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二つのペア
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「明日、誰かにまた会えるといいな」
林さんは珍しく僕に顔を向けて優しく微笑む。
「ええ」
僕は大きくうなずき、また夜空の星々を見上げた。微風がとても心地良かった。
翌日、昨日の打ち合わせ通り、僕と桂坂さん、海原君、安食さんの四人で探索に出かけた。とりあえず、昨日の地点まで四人で進み、そこから二手に分かれようということになった。
目標地点がはっきりしているのと、昨日通った道の痕跡が残っていることもあって、大人数であったものの、昨日よりは快調なペースで進めた。
正午までまだたっぷり時間があるうちに、昨日メロンパンの袋を見つけた地点にたどり着いた。ここから二手に分かれることになる。
「じゃ、今から3時間後にここで落ち合おう。その時間なら、なんとか今日のうちに戻れるはずだ」
「分かったわ」
桂坂さんがそう答えると、他の二人もうなずいた。ペアについてだが、昨日ここに来て勝手を知っている僕と桂坂さんは別々の組にしたほうがよかろう、ということで、僕と安食さん、桂坂さんと海原君の組み合わせで行動することにした。
僕と安食さんは、桂坂・海原組と分かれた後、進路を西にとり、歩き始めた。安食さんは調理師と聞いていたので、山歩きのようなハードな作業はどうかと思ったが、予想に反してしっかりした足取りでだった。
「大丈夫ですか?」
「えっ、何? ああ、森の中歩き回るぐらいなら全然平気よ」
安食さんは僕の心配をよそにあっけらかんとして言う。どうやら僕の勝手な偏見だったようだ。
「もしかしてアウトドア派ですか?」
僕の問いには、安食さんは笑いながら否定した。
「ううん。そこまでは行かないわ。でもキャンプとかは友達とたまに行ったりするけど」
むしろ僕の方が、ここに来るまでなら、山歩きの回数は少ないのかも知れない。
「金田さんや林さんはどんな人ですか? 最初は怖くなかったですか」
とにかく何か話しながら歩いたほうが気が紛れると思ったので、当たり障りのない話題を選んでみた。
「どんな人って言ってもね……。林さんは仕事人って感じでいつも外に出てるから、そんなに話をしたわけじゃないけど、根は優しく純朴そうな人ね。金田さんはすごく気遣いのできる人で、嫌味なく羨ましいぐらい。二人ともとってもいい人で助かったわ」
安食さんは歩くスピードは変わらないまま、丁寧に感想を教えてくれた。
「でも正直、優子ちゃんや料子さんに会えたのは嬉しかったわね。流石に女一人じゃ、やっぱり心細いものよ」
まあ、実際そんなものだろう。男にはその怖さは本当のところは分からないと思う。
林さんは珍しく僕に顔を向けて優しく微笑む。
「ええ」
僕は大きくうなずき、また夜空の星々を見上げた。微風がとても心地良かった。
翌日、昨日の打ち合わせ通り、僕と桂坂さん、海原君、安食さんの四人で探索に出かけた。とりあえず、昨日の地点まで四人で進み、そこから二手に分かれようということになった。
目標地点がはっきりしているのと、昨日通った道の痕跡が残っていることもあって、大人数であったものの、昨日よりは快調なペースで進めた。
正午までまだたっぷり時間があるうちに、昨日メロンパンの袋を見つけた地点にたどり着いた。ここから二手に分かれることになる。
「じゃ、今から3時間後にここで落ち合おう。その時間なら、なんとか今日のうちに戻れるはずだ」
「分かったわ」
桂坂さんがそう答えると、他の二人もうなずいた。ペアについてだが、昨日ここに来て勝手を知っている僕と桂坂さんは別々の組にしたほうがよかろう、ということで、僕と安食さん、桂坂さんと海原君の組み合わせで行動することにした。
僕と安食さんは、桂坂・海原組と分かれた後、進路を西にとり、歩き始めた。安食さんは調理師と聞いていたので、山歩きのようなハードな作業はどうかと思ったが、予想に反してしっかりした足取りでだった。
「大丈夫ですか?」
「えっ、何? ああ、森の中歩き回るぐらいなら全然平気よ」
安食さんは僕の心配をよそにあっけらかんとして言う。どうやら僕の勝手な偏見だったようだ。
「もしかしてアウトドア派ですか?」
僕の問いには、安食さんは笑いながら否定した。
「ううん。そこまでは行かないわ。でもキャンプとかは友達とたまに行ったりするけど」
むしろ僕の方が、ここに来るまでなら、山歩きの回数は少ないのかも知れない。
「金田さんや林さんはどんな人ですか? 最初は怖くなかったですか」
とにかく何か話しながら歩いたほうが気が紛れると思ったので、当たり障りのない話題を選んでみた。
「どんな人って言ってもね……。林さんは仕事人って感じでいつも外に出てるから、そんなに話をしたわけじゃないけど、根は優しく純朴そうな人ね。金田さんはすごく気遣いのできる人で、嫌味なく羨ましいぐらい。二人ともとってもいい人で助かったわ」
安食さんは歩くスピードは変わらないまま、丁寧に感想を教えてくれた。
「でも正直、優子ちゃんや料子さんに会えたのは嬉しかったわね。流石に女一人じゃ、やっぱり心細いものよ」
まあ、実際そんなものだろう。男にはその怖さは本当のところは分からないと思う。
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