123 / 319
山菜さんのリュック
しおりを挟む
「リュックの方は何が入ってるんですか?」
僕は山菜さんがリュックを背負ったままなのを見ると、中身を見せてくれるよう頼んだ。
「ほら」
山菜さんはリュックをひっくり返して、豪快にリュックの中身をぶちまけた。
「まあ、食材が多いかな」
言葉通り、米、肉、下ごしらえ済みの野菜、調味料など、ほぼバーベキュー材料が揃っていた。
「これで二人分」
「お友達、大丈夫でしょうかね?」
桂坂さんが心配そうに言う。山菜さんは笑って答えた。
「ああ、あいつなら大丈夫。向こうもそれなりに食糧持って来てるから。日帰りでも帰れるところだし、私がいないと知ったら、探し回りはするだろうが、適当なところで諦めてさっさと撤収するぐらいの分別はついてるよ」
たいした信頼感だ。それだけ頼れる友達を持っているなんて羨ましい。
他にはタオルや除菌ティッシュ、ラップやアルミホイル、洗剤、たわし、トング、ソーラーランタンなどもあった。山菜さんの着替えと下着の替え、寝袋も入っていた。
「よくこんなに詰め込めましたね」
「まあ、慣れてるからな。相方のほうにも色々詰め込んでたんだけどな。そっちは仕方ないか……」
「今日はこれからどうします?」
生果さんが山菜さんに尋ねる。
「そうだな。しばらく寝させてくれるかな。ここで寝ても大丈夫だよな」
真昼間から寝れるのか? これからキャンプするんじゃなかったの? 僕は突っ込みたいことが山ほどあったが、僕が口を挟む前に山菜さんはさっさと横になってしまった。
料子さんも生果さんも苦笑いしている。
「まあ、いいんじゃないの。環境が急に変わって、寝てる間に気持ちも切り替えたいんでしょ」
料子さんはそう言って、仕事に戻っていった。
僕らも解散し、僕は農家さんに声をかけて畑仕事を再開した。畑の近くを電気さんや宙がたまに行き来していたが、特に話すこともなく僕は仕事に専念した。
夕方、スカウトさんが帰ってくると、早速入り口に置いてあったテントをめざとく見つけた。
「こりゃ、テントじゃねえか。健太、こいつ、今日来た人が持ってきたのか?」
「ええ。女の人なんですが、二人用のテントだそうです」
「こりゃいい。自転車君、君はテントで一泊する元気はあるかい?」
急に話を振られた自転車君はびっくりしたようですぐに答えられない。
「いやな、今朝も健太と話してたんだが、一回野宿してみようと思ってな。健太には反対されてんだが、二人用のテントがあるなら話は別だ。これなら健太も文句はないだろ」
僕は山菜さんがリュックを背負ったままなのを見ると、中身を見せてくれるよう頼んだ。
「ほら」
山菜さんはリュックをひっくり返して、豪快にリュックの中身をぶちまけた。
「まあ、食材が多いかな」
言葉通り、米、肉、下ごしらえ済みの野菜、調味料など、ほぼバーベキュー材料が揃っていた。
「これで二人分」
「お友達、大丈夫でしょうかね?」
桂坂さんが心配そうに言う。山菜さんは笑って答えた。
「ああ、あいつなら大丈夫。向こうもそれなりに食糧持って来てるから。日帰りでも帰れるところだし、私がいないと知ったら、探し回りはするだろうが、適当なところで諦めてさっさと撤収するぐらいの分別はついてるよ」
たいした信頼感だ。それだけ頼れる友達を持っているなんて羨ましい。
他にはタオルや除菌ティッシュ、ラップやアルミホイル、洗剤、たわし、トング、ソーラーランタンなどもあった。山菜さんの着替えと下着の替え、寝袋も入っていた。
「よくこんなに詰め込めましたね」
「まあ、慣れてるからな。相方のほうにも色々詰め込んでたんだけどな。そっちは仕方ないか……」
「今日はこれからどうします?」
生果さんが山菜さんに尋ねる。
「そうだな。しばらく寝させてくれるかな。ここで寝ても大丈夫だよな」
真昼間から寝れるのか? これからキャンプするんじゃなかったの? 僕は突っ込みたいことが山ほどあったが、僕が口を挟む前に山菜さんはさっさと横になってしまった。
料子さんも生果さんも苦笑いしている。
「まあ、いいんじゃないの。環境が急に変わって、寝てる間に気持ちも切り替えたいんでしょ」
料子さんはそう言って、仕事に戻っていった。
僕らも解散し、僕は農家さんに声をかけて畑仕事を再開した。畑の近くを電気さんや宙がたまに行き来していたが、特に話すこともなく僕は仕事に専念した。
夕方、スカウトさんが帰ってくると、早速入り口に置いてあったテントをめざとく見つけた。
「こりゃ、テントじゃねえか。健太、こいつ、今日来た人が持ってきたのか?」
「ええ。女の人なんですが、二人用のテントだそうです」
「こりゃいい。自転車君、君はテントで一泊する元気はあるかい?」
急に話を振られた自転車君はびっくりしたようですぐに答えられない。
「いやな、今朝も健太と話してたんだが、一回野宿してみようと思ってな。健太には反対されてんだが、二人用のテントがあるなら話は別だ。これなら健太も文句はないだろ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる