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第三章 自分のこと、これからのこと
44.まだまだ大混乱中です
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社長がからかってきたせいで、空気が違う方向に一変してしまう。
氷室さんも何とも言えない表情で黙ってしまった。
「もう、社長! 急にそういうことを言わないでください!」
「だって、二人で飲んだ後にカラオケ行ったんでしょ? 秦弥がカラオケなんて。俺が学生の頃、無理やり付き合わせて以来じゃない?」
「それは、そうだが……」
社長がニヤニヤとしているのは、たぶん重苦しい空気を何とかしてくれようとしているんだろうけど。
このやり方はちょっとイラっとする。
「それだけことりちゃんのことが気になってる訳でしょ? あーあ……俺も狙ってたのになー。まあ、お姉ちゃん好きな弟っていうのもいいかな?」
「えぇ……その感じはちょっと……」
「お前のそういうところが、不真面目だと勘違いされるところだろう。普通に落ち込んでいる彼女が心配だと言えばいいものを」
氷室さんが逆に切り返すと、社長が苦笑して頭を掻いた。
うーん……そこは素直に心配してます、でいいんだけど……。
意外と素直なようで素直じゃないのかな?
「いや、俺だって混乱してるんだよ。急に血が繋がってましたーって、言われてもさ。ことりちゃんが良ければ本当に婚約してもいいかなーとか思ってたのに……」
「は……?」
私がまぬけな声をあげると、社長がやってしまったという顔をして机に顔を突っ伏した。
「……何もする前に終わると思ってなかったから。本気の本気になる前で良かったのかもしれないけど。ことりちゃんとの未来もちょっとだけ、考えてた」
少しだけ顔をあげて訴えるような目線で見られると、子犬みたいで何も言えなくなる。
氷室さんも知らなかったみたいで、複雑な表情で社長を見下ろす。
「海音……」
「あー……うん。結局俺が自爆したし、これでおあいこってことで!」
「おあいこ? なのかなあ……。私、情報を処理しきれなくてもう、パンクしてます……」
お互いに顔を見合わせて、息を吐く。
大混乱の中、これ以上妙なことを口走らないうちに各々で少し時間を取って考えることにして、解散になった。
+++
混乱した気持ちを落ち着けながら、通常業務もこなしていたけど、頭の中はやっぱりぐるぐるとしていて落ち着かなかった。
社長が私に好意を抱いてくれたのは意外だったけど、社長のファンに恨まれちゃいそうだし。
私は社長のことを恋愛対象として見ていなかったから、突然将来のことを言われてもピンと来なかった。
「とても光栄なんだろうけど……私は社長との婚約だなんて、考えてもいなかった。なんでだろう?」
一人で考えていると、奥から扉の開く音がする。
振り返ると、社長と氷室さんも帰り支度が終わり退社するところだった。
氷室さんも何とも言えない表情で黙ってしまった。
「もう、社長! 急にそういうことを言わないでください!」
「だって、二人で飲んだ後にカラオケ行ったんでしょ? 秦弥がカラオケなんて。俺が学生の頃、無理やり付き合わせて以来じゃない?」
「それは、そうだが……」
社長がニヤニヤとしているのは、たぶん重苦しい空気を何とかしてくれようとしているんだろうけど。
このやり方はちょっとイラっとする。
「それだけことりちゃんのことが気になってる訳でしょ? あーあ……俺も狙ってたのになー。まあ、お姉ちゃん好きな弟っていうのもいいかな?」
「えぇ……その感じはちょっと……」
「お前のそういうところが、不真面目だと勘違いされるところだろう。普通に落ち込んでいる彼女が心配だと言えばいいものを」
氷室さんが逆に切り返すと、社長が苦笑して頭を掻いた。
うーん……そこは素直に心配してます、でいいんだけど……。
意外と素直なようで素直じゃないのかな?
「いや、俺だって混乱してるんだよ。急に血が繋がってましたーって、言われてもさ。ことりちゃんが良ければ本当に婚約してもいいかなーとか思ってたのに……」
「は……?」
私がまぬけな声をあげると、社長がやってしまったという顔をして机に顔を突っ伏した。
「……何もする前に終わると思ってなかったから。本気の本気になる前で良かったのかもしれないけど。ことりちゃんとの未来もちょっとだけ、考えてた」
少しだけ顔をあげて訴えるような目線で見られると、子犬みたいで何も言えなくなる。
氷室さんも知らなかったみたいで、複雑な表情で社長を見下ろす。
「海音……」
「あー……うん。結局俺が自爆したし、これでおあいこってことで!」
「おあいこ? なのかなあ……。私、情報を処理しきれなくてもう、パンクしてます……」
お互いに顔を見合わせて、息を吐く。
大混乱の中、これ以上妙なことを口走らないうちに各々で少し時間を取って考えることにして、解散になった。
+++
混乱した気持ちを落ち着けながら、通常業務もこなしていたけど、頭の中はやっぱりぐるぐるとしていて落ち着かなかった。
社長が私に好意を抱いてくれたのは意外だったけど、社長のファンに恨まれちゃいそうだし。
私は社長のことを恋愛対象として見ていなかったから、突然将来のことを言われてもピンと来なかった。
「とても光栄なんだろうけど……私は社長との婚約だなんて、考えてもいなかった。なんでだろう?」
一人で考えていると、奥から扉の開く音がする。
振り返ると、社長と氷室さんも帰り支度が終わり退社するところだった。
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