105 / 173
連載
閑話 その時のパーシヴァル その2
しおりを挟む
北の城壁塔なる地下に放り込まれた俺は、散々殴られた後、手足を鎖で拘束され壁に磔にされた。抵抗する気力を削ぐつもりだったのだろうが、その程度で折れるような柔な心も体もしていない。
文字通り手も足も出ない状態にされはしたが、ケルサスにはヴァンダーウォールから同行した騎士が何かあった時のために潜んでいる。このまま俺たちからの連絡が途絶えれば、彼らはすぐに動いてくれるだろうが、父たちに状況が伝わるまでにまだ時間は掛かるだろう。
ぐったりとしたサフィラスを、シュテルンクルストの騎士が乱暴に運んでゆく様が、はっきりと脳裏に焼き付いている。怒りと、己の不甲斐なさに、焼け付くような怒りが湧き上がった。
「くそっ……!」
力任せに鎖を引くも、耳障りな音が響いただけで当然びくともしない。
サフィラスから貰った護りは、大事な時にしっかりと働いてくれたというのに。俺の力が及ばないばかりに、戦乙女が作ってくれた好機を活かすことができなかった。だが、今それを嘆くことに意味はない。俺の心を乱し、冷静さを失わせることもあの男の狙いだろう。嘆いている暇があるなら、この状況をどう切り抜けるかを考えなければ。
俺は息を深く吸って頭を落ち着かせる。
サフィラス奪還のために、直ちにヴァンダーウォールが動いたとしても、相手は王族。この国の王太子だ。すぐにどうにかできるとも思えない。それどころか、俺たちを人質として利用することも考えられる。
なんとかこの状況を好転させたいが、まずは魔力が回復しなければ始まらない。
懐の戦乙女の誓いは、あれほど熱かったのが嘘のように冷たくなり沈黙している。シュテルンクルストの連中が、精霊を召喚したのはサフィラスだと思い込んでいることが幸いして護りを奪われることはなかったが、魔力が回復したところで、再びこの魔法具が発動するかはわからない。だが、今はこれに一縷の望みをかける。
今に至ってよく考えれば、茶に何かを仕込むことなど簡単なことだった。
ずっと引っかかってはいた。なぜ、あれほど茶を入れ替えるのか。茶会で数種類の茶を振る舞うことはよくあることだ。だが、それにしてもその回数は多いように思えた。その違和感を何故無視してしまったのか。
おそらく、薬はポットの注ぎ口に塗られていたのだろう。注がれる茶とともに、薬はサフィラスのカップに流れ込む。だから、最初にお茶を注ぐのは必ずサフィラスだった。
格上の相手から勧められているのに、一口も口をつけなければ失礼になる。警戒しているサフィラスがカップに注がれた茶を一口しか飲まなくとも、それを数度繰り返せば体は確実に薬の影響を受ける。そんな単純な仕掛けに、まんまと引っかかってしまった。
俺のベリサリオの直感は、安穏と生活している間に随分と錆びついたものだ。
それにしても、ここには随分と濃い魔気が漂っている。一体この地下に何があるというんだ? まさか、深淵の上に城を建てたわけでもないだろう。これだけの魔気となれば、それなりの大きさの深淵のはずだ。
「気分はいかがかな? ベリサリオ卿」
足音が聞こえてきたので警戒していれば、現れたのはシュテルンクルストの騎士を二人引き連れたサフィラスの兄だった。いや、元兄と言うべきか。
ケルサスでサフィラスがこの男の姿を見ていた。その登場に今更驚きはしない。祖国での居場所を失い、この国に逃げ込んだのだろうが、そんなことはもはやどうでもいい。
「……どうして、あなたがその杖と指輪を持っている?」
いかにも見せつけるようにサフィラスの杖を腰に下げ、盟友の証を指にはめていることに嫌悪感を抱く。
サフィラスが素直に杖と指輪を渡すはずがない。まだ意識がないままなのか、それとも抵抗できない状況に置かれているのか……
「ああ、これか。あれはもう王太子殿下の愛玩奴隷だ。杖も指輪も必要ない。だから、代わりに私が有効に使ってやっているのだ。今頃はあれにふさわしい首輪を与えられているだろうさ」
「……」
おそらく隷属の首輪のことだろう。あの魔法具はサフィラスには効かない。
だが……万が一、サフィラスの魔法を封じることができる新たな魔法具だとしたら……
じわりと不安が湧き上がる。
「それよりも、ベリサリオ卿。貴殿は私に下賜されることになった」
