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林さん
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「俺は子供の頃からくそ田舎に住んでてな。周りに民家は多少はあったけど、同い年くらいの子供が全然いないんだ。外で遊ぶにも、一緒に遊べる子供がまったくいないわけよ」
ずっと都会育ちの僕にはなかなかリアルに想像しにくいが、状況はなんとなくは分かる。
「だからな、一人遊びっつうか、一人でいろんなことをやる体質が身についちまってな。おかげで今でも人付き合いはあんまり上手くないときてる。都会のほうが孤独だとも聞くが、あんなの嘘っぱちだと思うぞ。そもそも人がいないとこに住んでたからしょうがねえわな」
僕から見ると、林さんは決して対人関係が苦手なようには見えないのだけれど、本人の中ではひどく苦手意識があるのかもしれない。都会は人間関係が薄くて冷たい感覚があったが、田舎には田舎なりの問題を抱えているということか。
「ってわけで、俺は子供の頃から、夜一人で空の星を見るのが好きになっちまってな。大人になってもたまにこうやって夜空を見上げてるのさ」
「星の名前とかにも詳しいんですか?」
「ああ、星座とか多少はな。だが科学的なことは全然分からん。純粋にキレイだから星を見てるってのが一番しっくりくるかな」
僕は前の村で理科さんと話したことを思い出した。理科さんは科学的見地から星のことを色々教えてくれた。彼女は順調なら新しい村で生活を始めてるはずだ。今頃、理科さんも新しい村で星を観察しているのだろうか?ちょっと懐かしくなってきた。ほんの数日前のことだというのに……。
「人間て不思議だよな。あの星は何万年、いや何億年もずっと輝き続けるっていうのに、人間ときたら、せいぜい百年かそこらしか生きられないんだぜ。俺たちが死んだ後も、ずっと星は輝いていく。俺たちの人生ってなんだろうな……」
夜の静粛の中で、壮大で深淵な宇宙に想いを馳せると、本当に人間の存在は小さいものに思えてしまう。転移してわけのわからない場所に飛ばされたことすら、なんだか小さなことのように思えてしまうから不思議だ。
「林さんは結婚してるんですか?」
僕はふいにそう聞きたくなって質問してみた。
「また直球の質問だなあ。俺は独身。バツイチでもなく、子供もいない。今は結婚願望はないかな」
「なんか理由でもあるんですか」
「いや、特にはな。いつのまにか独身のままだったって感じかな」
近頃はそういう人も多いのかもしれない。僕の知っている年上の人もそんなこと言っていた。
「ただな、こんな極限状態で生活することになったら、やっぱり一緒に支え合える人が欲しいな、ってちょっとは思うようになったよ」
ずっと都会育ちの僕にはなかなかリアルに想像しにくいが、状況はなんとなくは分かる。
「だからな、一人遊びっつうか、一人でいろんなことをやる体質が身についちまってな。おかげで今でも人付き合いはあんまり上手くないときてる。都会のほうが孤独だとも聞くが、あんなの嘘っぱちだと思うぞ。そもそも人がいないとこに住んでたからしょうがねえわな」
僕から見ると、林さんは決して対人関係が苦手なようには見えないのだけれど、本人の中ではひどく苦手意識があるのかもしれない。都会は人間関係が薄くて冷たい感覚があったが、田舎には田舎なりの問題を抱えているということか。
「ってわけで、俺は子供の頃から、夜一人で空の星を見るのが好きになっちまってな。大人になってもたまにこうやって夜空を見上げてるのさ」
「星の名前とかにも詳しいんですか?」
「ああ、星座とか多少はな。だが科学的なことは全然分からん。純粋にキレイだから星を見てるってのが一番しっくりくるかな」
僕は前の村で理科さんと話したことを思い出した。理科さんは科学的見地から星のことを色々教えてくれた。彼女は順調なら新しい村で生活を始めてるはずだ。今頃、理科さんも新しい村で星を観察しているのだろうか?ちょっと懐かしくなってきた。ほんの数日前のことだというのに……。
「人間て不思議だよな。あの星は何万年、いや何億年もずっと輝き続けるっていうのに、人間ときたら、せいぜい百年かそこらしか生きられないんだぜ。俺たちが死んだ後も、ずっと星は輝いていく。俺たちの人生ってなんだろうな……」
夜の静粛の中で、壮大で深淵な宇宙に想いを馳せると、本当に人間の存在は小さいものに思えてしまう。転移してわけのわからない場所に飛ばされたことすら、なんだか小さなことのように思えてしまうから不思議だ。
「林さんは結婚してるんですか?」
僕はふいにそう聞きたくなって質問してみた。
「また直球の質問だなあ。俺は独身。バツイチでもなく、子供もいない。今は結婚願望はないかな」
「なんか理由でもあるんですか」
「いや、特にはな。いつのまにか独身のままだったって感じかな」
近頃はそういう人も多いのかもしれない。僕の知っている年上の人もそんなこと言っていた。
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