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連載
湖の辺りで その1
「いよいよ長期休暇だー!」
勢いよく寝台に飛び込んだ俺を、寝具が柔らかく受け止めた。
今学期は到達度試験が無いおかげで、なんの憂いもなく長期休暇を迎えることができる。他の科目はともかく、芸術に関しては使える予備知識が全くないので、試験があったら確実に追試だっただろう。
第二学年に進級してからというもの、全く言っていいほど落ち着く暇がなかった。シュテルンクルストの留学を皮切りに、王都の魔獣騒動に厄災竜復活。それから婚約のお披露目の後は王太子殿下とアウローラと共にトルンクスに行って魔法を披露したりと、息を吐く間もないとはまさにこのことだ。
トルンクスではとんでも令息と令嬢から罠に嵌められそうになったけれど、パーシヴァルの機転で危機は回避できた。トルンクスの国王陛下と王妃殿下には、かえってこちらが申し訳なくなるほど謝罪されたけど、奇怪な魔法でパーシヴァルの具合が悪くなると言う実害があったとはいえ、恥をかいたのはむしろご令嬢の方だからね。それに俺たちはお祝いをしにきているのだから、これ以上事を荒立てることもない。そんな俺たちの意向を汲んで、メルキオール殿下がうまく話をまとめてくれた。
ちなみに、干し杏は無事に買うことができたよ。おばちゃんは俺たちのことを覚えていて、すごく美味しかったと伝えたら、たくさんおまけをしてくれた。
帰国すると、俺が披露した魔法はすでに城内で噂になっていた。各国の王族や大使たちが、さすがは大国ソルモンターナ! 魔法を芸術にまで高めるとは! なーんて、たいそう評価してくれたおかげで、魅せる魔法を反対していた連中がころっと態度を変えたらしい。ガブリエルさんはご機嫌で、「これから忙しくなるわ!」と張り切っていた。
とまぁこんな感じで、この数ヶ月は何があったかわからないくらいに目まぐるしく過ぎていった。学院にいる時間がほとんどなかったから、もしかしたらクラスメイトに忘れられているかも? と思ったけど、みんなちゃんと俺のことを覚えていてくれた。
そして明日からの長期休暇は、パーシヴァルと一緒にヴァンダーウォールに向かう。すでに大分お世話になっている俺は、生活に必要なものを揃えてもらっていて、特に持ってゆくものはないので手ぶらでいい。
それにアデライン夫人が1日も早く帰ってきて欲しいというので、ヴァンダーウォールには転移で向かうことになっている。旅も好きだけれど、それはまた別の機会のお楽しみだ。
何はともあれ、ヴァンダーウォールでは思いっきり羽を伸ばすつもり。まぁ、俺は何処でだって羽を伸ばしているけどね。
「サフィ! お帰りなさい! 待っていたわ!」
「ふぎゅっ……!」
転移で城のエントランスホールに降り立つなり、俺はアデライン夫人に抱きしめられた。
「奥様、落ち着いてください。サフィラス様が息ができずにおりますぞ」
「あ、あら……ごめんなさい。久しぶりだったので、つい……」
ジェイコブさんに嗜められて、アデライン夫人は慌てて俺を解放してくれた。相変わらず見た目によらず力が強い。もうすっかり慣れたけど。
「あちらでのことは、聞いているわ。本当に大変だったわね」
「いいえ。パーシヴァルが一緒だったので、大丈夫でした」
「まぁ、ふふっ……それならばよかったわ。まずは、二人ともお疲れ様でした。今夜はサフィのお好きなお肉のメニューを色々と用意しているから、楽しみにしていてね。晩餐までは部屋でゆっくりとくつろいでちょうだい」
肉! それは楽しみだな……肉料理に思いを馳せながら、パーシヴァルと部屋に向かう。
「疲れてはいないか?」
「大袈裟だよ。転移で移動しただけじゃないか」
「……そうだな。じゃぁ、また後で」
パーシヴァルはふっと表情を緩めると、俺の髪にそっと触れる。
おっと、きたぞ! 最近のパーシヴァルは、すぐ甘い空気を醸し出してくるからな。慣れてはきたとはいえ、普段真面目なパーシヴァルに優しげな笑みを浮かべられ、俺の頬がじわじわと熱をもつ。
