198 / 216
第3章:生い立ち編2 ~見聞の旅路~
第134話 黒魔術の毒薬
しおりを挟む
「セルジオ様っ!!!」
バルドは食堂の床に倒れたセルジオを抱き起し、傍らに立ち尽くしているエリオスを見上げた。
「・・・・バルド殿・・・・ゴホッ!!!」
エリオスが咳と共に深緑色の塊を吐き出し、うずくまった。
「エリオス様っ!!」
オスカーが駆け寄り、腰に下げている革袋から藍色の小袋を慌てて取り出した。
収められていた丸薬を一粒エリオスの口腔内に押し込む。西の屋敷を出立する際にポルデュラから持たされた解毒剤だ。
「ゴクリッ・・・・」
丸薬を飲み込んだエリオスは腹を抱え、苦しそうに顔を歪めていた。
「エリオス様、解毒剤です。今しばらくご辛抱を。直ぐに効いてきます」
オスカーは嘔吐で呼吸が止まらない様、エリオスの身体を横向きに寝かせると立ち上がり、食堂を見渡した。
半数近くの騎士と従士が腹を抱えうずくまっている。
オスカーはコーエンとエデルの姿を探した。
ブレンが指揮を執り、動ける騎士と従士に調理場からいくつも水桶を運ばせていた。
激しく動き回る者達の中にもコーエンとエデルの姿が見当たらない。
オスカーは先ほどまでセルジオとエリオスと共に居た2人の姿がない事に疑念を抱いた。
だが、今は何に毒が混入していたかを探るのが先だと思い至り、エリオスが口にしていた食事の姿を思い返した。
エリオスはコーエンとエデルに勧められ、魚料理を頬張っていた。
数種並べられた魚料理からエリオスが口にしたのは魚の揚げ物だった。
大皿に盛られた魚の揚げ物の下には紅紫色の乾燥したハナズオウの花が敷かれ、小さな黒褐色の丸い粒が散りばめられていた。
貴重な黒胡椒だと思っていたが、ハナズオウの実、豆果であれば毒性がある。
オスカーは指揮を執るブレンに声を上げた。
「ブレン様っ!魚の揚げ物ですっ!ハナズオウの豆果が毒の根源ですっ!食した者以外に害はございませんっ!」
揮発性のある毒であれば吐しゃ物から毒気に当てられる。その場合、至急の洗浄が必要だ。
だが、直接食した物の毒であれば倒れた者の治癒に手が回せる。
ブレンは大きく頷くと号令をかけた。
「解毒を優先させよっ!解毒草を持てっ!」
「はっ!」
「はっ!」
そこへコーエンとエデルが解毒草を煎じた薬湯を手に食堂に姿を現した。
「ブレン様っ!こちらに薬湯を用意しましたっ!」
「おおっ、倒れた者に与えよっ!」
コーエンとエデルが注いだ薬湯を動ける者が倒れた者に与えていく。
食堂を埋め尽くしていた、うめき声が徐々に治まりを見せるとオスカーは横たわるエリオスへ目を移した。
丸薬が効いてきたのかエリオスは呼吸を整え、起き上がろうとしていた。
「エリオス様っ!大事ございませんか?」
オスカーはエリオスの背中を支える。
「うっ・・・大事ない。もう、大丈夫だ」
エリオスは背中に回されたオスカーの腕に身を任せた。
エリオスが薄っすらと目を開ける。
「・・・・オスカー、セルジオ様は?・・・・どちらに・・・・」
オスカーはハッとした表情で先ほどまで隣にいたセルジオとバルドの姿を探した。
食堂全体が混乱していたとは言え、バルドが何も告げずに姿を消すはずがない。
オスカーは辺りを見回した。
エンジェラ河に面した窓辺にマントにくるんだセルジオを抱えるバルドの姿を見つけた。
「バルド殿」
オスカーがバルドの名を呼ぶのと同時に窓外から強い風が食堂を吹き抜けた。
ビュウビュウと音を立て勢いよく食堂内へ風が舞い込む。
