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お祖父様攻略編
第80話 家族の懺悔
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このままだと辿り着く未来はひとつだけ。
どんな終わりに辿り着いても家族の誰かが必ず傷つくことになる。
そんなの私の夢から一番遠い結果だわ。もし生き残れたとしても家族全員と幸せに過ごすなんてことはできなくなる。
――でも、いくら取り戻そうとしても、もうその未来には繋げられない決定的なことが起こってしまった後なんじゃないか。
そんな思考が咄嗟の判断を邪魔する。
後悔や絶望なんて後からいくらでもできるんだから、今はなにか良い手がないかひたすら考えるべきなのに。……難しい未来を勝ち取りたいならひとりでも頑張るべきなのに。
一言発そうとするたびに声が震えそうになって言葉を飲み込む。
感情を表に出すと、それだけでお祖父様の言葉に同意したも同然の声が出てしまう気がした。
その時、血の気が引いた顔で一歩前へと出たのはお姉様だった。
成長してお母様のように美しくなったけれど、怯えを含んだ表情はどこか怒られる直前の子供のようにも見える。
それでもお姉様は震える唇を無理やり開いて、お祖父様をじっと見据えて言った。
「お……お祖父様。その子は、ヘルガは普通の家族になって、それを続けることを望んでいるんです。きっと凄く小さな頃から」
「そう、だろうな。――私が忌み子として疎み、殺そうと考えていたことを七歳の頃から知っていたそうだ」
お祖父様の言葉にお姉様はびくりと肩を震わせて半歩下がる。
私に視線を向けたその目は信じられないものを見るようなものだったけれど、否定や嫌悪感は含まれていない。たぶんこれは呆れと諦めの感情だわ。
お姉様は泣きそうな顔で頷いた。
「この子は本当にバカだわ。なんで相談しないのよ」
「お姉様……」
「でも、それもそうよね」
お姉様は両親をそっと見てからお祖父様に向き直ると、呼吸を整えて言う。
「私もあなたを殺そうと考えたことがあったんだもの」
「お姉様! それは言っ……」
「言うべきだったのよ。子供の世迷い言として捨て置くべきじゃなかった。だってあのままだったら私、成長したら本当にあなたを殺していたかもしれないのよ」
それも自分の手を汚さず、とお姉様はこぶしを握った。
お姉様と和解できなかったとしても、成長過程のどこかで考えを改めて成長できていたかもしれない。でも必ずそうなったとは未来を予知なんかできない私には言いきれなかった。
お姉様は強く握っていたこぶしを解き、自身の胸元にやって真摯な声で言う。
「お祖父様、この子はそれを許しました。きっと……お祖父様のその計画も許したんじゃありませんか?」
「……」
「今は私もこの子と真っ当な家族でいたい。この子の夢を叶えてあげたいと思ってます。その上で、お祖父様にも事情があったのなら話を聞きたいと思っている。……家族だからです」
お祖父様は家族の絆は壊れたと言った。
けれどそれは壊れてなんかいないと、お姉様は秘密を暴露してまで示してくれた。
涙ぐむのを堪えていると――今度はお父様が前に出る。構えたままの剣の切っ先が僅かに震えていたけれど、迷いなく口を開く。
「ずっと理解したつもりだったけれど……今やっと本当に理解したよ。ヘルガはこんなにも苦しいことを三つも抱えて生きてきたのか」
「三つ……?」
お母様が目を瞬かせてお父様を見上げた。
お父様は一度だけ柔らかく微笑むと、お母様に「ごめんよ。でも聞いてほしい」と語りかけてからお祖父様に視線を戻す。
「決して話してはならないことだった。けれど罪を犯したお義父さんともう一度家族としてやり直すこと、それがヘルガの望みなら……ここで俺が黙ったままでいていいはずがない」
「お、お父様」
「大丈夫だよ、ヘルガ。僕はどれだけ責められても君たちと家族でいることは諦めないから」
そう私に伝えて、お父様はそのまま言い放った。
「俺の本当の名前はアロウズ・ファスタリアだ」
「――!」
「貴方なら聞いたことはあるだろう? 俺の家系魔法も影ではなく闇。ファスタリアのものだ」
かつてエペトのアルンバルトさんから聞いた話が確かなら、お祖父様からすればファスタリアは『ヘーゼロッテ家の家系魔法の流出先』のひとつだ。
そしてヘーゼロッテ家に没落させられ、恨みを持っていることも知っている。
だから名前から察しがついたのかもしれない。お祖父様はまるで突然目の前に復讐者が現れたのを目の当たりにしたような顔をしていた。
「……そうか。そして我が家に潜り込み、復讐の機会でも狙っていたのか?」
