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ポスト
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「日本は古くから、人ならざるモノ、つまり妖怪や幽霊の存在を信じてきました。
そんなモノたちが、活発になるのが太陽が沈みゆくこの夕方。
昼と夜が入れ替わるこの間の時間帯は、ひどく境界があやふやでしてねぇ。出逢うことがあるのですよ。人と人ならざるモノがね」
「だから、『逢魔が時』」
「はい」
男は満足そうに頷く。
「でも、それがなんだって言うんですか」
「妖怪の中には、人間に手を貸すモノもいるんです」
「え?」
「ニュースでも、たまにあるでしょう? 人の仕業とは思えない、残虐な事件が」
しかし唯人は、納得できないと、首を横に振る。
「それが、妖怪の仕業だって言うんですか? バカバカしい。妖怪なんて、昔の人が考えた妄想の産物です」
「ならば、試してみませんか?」
「試す?」
唯人は首を傾げる。
男は唯人の背後を指す。唯人は振り返るが、そこには草垣と太い木が数本生えているだけ。
唯人は男に、視線を戻す。
「実はこの奥に、この逢魔が時の時刻のみに現れる、古い丸型ポストがあるんです。
そのポストに、嫌いな人の名前を書いた紙を投函すると、願いを叶えてくれるんです」
「それは……代わりに復讐をしてくれる、ということですか?」
「そう解釈していただいても、良いと思います」
唯人は頭の中に、嫌いな人物たちを、思い浮かべた。
なにかと口うるさいクラス委員長の染崎。いつも蔑んだ目線を向けてくる担任。勉強を強要し、時には暴力も振るってくる母親。そのほか、自分をバカにしてくるクラスメートたち。
「復讐を、してくれる……。僕の代わりに……」
うわ言のように呟く唯人。
そんな唯人を見て、男はにやりと笑みを深めた。
「思い詰めすぎて非行に走る前に、そういう存在に頼ってみては、いかがです?」
「あの! あ、あれ?」
唯人が顔をあげると、そこには誰の姿もなかった。
そんなモノたちが、活発になるのが太陽が沈みゆくこの夕方。
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「だから、『逢魔が時』」
「はい」
男は満足そうに頷く。
「でも、それがなんだって言うんですか」
「妖怪の中には、人間に手を貸すモノもいるんです」
「え?」
「ニュースでも、たまにあるでしょう? 人の仕業とは思えない、残虐な事件が」
しかし唯人は、納得できないと、首を横に振る。
「それが、妖怪の仕業だって言うんですか? バカバカしい。妖怪なんて、昔の人が考えた妄想の産物です」
「ならば、試してみませんか?」
「試す?」
唯人は首を傾げる。
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「そう解釈していただいても、良いと思います」
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