地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!

楓乃めーぷる

文字の大きさ
46 / 85
第三章 自分のこと、これからのこと

45.一緒に話しましょう

しおりを挟む
「お疲れ様ー。ことりちゃんもあがりか」
「お疲れ様です」

 社長が笑いながら手を振って、こちらへと近づいてくる。
 私もバッグを持って席を立ちながら、頭を下げて挨拶を返す。
 顔をあげると、氷室さんの目線が私に向いていることに気付く。
 なんだろう? 何か用事かな?
 
 すぐに察した社長が氷室さんの背中をポンと叩く。
 
「あー……俺、この後は気晴らしも兼ねてジムでも行ってこようかなー? あ、プライベートなんで付いてこなくていいからな」

 物凄くわざとらしすぎるけど、氷室さんに気遣ったってことなのかな?
 明るく手を振りながら去っていく社長を見送ると、改めて氷室さんが側に歩み寄ってきた。

「どうしたんですか?」
「小鳥さん、この後、少し時間をもらえるか?」

 突然の申し出に少し驚いたけど、私に付き合ってもらったばかりだし。
 特に断る理由もないので、はい、と了承する。

「ありがとう。話をしようと思ったんだが……特に場所を考えていなかったな。考えるので、移動しても構わないだろうか」
「このまま会社にいるのも微妙ですし、どこか落ち着いた場所でお話しますか? それともご飯を食べながら、気楽にお話する感じでしょうか?」

 氷室さんは俯いて少し思案しながら、そうだな、と呟く。

「いつも行く喫茶店は静かで落ち着く雰囲気なのだが、どうだろうか。お腹を満たすメニューもあったはずだ」
「この前のラーメン屋も美味しかったですし、氷室さんおすすめの場所に行きましょう」

 社長もそうだけど、氷室さんもお店選びのセンスが良くって流石だと思う。
 やっぱりお付き合いで偉い人と一緒に行く場所とか抑えてたりするのかな?

「そうか。では、行こうか」

 最近の氷室さんは、前とは違ってよく笑いかけてくれるようになった。
 もしかしたら、氷の所以は人見知りとかだったりして。

 それとも、私のこと認めてくれているからかな?
 もし、そうだとしたら嬉しいな。

 +++
 
 氷室さんと日の暮れてきた夕方の街中を歩く。
 ビル群を抜けてメインの通りを外れて左に曲がっていくと、喧騒からは離れて車も通らない道になる。
 氷室さんに置いていかれないように、私も半歩後ろからついていく。
 
 会社を出てから十五分くらい経って、漸く目的地についた。
 思っていたよりは遠かったけど、その間も何気ない日常や会社での出来事について話していたから、そこまで苦痛には感じなかった。

「すまない、結構歩かせてしまったな」
「近くなイメージがなかったので覚悟はしてたんですけど、確かに想像よりは遠かったです。でも、楽しかったですよ? 最近色々と話してくださいますし」

 笑いかけると氷室さんも安心したのか、そうか、と言って微笑する。
 普段が無表情に近い分、微笑だけでも嬉しそうに見えるのは得なのかもしれない。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~

けいこ
恋愛
15歳のまだ子どもだった私を励まし続けてくれた家庭教師の「千隼先生」。 私は密かに先生に「憧れ」ていた。 でもこれは、恋心じゃなくただの「憧れ」。 そう思って生きてきたのに、10年の月日が過ぎ去って25歳になった私は、再び「千隼先生」に出会ってしまった。 久しぶりに会った先生は、男性なのにとんでもなく美しい顔立ちで、ありえない程の大人の魅力と色気をまとってた。 まるで人気モデルのような文句のつけようもないスタイルで、その姿は周りを魅了して止まない。 しかも、高級ホテルなどを世界展開する日本有数の大企業「晴月グループ」の御曹司だったなんて… ウエディングプランナーとして働く私と、一緒に仕事をしている仲間達との関係、そして、家族の絆… 様々な人間関係の中で進んでいく新しい展開は、毎日何が起こってるのかわからないくらい目まぐるしくて。 『僕達の再会は…本当の奇跡だ。里桜ちゃんとの出会いを僕は大切にしたいと思ってる』 「憧れ」のままの存在だったはずの先生との再会。 気づけば「千隼先生」に偽装恋愛の相手を頼まれて… ねえ、この出会いに何か意味はあるの? 本当に…「奇跡」なの? それとも… 晴月グループ LUNA BLUホテル東京ベイ 経営企画部長 晴月 千隼(はづき ちはや) 30歳 × LUNA BLUホテル東京ベイ ウエディングプランナー 優木 里桜(ゆうき りお) 25歳 うららかな春の到来と共に、今、2人の止まった時間がキラキラと鮮やかに動き出す。