「ああ、かつて妹を失ったお前に対して……見せしめとして次子、つまりヘルガを殺してからネタばらしをしてやろうと考えていた。一族の総意でね」
お姉様たちが小さく息を呑む音がする。
その小さな音だけで心が苦しくなったのは私だけでなく、お父様も同じはず。
しかしお父様は話すのをやめなかった。
「でも俺は初めて本当の家族を持って、これを手放したくないと思ってしまった。それからは計画の先延ばしに必死だったよ、けどヘルガにすべて知られてしまった」
「……」
「この子はそれすら許したんだ」
「……アロウズ。お前のその家系魔法は――元は我々ヘーゼロッテのものだ」
お祖父様は初めより更にしわがれた声で言う。
「ヘーゼロッテ家はな、初めて現れた忌み子……ヘーゼロッテ家の外見特徴を一切受け継いでいない者によって、家系魔法をよそに持ち出されたんだ。そのひとつがお前の祖先だ」
「な……」
「治癒の家系魔法はヘーゼロッテ家が他の家系に対して同じことをして取り入れ、書き換えたものに過ぎない。……いいか、それほど家族の絆など脆いものだ。そんなものでもお前たちは守りたいのか」
お祖父様は汚れた家門でも守りたがっていた。
私たちは汚れた家族でも守りたがっていた。
それらは似ているのに違うものなのだと、お祖父様の問いがそう言っているようで肩が震える。
お父様はしばらく黙り込んだけれど、そこでずっと押し黙ることはしなかった。
「家系魔法の因縁が本当にそうだとしても、俺の一族の恨みは変わらなかっただろう。当時の俺の気持ちも、今の僕の気持ちも。……僕はそれでも家族でいたい」
「あなた……」
「汚れた僕を受け入れてくれるなら、だけれどね」
お母様にそう言ったお父様は初めて少し臆病な顔をする。
お母様は私の命を狙うこともなく、ずっと家族として愛してくれた人だ。
その気持ちは一度もブレたことがないし、お父様やお姉様や……そしてお祖父様に向けた愛情も同じだったと思う。
辛そうな顔をさせたくなくて、ずっとお母様には話してこなかった。
けれど、今この場にいるすべての人の視線が集まるような状況にしてしまった。
胸の中に黒い不安感が渦巻く。
お母様がすべてを拒絶すれば家族はそこで終わってしまうかもしれない。
けれど誰もそれを責められない。この中で一番の被害者は私じゃなくて、お母様だもの。
むしろ、このままなにも言わずに逃げてしまう可能性すらあった。
私はお母様が楽になるならそれでもいいと思ってしまっている。それほど辛い状況だと思うから。
けれど――お母様は、決して視線を落とさなかった。
どんな終わりに辿り着いても家族の誰かが必ず傷つくことになる。
そんなの私の夢から一番遠い結果だわ。もし生き残れたとしても家族全員と幸せに過ごすなんてことはできなくなる。
――でも、いくら取り戻そうとしても、もうその未来には繋げられない決定的なことが起こってしまった後なんじゃないか。
そんな思考が咄嗟の判断を邪魔する。
後悔や絶望なんて後からいくらでもできるんだから、今はなにか良い手がないかひたすら考えるべきなのに。……難しい未来を勝ち取りたいならひとりでも頑張るべきなのに。
一言発そうとするたびに声が震えそうになって言葉を飲み込む。
感情を表に出すと、それだけでお祖父様の言葉に同意したも同然の声が出てしまう気がした。
その時、血の気が引いた顔で一歩前へと出たのはお姉様だった。
成長してお母様のように美しくなったけれど、怯えを含んだ表情はどこか怒られる直前の子供のようにも見える。
それでもお姉様は震える唇を無理やり開いて、お祖父様をじっと見据えて言った。
「お……お祖父様。その子は、ヘルガは普通の家族になって、それを続けることを望んでいるんです。きっと凄く小さな頃から」
「そう、だろうな。――私が忌み子として疎み、殺そうと考えていたことを七歳の頃から知っていたそうだ」
お祖父様の言葉にお姉様はびくりと肩を震わせて半歩下がる。
私に視線を向けたその目は信じられないものを見るようなものだったけれど、否定や嫌悪感は含まれていない。たぶんこれは呆れと諦めの感情だわ。
お姉様は泣きそうな顔で頷いた。
「この子は本当にバカだわ。なんで相談しないのよ」
「お姉様……」
「でも、それもそうよね」
お姉様は両親をそっと見てからお祖父様に向き直ると、呼吸を整えて言う。
「私もあなたを殺そうと考えたことがあったんだもの」
「お姉様! それは言っ……」
「言うべきだったのよ。子供の世迷い言として捨て置くべきじゃなかった。だってあのままだったら私、成長したら本当にあなたを殺していたかもしれないのよ」
それも自分の手を汚さず、とお姉様はこぶしを握った。
お姉様と和解できなかったとしても、成長過程のどこかで考えを改めて成長できていたかもしれない。でも必ずそうなったとは未来を予知なんかできない私には言いきれなかった。
