逢魔が時。それは人と人ならざるモノたちが出逢う時

岡本梨紅

文字の大きさ
7 / 38
ポスト

しおりを挟む
「日本は古くから、人ならざるモノ、つまり妖怪や幽霊の存在を信じてきました。
 そんなモノたちが、活発になるのが太陽が沈みゆくこの夕方。
 昼と夜が入れ替わるこの間の時間帯は、ひどく境界があやふやでしてねぇ。出逢うことがあるのですよ。人と人ならざるモノがね」
「だから、『逢魔が時』」
「はい」

 男は満足そうに頷く。

「でも、それがなんだって言うんですか」
「妖怪の中には、人間に手を貸すモノもいるんです」
「え?」
「ニュースでも、たまにあるでしょう? 人の仕業とは思えない、残虐な事件が」

 しかし唯人は、納得できないと、首を横に振る。

「それが、妖怪の仕業だって言うんですか? バカバカしい。妖怪なんて、昔の人が考えた妄想の産物です」
「ならば、試してみませんか?」
「試す?」

 唯人は首を傾げる。
 男は唯人の背後を指す。唯人は振り返るが、そこには草垣と太い木が数本生えているだけ。
 唯人は男に、視線を戻す。

「実はこの奥に、この逢魔が時の時刻のみに現れる、古い丸型ポストがあるんです。
 そのポストに、嫌いな人の名前を書いた紙を投函すると、願いを叶えてくれるんです」
「それは……代わりに復讐をしてくれる、ということですか?」
「そう解釈していただいても、良いと思います」

 唯人は頭の中に、嫌いな人物たちを、思い浮かべた。
 なにかと口うるさいクラス委員長の染崎。いつも蔑んだ目線を向けてくる担任。勉強を強要し、時には暴力も振るってくる母親。そのほか、自分をバカにしてくるクラスメートたち。

「復讐を、してくれる……。僕の代わりに……」

 うわ言のように呟く唯人。
 そんな唯人を見て、男はにやりと笑みを深めた。

「思い詰めすぎて非行に走る前に、そういう存在に頼ってみては、いかがです?」
「あの! あ、あれ?」

 唯人が顔をあげると、そこには誰の姿もなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

怪異の忘れ物

木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。 さて、Webコンテンツより出版申請いただいた 「怪異の忘れ物」につきまして、 審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。 ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。 さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、 出版化は難しいという結論に至りました。 私どもはこのような結論となりましたが、 当然、出版社により見解は異なります。 是非、他の出版社などに挑戦され、 「怪異の忘れ物」の出版化を 実現されることをお祈りしております。 以上ご連絡申し上げます。 アルファポリス編集部 というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。 www.youtube.com/@sinzikimata 私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。 いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2026/1/22:『たんじょうび』の章を追加。2026/1/29の朝頃より公開開始予定。 2026/1/21:『てがた』の章を追加。2026/1/28の朝頃より公開開始予定。 2026/1/20:『ものおと』の章を追加。2026/1/27の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/19:『みずのおと』の章を追加。2026/1/26の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/18:『あまなつ』の章を追加。2026/1/25の朝8時頃より公開開始予定。 2026/1/17:『えれべーたー』の章を追加。2026/1/24の朝8時頃より公開開始予定。 2026/1/16:『せきゆすとーぶ』の章を追加。2026/1/23の朝4時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

百物語 厄災

嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。 小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

【完結】ホラー短編集「隣の怪異」

シマセイ
ホラー
それは、あなたの『隣』にも潜んでいるのかもしれない。 日常風景が歪む瞬間、すぐそばに現れる異様な気配。 襖の隙間、スマートフォンの画面、アパートの天井裏、曰く付きの達磨…。 身近な場所を舞台にした怪異譚が、これから続々と語られていきます。 じわりと心を侵食する恐怖の記録、短編集『隣の怪異』。 今宵もまた、新たな怪異の扉が開かれる──。

(ほぼ)1分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話! 【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】 1分で読めないのもあるけどね 主人公はそれぞれ別という設定です フィクションの話やノンフィクションの話も…。 サクサク読めて楽しい!(矛盾してる) ⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません ⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

処理中です...