「下賜だと?」
「そうとも。私はこのシュテルンクルスト王国の王宮付き魔法使いとして迎えられた。シュテルンクルストは間も無く、この大陸を統べる大国となる。その大国の魔法使いである優秀な私の騎士になれるのだから、光栄に思うがいい」
あの男が言っていた居場所と言うのは、このことだったのか。
この国で何故、ここまでサフィラスが軽んじられるのかその謎が解けた。いくら家名がないからと言っても、ソルモンターナの公爵家や辺境伯家の庇護下にあるサフィラスを侮り過ぎている。
だが、伯爵や元兄がこの企みに絡んでいたのならば納得だ。伯爵家の人々は、血が繋がっていながらも、長い間サフィラスを物のように扱ってきた。彼から縁を切られたというのに、今でもその考えを改めることが出来ていない。何も見えておらず、何も理解しようとはしない。本当に愚かな者たちだ。
「……馬鹿げた話だ。俺がお前の騎士になどなるわけがないだろう」
「なぜ? 私の方があれよりもずっと優秀だ。辺境伯家の出とはいえ、所詮は三男でしかないお前を、この私が特別に取り立ててやろうと言ってるんだぞ」
本当にこの男はサフィラスと血が繋がっているんだろうか? 顔の作りに僅かに似ているところがないともいえないが、その性根の悪さが表情に現れてもはや醜悪でさえある。
「そもそも俺はあの王太子の所有物ではない。下賜などと、おかしなことを言う。そうでなくとも、お前に仕えるくらいなら、死ぬ方がよっぽどましだな」
俺は何があろうとサフィラスと共に生きると決めている。その俺が、サフィラスを虐げてきたこの男の騎士になるなどと、笑止の沙汰だ。
「なっ! ……後悔するなよ!」
サフィラスの元兄は、激昂して牢の鉄格子を思い切り蹴飛ばすと、地上へと戻って行った。杖も指輪も必ず取り戻す。あれはサフィラスのものだ。
今、サフィラスはあの王太子の元にいるのだろうか? あの男は意識のないサフィラスに何をするかわからない。明らかに、そう言う目で、サフィラスを見ていた。己の欲を満たすために、躊躇いなくサフィラスの尊厳を奪う可能性もある。そして、それはいとも容易く心を折ることができる方法だ。
「……サフィラス……どうか、無事でいてくれ」
「パーシヴァル!」
突然地下に現れたサフィラスが、牢の中に飛び込んできた。
「サフィラス!?」
驚いている間に、俺の手足を拘束する枷を魔法で難なく砕く。
サフィラスの魔法の実力を考えれば、意識さえ取り戻せば自らの力で脱出することは難しくはない。首輪もすでに外してきたのだろう。
思ったよりも薬の影響を受けていない様子に安堵する。飲んだのは、本当に僅かだったのだろう。
無事な姿に安堵したのも一瞬。サフィラスの姿に、心の臓が嫌な鼓動を打つ。
まるで娼館の男娼のような服を身につけているサフィラスは、白い肌のほとんどが露わになり、心許ない下履きが辛うじて陰部を覆っているだけだ。足元を見れば、靴すら履いていない。思わず目を覆いたくなるような姿に、言葉を失う。
「切れてるじゃないか……」
サフィラスの指が、口元の傷にそっと触れる。ただ俺を気遣ってくれているだけだと言うのに、その姿のせいで妙に艶めかしく見えてしまう。
「くそぅ……アイツら、パーシヴァルをこんな目に合わせやがって」
「俺は大丈夫だ、この程度でどうにかなるような柔な体はしていない。それよりもサフィラス……その姿は……」
「ああ、これ? なんだか気がついたら、こんな格好をさせられてたんだ」
なんてことのないように言うサフィラスに、急いで脱いだ上着を着せ掛ける。
嫌な想像に心を乱されるが、いつもと変わらない様子から察するに、おそらくサフィラスの身は清いままだろう。
だが、こんなにも素肌が晒される姿にされているのだ。何者かがサフィラスの肌に触れただけではなく、背中の傷痕までもを見ている。俺の知らないところでサフィラスに触れたその手を切り落とし、傷を見たその目を潰してやりたい……腹の底で蠢き出した言いようのない感情を押さえ込むために、ぐっと奥歯を噛み締めた。だが、どんなに抑え込んでも、凶暴なその感情が鎮まることはない。
「と、とりあえず、ここを出よう」
慌ててそう言ったサフィラスが、俺の腕を掴む。暗闇だった視界が突然明るくなり、堪らずに目を眇めれば、そこはすでにヴァンダーウォールの城だった。