あまりの風の強さにオスカーはマントでエリオスをくるみ、顔を伏せた。
ザアァァァァ
水が湧き上がる音が聞こえ目を開けるとトリプライト男爵領外れのブラウ村修道院で目にした水龍が窓外に見えた。
「ウンディーネ様?」
オスカーは水の精霊ウンディーネが水龍の姿で現れたのかと目を凝らした。
強い風に遮られ目を開けるのもままならない中、オスカーはバルドに注視した。
窓から吹き込む強い風をものともせずに窓辺に立つバルドはマントにくるんだセルジオを水龍目掛けて放り投げた。
「なっ!!」
オスカーは思わず声を上げるが、そっと辺りを見回しバルドの行動を気にする者がない事を確認すると口をつぐんだ。
水龍はセルジオを頭頂部で受け止めゴクリと飲み込むと胴体に取り込んだ。
バルドが周りに気取られぬ様、身を縮めてオスカーの傍に戻るとその様子を見ているかの様に食堂に吹き込んでいた強い風はピタリと収まった。
「オスカー殿、エリオス様は大事ございませんか?」
バルドはエリオスの顔を覗き、解毒がされている様子を確認する。
「解毒はされたご様子ですね。よかった」
ほっとした表情を見せると掌に乗せたハナズオウの豆果を凝視した。
黒褐色の豆果から赤黒い靄が上がっていた。
「オスカー殿、毒気を増幅させる黒魔術が施されています」
「!!ではっ!!」
「はい、黒魔女の仕業です。これではポルデュラ様の結界をもってしても防ぎようがございません」
バルドは妙に落ち着いた様子で事態を俯瞰している様だった。
エリオスが身体を起こし、バルドへ問いかける。
「バルド殿、ポルデュラ様から言伝を受け取られたのですね?」
マデュラ騎士団城塞から逃れようと東門へ向かった時、結界を張ったポルデュラがバルドにのみ聞こえる声を届けた。
エリオスはバルドの落ち着き様に今回もバルドにのみ聞こえるポルデュラの声が届いたのだろうと察したのだ。
バルドはエリオスに微笑みを向ける。
「仔細は後程に。エリオス様のお察しの通りにございます」
オスカーはバルドの言葉にホッとした表情を浮かべた。
「まずはセルジオ様の不在を悟られぬ様に致します。オスカー殿、マントをお貸し下さいますか?」
「はっ!承知しました。どうぞ」
バルドはオスカーからマントを受け取るとごそごそと荷物を包んで大事そうに抱えた。
「荷物をセルジオ様に見立てます。滞在部屋に案内して頂きましょう。それと・・・・」
バルドは腰から矢じり型の石灰岩を取り出し、オスカーに手渡す。
「この城塞は縦横無尽に張り巡らされたアリの巣の構造になっています。慣れぬ者が抜け出す事が叶わぬ仕掛けです。先ほど、案内される時にセルジオ様の頭の高さに石灰岩で印を付けておきました。これより案内される滞在部屋まで同じように印を付けて下さい」
「承知しました」
オスカーは受け取りながら抜かりのないバルドの行動に『謀略の魔導士』と謳われていた
かつてのバルドの姿が蘇り、ふっと笑う。
「では、急ぎましょう。この先の事も含め話があります」
バルドは深みを増した紫の瞳を団長ブレンに向けていた。
「黒魔術の毒を城塞に持ち込んだ者の正体もブレン様にお話しせねばなりますまい」
3人は事態の収拾に忙しなく動くマデュラ騎士団団長ブレンと団員を見つめた。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂きありがとうございます。
図られたセルジオの毒殺計画。
セルジオの不在を悟られない策を巡らせるバルド達。
果たして『黒魔術の毒』を仕込んだのは誰なのか?