シンデレラは王子様と離婚することになりました。

及川 桜
恋愛
シンデレラは王子様と結婚して幸せになり・・・ なりませんでした!! 【現代版 シンデレラストーリー】 貧乏OLは、ひょんなことから会社の社長と出会い結婚することになりました。 はたから見れば、王子様に見初められたシンデレラストーリー。 しかしながら、その実態は? 離婚前提の結婚生活。 果たして、シンデレラは無事に王子様と離婚できるのでしょうか。

丘の上の王様とお妃様

よしき
恋愛
木崎珠子(35才)は、大学を卒業後、帝国財閥の子会社に勤めていた、ごくごく平凡なOLだった。しかし、同じ職場の彼に二股をかけられ、職場にも居づらくなり、あげくに両親が交通事故でいっぺんに他界。結局会社を退職し、両親がやっていた喫茶店「坂の上」を引き継ごうと、地元へ帰ってくる。喫茶店の仕事は、会社務めに比べると、珠子にはなんとなくあっているようで...ご近所さんを相手にユルくやっていた。そんな珠子が地元へ戻ってから半年ほどして、喫茶店「坂の上」の隣にある、通称「お化け屋敷」と呼ばれる大豪邸に、帝国財閥の偉い人が越してくると話題になる。珠子は、「別の世界の人間」だからと、あまり意識をしていなかったのだか... 「お化け屋敷」の噂からひと月後。いつもは見ない紳士が、喫茶「坂の上」によってきて。そこから始まる現代シンデレラ物語

甘い年下、うざい元カレ

有山レイ
恋愛
会社のイベントで年上の OL が酔払い、若いインターンと一夜の関係になった。偶然、翌日には嫌いな元彼が突然現れた。

六畳二間のシンデレラ

如月芳美
恋愛
8ケタの借金を残したまま、突然事故死した両親。 学校は? 家賃は? 生活費は? 借金の返済は? 何もかもがわからなくてパニックになっているところに颯爽と現れた、如何にも貧弱な眼鏡男子。 どうやらうちの学校の先輩らしいんだけど、なんだか頭の回転速度が尋常じゃない! 助けられているのか振り回されているのか、あたしにも判断不能。 あたしの生活はどうなってしまうんだろう? お父さん、お母さん。あたし、このちょっと変な男子に任せていいんですか? ※まだ成人の年齢が18歳に引き下げられる前のお話なので、現在と少々異なる部分があります。

昨日、あなたに恋をした

菱沼あゆ
恋愛
 高すぎる周囲の評価に頑張って合わせようとしているが、仕事以外のことはポンコツなOL、楓日子(かえで にちこ)。 久しぶりに、憂さ晴らしにみんなで呑みに行くが、目を覚ましてみると、付けっぱなしのゲーム画面に見知らぬ男の名前が……。  私、今日も明日も、あさっても、  きっとお仕事がんばります~っ。

モース10

藤谷 郁
恋愛
慧一はモテるが、特定の女と長く続かない。 ある日、同じ会社に勤める地味な事務員三原峰子が、彼をネタに同人誌を作る『腐女子』だと知る。 慧一は興味津々で接近するが…… ※表紙画像/【イラストAC】NORIMA様 ※他サイトに投稿済み

処理中です...