文字通り手も足も出ない状態にされはしたが、ケルサスにはヴァンダーウォールから同行した騎士が何かあった時のために潜んでいる。このまま俺たちからの連絡が途絶えれば、彼らはすぐに動いてくれるだろうが、父たちに状況が伝わるまでにまだ時間は掛かるだろう。
ぐったりとしたサフィラスを、シュテルンクルストの騎士が乱暴に運んでゆく様が、はっきりと脳裏に焼き付いている。怒りと、己の不甲斐なさに、焼け付くような怒りが湧き上がった。
「くそっ……!」
力任せに鎖を引くも、耳障りな音が響いただけで当然びくともしない。
サフィラスから貰った護りは、大事な時にしっかりと働いてくれたというのに。俺の力が及ばないばかりに、戦乙女が作ってくれた好機を活かすことができなかった。だが、今それを嘆くことに意味はない。俺の心を乱し、冷静さを失わせることもあの男の狙いだろう。嘆いている暇があるなら、この状況をどう切り抜けるかを考えなければ。
俺は息を深く吸って頭を落ち着かせる。
サフィラス奪還のために、直ちにヴァンダーウォールが動いたとしても、相手は王族。この国の王太子だ。すぐにどうにかできるとも思えない。それどころか、俺たちを人質として利用することも考えられる。
なんとかこの状況を好転させたいが、まずは魔力が回復しなければ始まらない。
懐の戦乙女の誓いは、あれほど熱かったのが嘘のように冷たくなり沈黙している。シュテルンクルストの連中が、精霊を召喚したのはサフィラスだと思い込んでいることが幸いして護りを奪われることはなかったが、魔力が回復したところで、再びこの魔法具が発動するかはわからない。だが、今はこれに一縷の望みをかける。
今に至ってよく考えれば、茶に何かを仕込むことなど簡単なことだった。
ずっと引っかかってはいた。なぜ、あれほど茶を入れ替えるのか。茶会で数種類の茶を振る舞うことはよくあることだ。だが、それにしてもその回数は多いように思えた。その違和感を何故無視してしまったのか。
おそらく、薬はポットの注ぎ口に塗られていたのだろう。注がれる茶とともに、薬はサフィラスのカップに流れ込む。だから、最初にお茶を注ぐのは必ずサフィラスだった。
格上の相手から勧められているのに、一口も口をつけなければ失礼になる。警戒しているサフィラスがカップに注がれた茶を一口しか飲まなくとも、それを数度繰り返せば体は確実に薬の影響を受ける。そんな単純な仕掛けに、まんまと引っかかってしまった。
俺のベリサリオの直感は、安穏と生活している間に随分と錆びついたものだ。
それにしても、ここには随分と濃い魔気が漂っている。一体この地下に何があるというんだ? まさか、深淵の上に城を建てたわけでもないだろう。これだけの魔気となれば、それなりの大きさの深淵のはずだ。
「気分はいかがかな? ベリサリオ卿」
足音が聞こえてきたので警戒していれば、現れたのはシュテルンクルストの騎士を二人引き連れたサフィラスの兄だった。いや、元兄と言うべきか。
ケルサスでサフィラスがこの男の姿を見ていた。その登場に今更驚きはしない。祖国での居場所を失い、この国に逃げ込んだのだろうが、そんなことはもはやどうでもいい。
「……どうして、あなたがその杖と指輪を持っている?」
いかにも見せつけるようにサフィラスの杖を腰に下げ、盟友の証を指にはめていることに嫌悪感を抱く。
サフィラスが素直に杖と指輪を渡すはずがない。まだ意識がないままなのか、それとも抵抗できない状況に置かれているのか……
「ああ、これか。あれはもう王太子殿下の愛玩奴隷だ。杖も指輪も必要ない。だから、代わりに私が有効に使ってやっているのだ。今頃はあれにふさわしい首輪を与えられているだろうさ」
「……」
おそらく隷属の首輪のことだろう。あの魔法具はサフィラスには効かない。
だが……万が一、サフィラスの魔法を封じることができる新たな魔法具だとしたら……
じわりと不安が湧き上がる。
「それよりも、ベリサリオ卿。貴殿は私に下賜されることになった」
「下賜だと?」
「そうとも。私はこのシュテルンクルスト王国の王宮付き魔法使いとして迎えられた。シュテルンクルストは間も無く、この大陸を統べる大国となる。その大国の魔法使いである優秀な私の騎士になれるのだから、光栄に思うがいい」