次回は『セルジオの毒殺計画』に敢えてマデュラ騎士団城塞が選ばれた理由が明らかになります。
次回もよろしくお願い致します。
バルドは食堂の床に倒れたセルジオを抱き起し、傍らに立ち尽くしているエリオスを見上げた。
「・・・・バルド殿・・・・ゴホッ!!!」
エリオスが咳と共に深緑色の塊を吐き出し、うずくまった。
「エリオス様っ!!」
オスカーが駆け寄り、腰に下げている革袋から藍色の小袋を慌てて取り出した。
収められていた丸薬を一粒エリオスの口腔内に押し込む。西の屋敷を出立する際にポルデュラから持たされた解毒剤だ。
「ゴクリッ・・・・」
丸薬を飲み込んだエリオスは腹を抱え、苦しそうに顔を歪めていた。
「エリオス様、解毒剤です。今しばらくご辛抱を。直ぐに効いてきます」
オスカーは嘔吐で呼吸が止まらない様、エリオスの身体を横向きに寝かせると立ち上がり、食堂を見渡した。
半数近くの騎士と従士が腹を抱えうずくまっている。
オスカーはコーエンとエデルの姿を探した。
ブレンが指揮を執り、動ける騎士と従士に調理場からいくつも水桶を運ばせていた。
激しく動き回る者達の中にもコーエンとエデルの姿が見当たらない。
オスカーは先ほどまでセルジオとエリオスと共に居た2人の姿がない事に疑念を抱いた。
だが、今は何に毒が混入していたかを探るのが先だと思い至り、エリオスが口にしていた食事の姿を思い返した。
エリオスはコーエンとエデルに勧められ、魚料理を頬張っていた。
数種並べられた魚料理からエリオスが口にしたのは魚の揚げ物だった。
大皿に盛られた魚の揚げ物の下には紅紫色の乾燥したハナズオウの花が敷かれ、小さな黒褐色の丸い粒が散りばめられていた。
貴重な黒胡椒だと思っていたが、ハナズオウの実、豆果であれば毒性がある。
オスカーは指揮を執るブレンに声を上げた。
「ブレン様っ!魚の揚げ物ですっ!ハナズオウの豆果が毒の根源ですっ!食した者以外に害はございませんっ!」
揮発性のある毒であれば吐しゃ物から毒気に当てられる。その場合、至急の洗浄が必要だ。
だが、直接食した物の毒であれば倒れた者の治癒に手が回せる。
ブレンは大きく頷くと号令をかけた。
「解毒を優先させよっ!解毒草を持てっ!」
「はっ!」
「はっ!」
そこへコーエンとエデルが解毒草を煎じた薬湯を手に食堂に姿を現した。
「ブレン様っ!こちらに薬湯を用意しましたっ!」
「おおっ、倒れた者に与えよっ!」
コーエンとエデルが注いだ薬湯を動ける者が倒れた者に与えていく。
食堂を埋め尽くしていた、うめき声が徐々に治まりを見せるとオスカーは横たわるエリオスへ目を移した。
丸薬が効いてきたのかエリオスは呼吸を整え、起き上がろうとしていた。
「エリオス様っ!大事ございませんか?」
オスカーはエリオスの背中を支える。
「うっ・・・大事ない。もう、大丈夫だ」
エリオスは背中に回されたオスカーの腕に身を任せた。
エリオスが薄っすらと目を開ける。
「・・・・オスカー、セルジオ様は?・・・・どちらに・・・・」
オスカーはハッとした表情で先ほどまで隣にいたセルジオとバルドの姿を探した。
食堂全体が混乱していたとは言え、バルドが何も告げずに姿を消すはずがない。
オスカーは辺りを見回した。
エンジェラ河に面した窓辺にマントにくるんだセルジオを抱えるバルドの姿を見つけた。
「バルド殿」
オスカーがバルドの名を呼ぶのと同時に窓外から強い風が食堂を吹き抜けた。
ビュウビュウと音を立て勢いよく食堂内へ風が舞い込む。
あまりの風の強さにオスカーはマントでエリオスをくるみ、顔を伏せた。
ザアァァァァ
