逢魔が時。それは人と人ならざるモノたちが出逢う時

岡本梨紅

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 あるテストの日。唯人の足下に、一枚の紙が飛んできた。
 すでに問題を解き終わり、裏返しにしていた唯人は、チラリとその紙に視線を向けた。

(これって)

 それはカンニング用紙だった。唯人は血の気が引くのを感じた。

(もしこれを見られたら、僕がカンニングを疑われる! どうにかしないと)

 だが唯人がそれをどうにかする前に、その紙は担任に拾われてしまった。

「あ」
「近衛。なんだこの紙は?」

 クラス中の視線が、担任と唯人に集まる。
「ち、ちが! 僕のものじゃ!」
「あとで生徒指導室に来い」

 担任は唯人の問題用紙を回収すると、唯人から離れていく。
 唯人は頭の中が真っ白になった。

 唯人は生徒指導室に連れて行かれ、母親も呼び出された。

「あんた一体、なにを考えているのよ!」
「ち、ちがうよ! 僕のじゃないよ!」
「嘘をつくな。おまえの足下に落ちていた。それが何よりも証拠じゃないか」

 担任が机にカンニング用紙を叩きつける。
 唯人は激しく首を横に振った。

「どこからか、飛んできたんです! 僕のじゃない!」
「いい加減、認めなさい!」

 母親は唯人に、平手打ちをした。

「これ以上、私に恥をかかせないでちょうだい! 本当に、なんて出来の悪い子なの!?」

 母親は唯人を罵る。それを担任が苦笑混じりになだめているが、彼女らの声は、もう唯人には届かなかった。

 唯人の頭の中にあるのは、母と担任に対する、激しい怒りと憎しみだった。
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