お姉様は強く握っていたこぶしを解き、自身の胸元にやって真摯な声で言う。
「お祖父様、この子はそれを許しました。きっと……お祖父様のその計画も許したんじゃありませんか?」
「……」
「今は私もこの子と真っ当な家族でいたい。この子の夢を叶えてあげたいと思ってます。その上で、お祖父様にも事情があったのなら話を聞きたいと思っている。……家族だからです」
お祖父様は家族の絆は壊れたと言った。
けれどそれは壊れてなんかいないと、お姉様は秘密を暴露してまで示してくれた。
涙ぐむのを堪えていると――今度はお父様が前に出る。構えたままの剣の切っ先が僅かに震えていたけれど、迷いなく口を開く。
「ずっと理解したつもりだったけれど……今やっと本当に理解したよ。ヘルガはこんなにも苦しいことを三つも抱えて生きてきたのか」
「三つ……?」
お母様が目を瞬かせてお父様を見上げた。
お父様は一度だけ柔らかく微笑むと、お母様に「ごめんよ。でも聞いてほしい」と語りかけてからお祖父様に視線を戻す。
「決して話してはならないことだった。けれど罪を犯したお義父さんともう一度家族としてやり直すこと、それがヘルガの望みなら……ここで俺が黙ったままでいていいはずがない」
「お、お父様」
「大丈夫だよ、ヘルガ。僕はどれだけ責められても君たちと家族でいることは諦めないから」
そう私に伝えて、お父様はそのまま言い放った。
「俺の本当の名前はアロウズ・ファスタリアだ」
「――!」
「貴方なら聞いたことはあるだろう? 俺の家系魔法も影ではなく闇。ファスタリアのものだ」
かつてエペトのアルンバルトさんから聞いた話が確かなら、お祖父様からすればファスタリアは『ヘーゼロッテ家の家系魔法の流出先』のひとつだ。
そしてヘーゼロッテ家に没落させられ、恨みを持っていることも知っている。
だから名前から察しがついたのかもしれない。お祖父様はまるで突然目の前に復讐者が現れたのを目の当たりにしたような顔をしていた。
「……そうか。そして我が家に潜り込み、復讐の機会でも狙っていたのか?」
「ああ、かつて妹を失ったお前に対して……見せしめとして次子、つまりヘルガを殺してからネタばらしをしてやろうと考えていた。一族の総意でね」
お姉様たちが小さく息を呑む音がする。
その小さな音だけで心が苦しくなったのは私だけでなく、お父様も同じはず。
しかしお父様は話すのをやめなかった。
「でも俺は初めて本当の家族を持って、これを手放したくないと思ってしまった。それからは計画の先延ばしに必死だったよ、けどヘルガにすべて知られてしまった」
「……」
「この子はそれすら許したんだ」
「……アロウズ。お前のその家系魔法は――元は我々ヘーゼロッテのものだ」
お祖父様は初めより更にしわがれた声で言う。
「ヘーゼロッテ家はな、初めて現れた忌み子……ヘーゼロッテ家の外見特徴を一切受け継いでいない者によって、家系魔法をよそに持ち出されたんだ。そのひとつがお前の祖先だ」
「な……」
「治癒の家系魔法はヘーゼロッテ家が他の家系に対して同じことをして取り入れ、書き換えたものに過ぎない。……いいか、それほど家族の絆など脆いものだ。そんなものでもお前たちは守りたいのか」
お祖父様は汚れた家門でも守りたがっていた。
私たちは汚れた家族でも守りたがっていた。
それらは似ているのに違うものなのだと、お祖父様の問いがそう言っているようで肩が震える。
お父様はしばらく黙り込んだけれど、そこでずっと押し黙ることはしなかった。
「家系魔法の因縁が本当にそうだとしても、俺の一族の恨みは変わらなかっただろう。当時の俺の気持ちも、今の僕の気持ちも。……僕はそれでも家族でいたい」
「あなた……」
「汚れた僕を受け入れてくれるなら、だけれどね」
お母様にそう言ったお父様は初めて少し臆病な顔をする。
お母様は私の命を狙うこともなく、ずっと家族として愛してくれた人だ。
その気持ちは一度もブレたことがないし、お父様やお姉様や……そしてお祖父様に向けた愛情も同じだったと思う。
辛そうな顔をさせたくなくて、ずっとお母様には話してこなかった。
けれど、今この場にいるすべての人の視線が集まるような状況にしてしまった。
胸の中に黒い不安感が渦巻く。
お母様がすべてを拒絶すれば家族はそこで終わってしまうかもしれない。
けれど誰もそれを責められない。この中で一番の被害者は私じゃなくて、お母様だもの。
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けれど――お母様は、決して視線を落とさなかった。
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