水が湧き上がる音が聞こえ目を開けるとトリプライト男爵領外れのブラウ村修道院で目にした水龍が窓外に見えた。
「ウンディーネ様?」
オスカーは水の精霊ウンディーネが水龍の姿で現れたのかと目を凝らした。
強い風に遮られ目を開けるのもままならない中、オスカーはバルドに注視した。
窓から吹き込む強い風をものともせずに窓辺に立つバルドはマントにくるんだセルジオを水龍目掛けて放り投げた。
「なっ!!」
オスカーは思わず声を上げるが、そっと辺りを見回しバルドの行動を気にする者がない事を確認すると口をつぐんだ。
水龍はセルジオを頭頂部で受け止めゴクリと飲み込むと胴体に取り込んだ。
バルドが周りに気取られぬ様、身を縮めてオスカーの傍に戻るとその様子を見ているかの様に食堂に吹き込んでいた強い風はピタリと収まった。
「オスカー殿、エリオス様は大事ございませんか?」
バルドはエリオスの顔を覗き、解毒がされている様子を確認する。
「解毒はされたご様子ですね。よかった」
ほっとした表情を見せると掌に乗せたハナズオウの豆果を凝視した。
黒褐色の豆果から赤黒い靄が上がっていた。
「オスカー殿、毒気を増幅させる黒魔術が施されています」
「!!ではっ!!」
「はい、黒魔女の仕業です。これではポルデュラ様の結界をもってしても防ぎようがございません」
バルドは妙に落ち着いた様子で事態を俯瞰している様だった。
エリオスが身体を起こし、バルドへ問いかける。
「バルド殿、ポルデュラ様から言伝を受け取られたのですね?」
マデュラ騎士団城塞から逃れようと東門へ向かった時、結界を張ったポルデュラがバルドにのみ聞こえる声を届けた。
エリオスはバルドの落ち着き様に今回もバルドにのみ聞こえるポルデュラの声が届いたのだろうと察したのだ。
バルドはエリオスに微笑みを向ける。
「仔細は後程に。エリオス様のお察しの通りにございます」
オスカーはバルドの言葉にホッとした表情を浮かべた。
「まずはセルジオ様の不在を悟られぬ様に致します。オスカー殿、マントをお貸し下さいますか?」
「はっ!承知しました。どうぞ」
バルドはオスカーからマントを受け取るとごそごそと荷物を包んで大事そうに抱えた。
「荷物をセルジオ様に見立てます。滞在部屋に案内して頂きましょう。それと・・・・」
バルドは腰から矢じり型の石灰岩を取り出し、オスカーに手渡す。
「この城塞は縦横無尽に張り巡らされたアリの巣の構造になっています。慣れぬ者が抜け出す事が叶わぬ仕掛けです。先ほど、案内される時にセルジオ様の頭の高さに石灰岩で印を付けておきました。これより案内される滞在部屋まで同じように印を付けて下さい」
「承知しました」
オスカーは受け取りながら抜かりのないバルドの行動に『謀略の魔導士』と謳われていた
かつてのバルドの姿が蘇り、ふっと笑う。
「では、急ぎましょう。この先の事も含め話があります」
バルドは深みを増した紫の瞳を団長ブレンに向けていた。
「黒魔術の毒を城塞に持ち込んだ者の正体もブレン様にお話しせねばなりますまい」
3人は事態の収拾に忙しなく動くマデュラ騎士団団長ブレンと団員を見つめた。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂きありがとうございます。
図られたセルジオの毒殺計画。
セルジオの不在を悟られない策を巡らせるバルド達。
果たして『黒魔術の毒』を仕込んだのは誰なのか?
次回は『セルジオの毒殺計画』に敢えてマデュラ騎士団城塞が選ばれた理由が明らかになります。
次回もよろしくお願い致します。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる