ダウト、ダウト。 偽りの家族ゲームには絆を。

早乙女かおる

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終章 バースデー

1 家族集合

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 俺はあの喫茶店、「ヤード」に来ていた。
 ドアノブを回したのは夜の9時を回っていた。警察の尾行も敵の気配も無い。そっと店に入ると、マスターはスポーツ新聞を読んでいた。

「いらっしゃい」
「マスター、連絡を取ってくれ」
「アンさん達なら来ているよ」

 店の奥を見ると、桜が飛びついてきた!?

「コラ!門限を守れ!」

 泣いている………俺なんかに?そもそも、血も繋がってもいないのに。
 でも、俺は優しく笑いかけた。

「桜、ご免」

 そして、アンと耕助がやって来た。

「お腹空いたでしょ」
「ああ、母さん。少しスポーツをしたからな」
「マスター、何か温かい物を出してくれる」
「ああ、アンさん。それと、新しい情報は後三十分位で来るよ」

 俺はタバコに手を伸ばした………が、ラストだったみたいで、ゲームセット。高校生の格好では、コスプレですと言っても売ってはくれない。
 
 そんな俺に耕助が一本出してきた?黙って銜えると、火をつけてくれた。

「陸、現状は動いている。それも、かなりの速度だ」
「外の車はどうする?」
「持ち主に返すよ。板金業者なら知り合いが居る。年代物のキャデラックだ、請求書が怖いよ」
 
 笑う耕助にどこか俺はホッとしていた。
 そして、テーブルに着く。

「陸、父さん達と行くか?もう、後戻りは出来ないし、させないが」
「なら、聞かないでくれ。それと、ターゲットは俺だろ?この体の中にある細胞」
「よく分かったな?」
「相手は俺を殺そうとしていないからだ。そして、意識を冴子の体に移せるなら、俺にも移せるからな」
「母さん、陸はとても賢い子に育ったな」
 耕助はコーヒーを飲んだ。
「そうね。自慢の息子よ」
 隣に座るアンは俺の頭を撫でるが、俺は孤児院育ちで、この女とはこの間会ったばかり。何を言っているんだ?
 鼻で笑うが………。

「孤児院でママとも会っているものね」
「………桜は?」
「この子も孤児院育ちよ。ママが育てたの」
「そうか………どうやら、何かが繋がりそうだな」

「お兄ちゃん、それよりバズーカを持っていく?」
「桜、はしゃぐな。それに、バズーカよりも、狙撃ライフルかマシンガンを用意しておけ。相手は特殊部隊の人間だ」
「冴子ちゃん………戻らないの?」

 そんな俺達の前に耕助………父さんが一本の注射を出した?それも、インスリンを打つ様な注射器。

「これで、奴の意識は永遠に消える。出所は聞かないでくれ。それと、この薬を狙っているのは、独裁者だけだ。国際裁判所でも、暗殺と薬の処分の結果が出た。陸、桜、冴子ちゃんを取り戻せなければ、殺せ。そして、遺体も残すな」
「父さん、それは家族会議でも決定事項か?」
「門限みたいなもんだ。陸なら出来るだろう?」
 言って、もう一本の注射器を出した。

「陸、本人に戻れ。「神谷 真」本人に。そして、これは依頼だ。報告は父さんだけで良い。その後は金を持って好きな国に行け。もう………それが最後の指示だ」
「いや………このままの方が幸せだろう。そして、俺は今のままの方が好きだ。そう思っている。今なら………俺は本当の人生を歩めそうだ………でも、冴子が取り戻せなかったら打つ」
「分かった。なら、持っていなさい。さあ、行こう。家族でピクニックだ」
「パパ、食事の後にしないとね」
「そうだな、アン。桜も食べなさい。情報も入るだろうしな」
 言って、父さんはタバコに火をつけた………紫煙が俺達を包む………。
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