

郗櫲乃

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ふと酔いから醒めて目を覚ますと、深夜の3時だった。飲みすぎてトイレが近いや。

その辺に皆転がっているので踏まないように気をつけてトイレに行く。

そのまま元の場所に戻ってもう一眠りしよう。

「んん....」

「 !? 」

暗くてよく見えないけど、誰かが寝ぼけて抱きついて来た。
なかなか力強い。振りほどけない。

「おい....起きろって...」

ペチペチ叩いても起きる気配がない。

「...!?」

俺の足の間に足が入ってきた。

「っ.....!」

俺が小柄なせいか、相手の足はちょっと曲がってるだけなのに股にガッツリ腿が当たっている。こっちが動くと嫌でも擦れて変な感じになる。

これは....下手に動かない方が良いやつ.....

仕方なく、この体勢で寝るとしよう。




って眠れるかっ!!

俺は動いてねえよ。動いてるのコイツ!!

止まるか起きるかしてくんね!?

眠りに落ちそうになるたびに相手が動いて刺激で目が覚める。

朝になったら覚えてろよ、誰か知らねえけど!




「ん...んー....?おはよう?.........あれ?」

目の前の男が目覚めた。
いつもと違う俺の様子に困惑しているようだ。

「ティム、はやく....はなせばか....ぁ.....」

「っ、ルクス?なん、え、あっ、やっ、え!?」

混乱するのは分かるけど、もうこちとら一晩ずっとじわじわ刺激され続けて限界なんだ。とにかく早く離れ...

「んんっ!あぁっ......はぁ....はぁ.....」

「え?今、イッ......あっ、ごめっ....」

離れようと足を動こした拍子に俺の股間をダイレクトアタック。

限界ギリギリだった俺は簡単にイッてしまう。

やっと解放されたものの、ぐったりだ。

「俺、寝ぼけてた?ごめんな、ルクス。」

「はぁ、はぁ....」

「..........ぇっろ.....」

「......なんて?」

「あ、いや。えっと、トイレ....いや、シャワー....皆が起きる前にシャワー浴びるか。」

「..........」

「えっと....どうしたのかな?」

「力入んない、連れてけバカ。」

「~~っ!!」

顔を赤くしたティムがお姫様抱っこで風呂場まで連れていってくれた。

「えっと....洗え....ないか。えっと、脱がすよ。」

「うん....。」

力が入んない俺はなされるがままだ。

手早く服を脱がされ、体を軽く洗われた。

奴の下半身は見ないようにしていた。

シャワーから出ると、皆起きていた。

「ん?二人でシャワーか?どっちかが吐いたのか?」

寝起きのガラガラ声で問われる。

「えっと、まあ、そういう事。悪いね、勝手に借りて。」

「しょうがないさ....ん?」

寝ぼけ眼が開いて俺らを凝視する。

「.........あー.....そういうことにしておいてやるよ。次から場所考えろよ~」

「ちょっ!?違うってば!!あ、ルクス、タオルにくるまってて!!おい、待てって!!」

あーなんか焦った声が聞こえる。他の奴らは面白そうに笑ってるな。

なんか知らねえが...シャワー浴びたからか、眠気が襲ってきた。

お休み.....。



次に目が覚めると車の中だった。

自分の体を見るとタオルぐるぐるの上に上着がかかっている。

「起きた?起きるまでそのままにしようって言ったんだけど、お前車だからそのまま送ってけってうるさくてな。その、下はあのままだから、寒くないか?服、そこの袋の中だから、もしいけそうなら着替えてて良いからな。」

ああ....素っ裸か。服は洗濯され、乾燥機で乾かされてある。

「........こっち見るなよ。」

「見ないよっ!」

シャワーを一緒に浴びた仲と言われればその通りだが、一応俺は本来男に裸を見せるのは良くない性別だからな。

俺は男たちの中で育ってるからあまりなんとも思わないけど、向こうはそうじゃないらしいからな。

今も後ろから分かるくらい赤くなってる。

後方確認とかでもチラ見えしないような配慮はしてやろう。



「えっと....ルクスの家ここだよな?」

「ああ。送ってくれてありがとう。サプライズパーティー嬉しかったよ。」

「喜んでくれたなら良かった。じゃあ、また職場で。」

「.....うん。」

「....どうしたの?」

煮え切らない返事をしたからティムが窓から乗り出す。

「ルクス?」

顔に手を添えてきた。
俺はその手を払うことはしない。
ぎゅっと握った。

「上がってけば?」

「え!?.....あー....良いの?」

「まあ、飯くらいなら出してやる。」

「じゃあ、お言葉に甘えて。ちょっと待ってて。車停めてくるわ。」

別に離れがたくなったとかじゃない。
送ってもらった礼くらいはしなきゃと思っただけだ。

「うまそー!!頂きます!!......うっまー!!」

「そう...なら良かった。」

「俺一人暮らし始めても料理は上手くなんなかったんだよな。すっげーよルクス。」

「別に普通だろ。まあ、うち男所帯でまともに飯作れるのが俺だけだったってのはあるけどよ。」

「お母さんいないんだっけ?」

「ああ、俺を産んだ時にな。皆男臭いし脳筋だから、両性の俺の扱いにも困ったらしい。なんせ、体の半分は女だからな。男と全く同じように育てる訳にも行かず、結局、近所の同じ両性のエルとよく一緒に面倒を見てもらってた。」

「へー。」

「あっちのお母さんに色々教わって、家に帰ったら俺が母さんのポジションやるようになったんだ。変な話だろ?」

「それはそれで、今一人暮らし始めてご家族大丈夫なのか!?」

「そりゃな。末っ子の俺が成人してるんだぜ。上の兄弟みんな所帯持ちに決まってるだろ。義姉さんたちがいるから兄貴たちは大丈夫だし、1番上の兄家族が実家で親父と住んでる。」

「あ、なら大丈夫だ。」

「ああ。そんなんだから、男性体だけど、嫁を貰うより嫁に行く方が向いてるんだろうな。俺を嫁に欲しい人がいるかは知らんけど。」

「うぐっ......」

ティムが喉を詰まらせた。






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