俺たちの恋事情

郗櫲乃

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「ゴホッゴホッ」

「おい、どうしたんだよ。水水」

「ゲホッ、はぁはぁ...ありがとう。」

「急いで食うからだろ。」

「いや、まあ、うん。そう....だな。」

こいつも煮え切らない返事をするなぁ。
水がどんどん減っていく。水がなくなっても気付かずに飲もうとする。
これは緊張だとか、なにか慌てている時の仕草だ。

俺が嫁の話をしたからかな。

ふーん....

「..............お前、俺の事どう思ってんの?」

「ブフッ」

あ、聴いたタイミングが悪かった....。

「ああああ!!ごめん!!」

「いや、俺のタイミングが悪かった。大丈夫。で?答えは?」

「え?えっとぉー.....」

「お前、初対面の時、俺口説かれてる?って聞いたらお前微妙な返事したろ。今日なんか、普通じゃない狼狽えぶりだったじゃんか。俺をそんな目で見てるのか?別に怒るとか嫌うとかないから正直に言って。」

ティムの顔が赤い。指をモジモジしている。
目の泳ぎようったらありゃしない。

「はぁ....。降参。ていうか、あの頃から分かってたろ?仲良くなりたかったのは、好きとかそういうの関係なく、なんとなく君がエルフォード君と戯れている姿が可愛くて、羨ましくて、楽しそうであの中に混ざりたかったんだ。でも接点が無さすぎて時々廊下とかで見かける程度。つい目で追っちゃって....いつの間にか好きになってた。初対面の日だって、断られると思ってたのに、君ったらOKするわ、その後はこっちの輪で皆と仲良くなるわ....挙句に......俺の膝で寝出すわ....平常心保とうとしてるこっちがアホらしくなる。」

あれは....ごめん。俺も思い出すと恥ずかしいから。

「でも、俺、自惚れじゃないなら、君も、満更でもなかったって思うんだけど、違うか?思えば最初から、俺の気持ちをある程度は知っていたはずなのに、俺から離れるどころか近づいて来た。あんなことがあったのに、部屋に呼ぶなんて不用心にも程がある。それにさっきの話....びっくりして詰まっちゃったけど、遠回しに俺の嫁になりたいってことだろ?」

「っ.....。」

今度は俺の顔が赤くなる番だった。

「って.........から....」

「え?なに?」

「....だって、嬉しかったから.....。俺....コンプレックスだった......中途半端なのが。だから、お前に即答で可愛いって言われて嬉しかった。し、俺の見た目以外の所も可愛いって言ってくれた....から....」

「なんだ、そんな事ならいくらでも言ってあげる。ルクスは可愛い。口が悪い所も可愛い。ツンケンしてても可愛い。優しい所も可愛い、男らしいところが可愛い。友達思いなのも可愛い。驚いた顔も可愛い。思ったことが顔にたまに出るのも可愛い。」

「わ、分かったから、もうやめろって」

「そして、照れてる顔は世界一可愛い。」

「っ......」

「答えてくれルクス。今の君を前に、俺はどうにかなりそうなんだ。君が好きだ。愛している。君は俺をどう思っているんだ?」

「............クソっ.....好きだよバカ」

「嬉しい。」

クソっ、なんでさっきまでと立場入れ替わってんだよ。かっこ悪いな俺。

ティムの顔が近づいてくる。

「キスしたい」

俺は小さく頷く。

俺のファーストキスは甘い味がした。





俺らはソファーでぎゅっと抱き合っている。

「なあ、あいつら、良いのか?」

「ああ、うーん....どうしたものか....絶対からかう....絶対からかうに決まってる。」

今朝わかれた友人たちのニヤニヤ顔が浮かぶ。
俺たちは苦笑いだ。

「なあ、いつぞのパーティー、なんで俺にも行かせたんだ?そこで良い出会いがあったらどうするつもりだったんだよ。」

「君、苦手だろうから、俺から離れないだろうなって思ってたんだ。まあ、一瞬で引き剥がされたけど....でも、最後は結局俺の傍に帰ってきただろ。で、ちょっとは自分に自信ついたろ?」

「....あのな、」

「ん?」

「俺は、お前に魅力的だって言われたのが、1番嬉しかったんだぞ。」

「そっか。」

「なあ、触んねーの?」

「んっ.....んー....やめておく。明日仕事だろ。行けなくなっても知らないぞ。」

「そっか.....。俺は別に良いんだけど....」

「俺が罪悪感で死んじゃうからそういうこと言わない。ほんと、およそ8年くらいの片思い舐めるなよ。言いたくないけど、おかげさまで童貞なんだからな。」

「長いな。はは。俺は早くお前のもんになりたかっただけだ。楽しみにしてるから。」

「君ってば、もう.....うん、絶対手放さないから覚悟しろよな。」

夜までずっと抱き合っては時々キスをして過ごした。

後日、交際報告をしたらイツメンの友人たちは思った反応はなく、一言笑顔で祝福はしてくれたが死んだ目をしていた。

エル達にからかわれたのは、言うまでもない。















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