もしかしたらパーシヴァルは俺が動揺する様を楽しんでいるんじゃないかなんて疑惑を抱きつつも、隣の自室に向かうパーシヴァルの背中を見送って部屋に入ると、そこにはアンナさんとクララベルさんが待ち構えていた。
「おかえりなさませ、サフィラス様!」
「さぁ、さぁ、サフィラス様、ご入浴の準備が整っておりますよ」
「え? え、えっと?」
挨拶もそこそこに、俺は二人に浴室に押し込まれる。浴槽にはお湯がたっぷりと張られ、レモネのオイルを垂らしているのか、爽やかな良い香りに満ちていた。
学院でも高位貴族の寮部屋になってからはお風呂も好きに入れるけど、あんまりゆっくりお湯に浸かったりはしない。なにしろ、学生は色々とやることがあって忙しいからね。
せっかくなので爽やかなリモネの香りを楽しみながら、いつもよりも長めのお風呂を堪能して浴室から出ると、美の魔法使い二人組にソファーへ案内される。
「さぁ、こちらへ。マッサージをいたしましょう」
「まぁ、まぁ、すっかり体が凝っていらっしゃいますわ」
ふかふかのソファで頭の先から手足の指先まで揉みほぐされて、俺はすっかりふにゃふにゃになってしまった。マッサージが絶妙な力加減で、なんとも微妙に痛くて気持ちいい。
別に疲れてないといっておきながら、マッサージの心地よさに負けた俺は、晩餐の時間だとパーシヴァルが呼びにくるまでぐっすりと眠りこけてしまった……
ヴァンダーウォール初日。俺はパーシヴァルと一緒に湖に来ている。
もちろんマテオに乗ってだ。
ランチはローストビーフと揚げた鳥のサンドウィッチ。それからお茶請けにはレモネのタルト。
去年はうっかり寝こけて釣りしかできなかったから、今年は泳ぐし散策もするぞ。せっかく綺麗な湖に連れて来てもらって、寝ているだけなんて勿体無いがすぎるだろう。
それに、今年は魔法を使わないで擬似餌を遠くに投げられるようになりたいし。
「今回こそ、湖を満喫するぞ!」
そう宣言をした俺は、早速竿を準備して釣りを始める。
去年パーシヴァルに教わったことを思い出しながら、何度か擬似餌を投げているうちにだんだんコツが掴めてきた。もう魔法を使わなくても、ちゃんと思い通りの場所に餌を落とすことができる。
「随分と上手くなったな」
「本当?」
「ああ」
パーシヴァルのお墨付きももらったし、今日はたくさん鱒を釣って今夜の晩餐はムニエにしてもらうんだ。
豊かな牛酪の香りに、パリパリで香ばしい皮とふっくらした白身……
「サフィラス、」
お皿の上のムニエを想像していたら、パーシヴァルに声を掛けられてハッとする。俺が擬似餌を投げたあたりに波紋が起きた瞬間。浮いていた擬似餌が水の中に消えた。急いで竿先をあげると、重みがグッと竿に伝わってくる。
「よし、かかった!」
落ち着いて糸を巻き取って、無事に鱒を釣り上げた。鱒は以前釣ったものよりも小さかったけれど、正真正銘魔法を使わないで釣った記念すべき一匹だ。
「悪くない型だな」
「よーし! この調子で、今日は釣りまくるぞ!」
それから、俺とパーシヴァルは二人で10匹ほどの鱒を釣り上げた。これはなかなかの釣果じゃない?
にんまりとしながら、籠の中で泳ぐ鱒を眺める。
「そろそろ昼食にしよう」
「うん!」
日差しにキラキラと光る湖面を眺めながら、サンドウィッチを頬張る。相変わらずローストビーフのソースが絶品だな。揚げ鳥もレモネのソースがさっぱりしていて、無限に食べられそう。
「う~ん! 美味しい!」
「……サフィラス、口元にソースがついている」
「え?」
親指で俺の口元を撫でたパーシヴァルは、その指をなんの躊躇いもなくぺろっと舐めた。
……え? は?
「どうした、サフィラス?」
「あ、えっと、なんでもない!」
俺は慌ててサンドイッチに齧り付く。
び、びっくりした……前はハンカチチーフだったのに……心の臓がひどく騒いで落ち着かないや。
っていうか、毎度毎度口元にソースつけてるとかって、俺って子供かよ~!