あの男が言っていた居場所と言うのは、このことだったのか。
この国で何故、ここまでサフィラスが軽んじられるのかその謎が解けた。いくら家名がないからと言っても、ソルモンターナの公爵家や辺境伯家の庇護下にあるサフィラスを侮り過ぎている。
だが、伯爵や元兄がこの企みに絡んでいたのならば納得だ。伯爵家の人々は、血が繋がっていながらも、長い間サフィラスを物のように扱ってきた。彼から縁を切られたというのに、今でもその考えを改めることが出来ていない。何も見えておらず、何も理解しようとはしない。本当に愚かな者たちだ。
「……馬鹿げた話だ。俺がお前の騎士になどなるわけがないだろう」
「なぜ? 私の方があれよりもずっと優秀だ。辺境伯家の出とはいえ、所詮は三男でしかないお前を、この私が特別に取り立ててやろうと言ってるんだぞ」
本当にこの男はサフィラスと血が繋がっているんだろうか? 顔の作りに僅かに似ているところがないともいえないが、その性根の悪さが表情に現れてもはや醜悪でさえある。
「そもそも俺はあの王太子の所有物ではない。下賜などと、おかしなことを言う。そうでなくとも、お前に仕えるくらいなら、死ぬ方がよっぽどましだな」
俺は何があろうとサフィラスと共に生きると決めている。その俺が、サフィラスを虐げてきたこの男の騎士になるなどと、笑止の沙汰だ。
「なっ! ……後悔するなよ!」
サフィラスの元兄は、激昂して牢の鉄格子を思い切り蹴飛ばすと、地上へと戻って行った。杖も指輪も必ず取り戻す。あれはサフィラスのものだ。
今、サフィラスはあの王太子の元にいるのだろうか? あの男は意識のないサフィラスに何をするかわからない。明らかに、そう言う目で、サフィラスを見ていた。己の欲を満たすために、躊躇いなくサフィラスの尊厳を奪う可能性もある。そして、それはいとも容易く心を折ることができる方法だ。
「……サフィラス……どうか、無事でいてくれ」
「パーシヴァル!」
突然地下に現れたサフィラスが、牢の中に飛び込んできた。
「サフィラス!?」
驚いている間に、俺の手足を拘束する枷を魔法で難なく砕く。
サフィラスの魔法の実力を考えれば、意識さえ取り戻せば自らの力で脱出することは難しくはない。首輪もすでに外してきたのだろう。
思ったよりも薬の影響を受けていない様子に安堵する。飲んだのは、本当に僅かだったのだろう。
無事な姿に安堵したのも一瞬。サフィラスの姿に、心の臓が嫌な鼓動を打つ。
まるで娼館の男娼のような服を身につけているサフィラスは、白い肌のほとんどが露わになり、心許ない下履きが辛うじて陰部を覆っているだけだ。足元を見れば、靴すら履いていない。思わず目を覆いたくなるような姿に、言葉を失う。
「切れてるじゃないか……」
サフィラスの指が、口元の傷にそっと触れる。ただ俺を気遣ってくれているだけだと言うのに、その姿のせいで妙に艶めかしく見えてしまう。
「くそぅ……アイツら、パーシヴァルをこんな目に合わせやがって」
「俺は大丈夫だ、この程度でどうにかなるような柔な体はしていない。それよりもサフィラス……その姿は……」
「ああ、これ? なんだか気がついたら、こんな格好をさせられてたんだ」
なんてことのないように言うサフィラスに、急いで脱いだ上着を着せ掛ける。
嫌な想像に心を乱されるが、いつもと変わらない様子から察するに、おそらくサフィラスの身は清いままだろう。
だが、こんなにも素肌が晒される姿にされているのだ。何者かがサフィラスの肌に触れただけではなく、背中の傷痕までもを見ている。俺の知らないところでサフィラスに触れたその手を切り落とし、傷を見たその目を潰してやりたい……腹の底で蠢き出した言いようのない感情を押さえ込むために、ぐっと奥歯を噛み締めた。だが、どんなに抑え込んでも、凶暴なその感情が鎮まることはない。
「と、とりあえず、ここを出よう」
慌ててそう言ったサフィラスが、俺の腕を掴む。暗闇だった視界が突然明るくなり、堪らずに目を眇めれば、そこはすでにヴァンダーウォールの城だった。
2,061
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。