BOYS HOLDER(ボーイズホルダー) 〜男の子をゲット&リリース&バトル!〜

命(ミコト)

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〜第3話〜 大混乱!?謎の組織シュリュウ団あらわる!

7.女装少年

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―校庭

私はたむろしているシュリュウ団たちを追い払うために校庭に向かい、彼女たちが視野に入ると大声で叫ぶ。


「こらあんたたち!」

「男子の乱獲はやめて今すぐこの学校からでていきなさい!
 さもなくば―」


「さもなくば…どうする…?」


「ッ!!」


ー瞬間、背後から刺すような気配を感じ、反射的に振り返る。


「…なに?あなた…?」


いつの間にか私の背後に回っていた女性。

テレビに出てきた幹部の女と似たようなガウンを羽織っている。

何か…ただ者じゃない感じ…


「私の名はサヤ。シュリュウ団幹部だ」

「幹部…!」

「お前の名は?」

「な、なんでそんなこと教えなきゃならないの…!
 プライバシーの侵害じゃない?」

「見込みのある相手には名を聞くようにしている。
 が、強制はしない」


犯罪者なのに、やけに武人然とした態度になんかもやっとするな…


「朱美…!花田朱美!」

「朱美…良い名だな、
 先ほどの美鳥といい、今日は良い出会いの多い日だ」

「え…美鳥と会ったの…?」

「ああ、なかなかの腕前だった」

「それってまさか…」

「だが勝者はひとりだ。
 残念だが彼女には土をなめてもらった」

「!!」

「そして…『南 怜音』。良い男子だ。
 我々シュリュウ団の手駒にふさわしい」


そういうと、サヤは美鳥のものと思しきボーイズホルダーを眺める。


「なっ…!そ、それ返しなさい!」

「要求を通したくばバトルで勝てばいい。
 我々男の子使いはそういう宿命だ」

「この…!」

「ただし、私が勝てばお前の男子をもらうがな。
 覚悟はできているか!」

「やってやろうじゃん!」


「「ボーイズバトル!!」」


「アップロード!
 駆け抜けて!水野くん!」

「はっ!」


「南 怜音には及ばないが良い男子だな。
 ならばこちらも、アップロード!」

バシュウン!!

「!!」


サヤのボーイズホルダーから男子が召喚される。

徐々にシルエットが人型の輪郭を帯びていくと、身につけているその衣服には丸みを与えるような意匠があることが確認できた。


「このシルエット…!まさか…!」


「掻き乱せ!『向井 紺太むかい こうた』!」

「はい!」


現れた男子はVネックのセーターにセミロングのスカート、黒のストッキングを身につけた『女装少年』だった。


「な…!?女装少年…!?」



~男の子データ~

向井 紺太むかい こうた

性格:ネガティブ
趣味:アニメ鑑賞
好きなもの:光り物

隠れ女装子。
容姿は特段華美ではないが細身で女装がよく似合う。
自己評価は低め。



「まさか女装男子でくるとは…」

「フッ…ちょっと百合趣味のある私にとって、この紺太は私のモチベーションを最大限まで引き上げる最良の相棒というわけだ」

「なー♡紺太ー♡」

「好いてくれてうれしいです!
 サヤ様♡」


サヤは先ほどまでとは打って変わって猫なで声で男の子に話しかける。


「百合趣味と女装って共存できるの…?」

「その辺のクラスター論争など問題ではない。
 そんなことより試合のルールを決めるぞ。
 この『ボーイズバトルルール決定アプリ』でな!」


サヤがアプリの画面が映し出されたスマートフォンを向ける。


「そんなのあるんだ…」

「ルーレットスタート!」


サヤがボタンをタップするとルール決定アプリのルーレットが作動し始める…


「朱美さん!!」

「ふあっ!?美鳥!?」


突如美鳥が応援に駆けつける。


「朱美さん!その女は…!」

「おっと。余計な口出しは無用だ。
 すでにバトルは始まっている」

「くっ…!」

「大丈夫だって!
 美鳥の怜音はきっと私が取り返すからさ!」

「…ええ、そうね。」

「今は信じるしかないわね…」


やがてルーレットの速度が緩慢になり、ボーイズバトルのルールが映し出される。


「ルールが決まった。『チャームダンス』だ」

「チャームダンス!それってこの前美鳥と愛央が勝負したやつ!」

「でも、ダンスなら運動部な水野くんの方が有利なはず…
 相手は女装男子…勝機はある!」

「確かに紺太の得意種目ではないが…
 女装男子を甘く見ないことだ」

「女装男子であるかどうかはこの際重要ではありませんわ…
 何より、あいつの恐ろしいところは…」


ルールが決まるとシュリュウ団の部下たちがボーイズバトルのための準備を始める。


「審判はシュリュウ団である私の部下が行わせてもらう。異存はあるか?」

「別に誰でもいいよ。あなた不正とかしなさそうだしね」

「フッ…大した自信だな。
 では、始めろ!」

「シャー!」


サヤが指示するとシュリュウ団の部下のひとりが審判として私たちに指示を始める。


「それでは、これよりチャームダンスによるボーイズバトルを始めます。両者位置について…」

「………」

「………」

「ミュージックスタート!!」


シュリュウ団の部下がタブレットを操作し、戦いのための狂想曲が流れ始める。
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