勢いよく寝台に飛び込んだ俺を、寝具が柔らかく受け止めた。
今学期は到達度試験が無いおかげで、なんの憂いもなく長期休暇を迎えることができる。他の科目はともかく、芸術に関しては使える予備知識が全くないので、試験があったら確実に追試だっただろう。
第二学年に進級してからというもの、全く言っていいほど落ち着く暇がなかった。シュテルンクルストの留学を皮切りに、王都の魔獣騒動に厄災竜復活。それから婚約のお披露目の後は王太子殿下とアウローラと共にトルンクスに行って魔法を披露したりと、息を吐く間もないとはまさにこのことだ。
トルンクスではとんでも令息と令嬢から罠に嵌められそうになったけれど、パーシヴァルの機転で危機は回避できた。トルンクスの国王陛下と王妃殿下には、かえってこちらが申し訳なくなるほど謝罪されたけど、奇怪な魔法でパーシヴァルの具合が悪くなると言う実害があったとはいえ、恥をかいたのはむしろご令嬢の方だからね。それに俺たちはお祝いをしにきているのだから、これ以上事を荒立てることもない。そんな俺たちの意向を汲んで、メルキオール殿下がうまく話をまとめてくれた。
ちなみに、干し杏は無事に買うことができたよ。おばちゃんは俺たちのことを覚えていて、すごく美味しかったと伝えたら、たくさんおまけをしてくれた。
帰国すると、俺が披露した魔法はすでに城内で噂になっていた。各国の王族や大使たちが、さすがは大国ソルモンターナ! 魔法を芸術にまで高めるとは! なーんて、たいそう評価してくれたおかげで、魅せる魔法を反対していた連中がころっと態度を変えたらしい。ガブリエルさんはご機嫌で、「これから忙しくなるわ!」と張り切っていた。
とまぁこんな感じで、この数ヶ月は何があったかわからないくらいに目まぐるしく過ぎていった。学院にいる時間がほとんどなかったから、もしかしたらクラスメイトに忘れられているかも? と思ったけど、みんなちゃんと俺のことを覚えていてくれた。
そして明日からの長期休暇は、パーシヴァルと一緒にヴァンダーウォールに向かう。すでに大分お世話になっている俺は、生活に必要なものを揃えてもらっていて、特に持ってゆくものはないので手ぶらでいい。
それにアデライン夫人が1日も早く帰ってきて欲しいというので、ヴァンダーウォールには転移で向かうことになっている。旅も好きだけれど、それはまた別の機会のお楽しみだ。
何はともあれ、ヴァンダーウォールでは思いっきり羽を伸ばすつもり。まぁ、俺は何処でだって羽を伸ばしているけどね。
「サフィ! お帰りなさい! 待っていたわ!」
「ふぎゅっ……!」
転移で城のエントランスホールに降り立つなり、俺はアデライン夫人に抱きしめられた。
「奥様、落ち着いてください。サフィラス様が息ができずにおりますぞ」
「あ、あら……ごめんなさい。久しぶりだったので、つい……」
ジェイコブさんに嗜められて、アデライン夫人は慌てて俺を解放してくれた。相変わらず見た目によらず力が強い。もうすっかり慣れたけど。
「あちらでのことは、聞いているわ。本当に大変だったわね」
「いいえ。パーシヴァルが一緒だったので、大丈夫でした」
「まぁ、ふふっ……それならばよかったわ。まずは、二人ともお疲れ様でした。今夜はサフィのお好きなお肉のメニューを色々と用意しているから、楽しみにしていてね。晩餐までは部屋でゆっくりとくつろいでちょうだい」
肉! それは楽しみだな……肉料理に思いを馳せながら、パーシヴァルと部屋に向かう。
「疲れてはいないか?」
「大袈裟だよ。転移で移動しただけじゃないか」
「……そうだな。じゃぁ、また後で」
パーシヴァルはふっと表情を緩めると、俺の髪にそっと触れる。
おっと、きたぞ! 最近のパーシヴァルは、すぐ甘い空気を醸し出してくるからな。慣れてはきたとはいえ、普段真面目なパーシヴァルに優しげな笑みを浮かべられ、俺の頬がじわじわと熱をもつ。
