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第一章 太陽の王子様と氷の王子様
2.話がおかしな方向に
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大きなエレベーターで指定の五十三階に向かう。
働くみんなは次々と途中の階で降りて行くし、私の階まで行く人は誰もいなくなった。
「ちょっと待って……」
心臓がドキドキしてきた。
誰もいなくなってしまうくらいの階層って一体どういうこと?
ここは何がある階層なのかも分からないし……。
エレベーターの扉がスッと開いた。
緊張しながら足を踏み出す。
そこは清潔で真っ白な空間。
とても綺麗だけど人気もない静かな通路を進む。
「部屋は何処なの? 奥?」
静かに歩いて行くと、綺麗なプレートが掲げられた扉の前に辿り着く。
「えっと……プレ……プレジデント?」
プレジデントルーム?
そ、それって……
「社長室って……最初に面接でもするの? 急遽配置換えのことをわざわざ社長が?」
よく分からないけれど、とにかく行くしかないよね。
慎重にノックをして扉を開く。
「失礼します」
部屋に入ると、少し広い空間で私が想像していた社長室と違っていた。
いくつかの机が並んでいて少しおしゃれな感じ。
そこには女性が座っていて、私が入って来たのに気づくと立ち上がる。
立ち上がった彼女はゆったりとした紺のワンピースを着ていた。
(あ、赤ちゃんいるんだ……)
柔和な笑みを私に向けてくれた。
何だか可愛らしい雰囲気の人だ。
「新入社員の小鳥さんですね? 私は秘書の岬です。どうぞこちらへ」
「はい」
ニッコリと笑いかけてくれると、緊張していた身体から少し力が抜ける。
岬さんの後に続いて室内を進んでいく。
ガラス張りなのに中が見えない部屋が左に見えているけれど、何だか広そう。その部屋を左手に見ながら奥へと進んでいくとまた扉が見えてきた。
岬さんがノックをすると、中からどうぞという声が聞こえてきた。
一緒に中へと足を踏み入れる。
「やあ、待っていたよ。どうぞ」
「それが社員に対する口調か? それでよく社長が務まるものだ」
室内にいたのは社長と呼ばれたふわっとした茶色の髪の綺麗な顔をしたイケメンと、冷たい雰囲気の黒髪のキチッとした佇まいの男性。
私を見ている視線がとても痛い。
そんなに変な格好はしていないはずなのに、なんだろう?
「社長、そんなに見つめたら駄目ですよ。小鳥さんが困ってます。これから社長のお世話をするのは彼女なのに」
「まぁまぁ。見た通りの地味っ子でいいね。これなら安心だ」
何だか失礼なことを言われている気はするけど。
会社で派手な格好をする方がおかしいと思う。
「本当に彼女でいいのか?」
「あぁ。彼女で決まりだ。俺の目に狂いはない。小鳥さん、だよね。ようこそ、橘コーポレーションへ。社長の橘 海音です。よろしく」
「私は副社長の氷室 秦弥だ。君には社長秘書をお願いしたい」
今、とんでもないことを言われた気がする。
その事実を飲み込むまでに固まってしまって声が出なかった。
働くみんなは次々と途中の階で降りて行くし、私の階まで行く人は誰もいなくなった。
「ちょっと待って……」
心臓がドキドキしてきた。
誰もいなくなってしまうくらいの階層って一体どういうこと?
ここは何がある階層なのかも分からないし……。
エレベーターの扉がスッと開いた。
緊張しながら足を踏み出す。
そこは清潔で真っ白な空間。
とても綺麗だけど人気もない静かな通路を進む。
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静かに歩いて行くと、綺麗なプレートが掲げられた扉の前に辿り着く。
「えっと……プレ……プレジデント?」
プレジデントルーム?
そ、それって……
「社長室って……最初に面接でもするの? 急遽配置換えのことをわざわざ社長が?」
よく分からないけれど、とにかく行くしかないよね。
慎重にノックをして扉を開く。
「失礼します」
部屋に入ると、少し広い空間で私が想像していた社長室と違っていた。
いくつかの机が並んでいて少しおしゃれな感じ。
そこには女性が座っていて、私が入って来たのに気づくと立ち上がる。
立ち上がった彼女はゆったりとした紺のワンピースを着ていた。
(あ、赤ちゃんいるんだ……)
柔和な笑みを私に向けてくれた。
何だか可愛らしい雰囲気の人だ。
「新入社員の小鳥さんですね? 私は秘書の岬です。どうぞこちらへ」
「はい」
ニッコリと笑いかけてくれると、緊張していた身体から少し力が抜ける。
岬さんの後に続いて室内を進んでいく。
ガラス張りなのに中が見えない部屋が左に見えているけれど、何だか広そう。その部屋を左手に見ながら奥へと進んでいくとまた扉が見えてきた。
岬さんがノックをすると、中からどうぞという声が聞こえてきた。
一緒に中へと足を踏み入れる。
「やあ、待っていたよ。どうぞ」
「それが社員に対する口調か? それでよく社長が務まるものだ」
室内にいたのは社長と呼ばれたふわっとした茶色の髪の綺麗な顔をしたイケメンと、冷たい雰囲気の黒髪のキチッとした佇まいの男性。
私を見ている視線がとても痛い。
そんなに変な格好はしていないはずなのに、なんだろう?
「社長、そんなに見つめたら駄目ですよ。小鳥さんが困ってます。これから社長のお世話をするのは彼女なのに」
「まぁまぁ。見た通りの地味っ子でいいね。これなら安心だ」
何だか失礼なことを言われている気はするけど。
会社で派手な格好をする方がおかしいと思う。
「本当に彼女でいいのか?」
「あぁ。彼女で決まりだ。俺の目に狂いはない。小鳥さん、だよね。ようこそ、橘コーポレーションへ。社長の橘 海音です。よろしく」
「私は副社長の氷室 秦弥だ。君には社長秘書をお願いしたい」
今、とんでもないことを言われた気がする。
その事実を飲み込むまでに固まってしまって声が出なかった。
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