もしかしたらパーシヴァルは俺が動揺する様を楽しんでいるんじゃないかなんて疑惑を抱きつつも、隣の自室に向かうパーシヴァルの背中を見送って部屋に入ると、そこにはアンナさんとクララベルさんが待ち構えていた。
「おかえりなさませ、サフィラス様!」
「さぁ、さぁ、サフィラス様、ご入浴の準備が整っておりますよ」
「え? え、えっと?」
挨拶もそこそこに、俺は二人に浴室に押し込まれる。浴槽にはお湯がたっぷりと張られ、レモネのオイルを垂らしているのか、爽やかな良い香りに満ちていた。
学院でも高位貴族の寮部屋になってからはお風呂も好きに入れるけど、あんまりゆっくりお湯に浸かったりはしない。なにしろ、学生は色々とやることがあって忙しいからね。
せっかくなので爽やかなリモネの香りを楽しみながら、いつもよりも長めのお風呂を堪能して浴室から出ると、美の魔法使い二人組にソファーへ案内される。
「さぁ、こちらへ。マッサージをいたしましょう」
「まぁ、まぁ、すっかり体が凝っていらっしゃいますわ」
ふかふかのソファで頭の先から手足の指先まで揉みほぐされて、俺はすっかりふにゃふにゃになってしまった。マッサージが絶妙な力加減で、なんとも微妙に痛くて気持ちいい。
別に疲れてないといっておきながら、マッサージの心地よさに負けた俺は、晩餐の時間だとパーシヴァルが呼びにくるまでぐっすりと眠りこけてしまった……
ヴァンダーウォール初日。俺はパーシヴァルと一緒に湖に来ている。
もちろんマテオに乗ってだ。
ランチはローストビーフと揚げた鳥のサンドウィッチ。それからお茶請けにはレモネのタルト。
去年はうっかり寝こけて釣りしかできなかったから、今年は泳ぐし散策もするぞ。せっかく綺麗な湖に連れて来てもらって、寝ているだけなんて勿体無いがすぎるだろう。
それに、今年は魔法を使わないで擬似餌を遠くに投げられるようになりたいし。
「今回こそ、湖を満喫するぞ!」
そう宣言をした俺は、早速竿を準備して釣りを始める。
去年パーシヴァルに教わったことを思い出しながら、何度か擬似餌を投げているうちにだんだんコツが掴めてきた。もう魔法を使わなくても、ちゃんと思い通りの場所に餌を落とすことができる。
「随分と上手くなったな」
「本当?」
「ああ」
パーシヴァルのお墨付きももらったし、今日はたくさん鱒を釣って今夜の晩餐はムニエにしてもらうんだ。
豊かな牛酪の香りに、パリパリで香ばしい皮とふっくらした白身……
「サフィラス、」
お皿の上のムニエを想像していたら、パーシヴァルに声を掛けられてハッとする。俺が擬似餌を投げたあたりに波紋が起きた瞬間。浮いていた擬似餌が水の中に消えた。急いで竿先をあげると、重みがグッと竿に伝わってくる。
「よし、かかった!」
落ち着いて糸を巻き取って、無事に鱒を釣り上げた。鱒は以前釣ったものよりも小さかったけれど、正真正銘魔法を使わないで釣った記念すべき一匹だ。
「悪くない型だな」
「よーし! この調子で、今日は釣りまくるぞ!」
それから、俺とパーシヴァルは二人で10匹ほどの鱒を釣り上げた。これはなかなかの釣果じゃない?
にんまりとしながら、籠の中で泳ぐ鱒を眺める。
「そろそろ昼食にしよう」
「うん!」
日差しにキラキラと光る湖面を眺めながら、サンドウィッチを頬張る。相変わらずローストビーフのソースが絶品だな。揚げ鳥もレモネのソースがさっぱりしていて、無限に食べられそう。
「う~ん! 美味しい!」
「……サフィラス、口元にソースがついている」
「え?」
親指で俺の口元を撫でたパーシヴァルは、その指をなんの躊躇いもなくぺろっと舐めた。
……え? は?
「どうした、サフィラス?」
「あ、えっと、なんでもない!」
俺は慌ててサンドイッチに齧り付く。
び、びっくりした……前はハンカチチーフだったのに……心の臓がひどく騒いで落ち着かないや。
っていうか、毎度毎度口元にソースつけてるとかって、俺って子供かよ~!
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