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第一章 レトロ喫茶のマスター、はじめます
7.持つべきものは友
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円陣のあとはまた後日ってことで一旦解散になった。
俺も家へ帰って、埃だらけになった身体の汚れを落とそうとすぐにシャワーを浴びる。
「やっぱり、持つべきものは友だよな」
改めて、心強いって思った。
俺もぼんやりとは考えていたけど、一人ではここまでスムーズに事を進められなかったと思う。
一人でもゆったりと始めるつもりだったけど、俺って何も考えずに勢いだけで始めちゃうときがあるからな。
俺が突っ走った時も、フォローしてくれるのはいつもとっきーとげんちゃんだった。
「俺も二人に頼られるレトロ喫茶のマスターにならないとな」
じいちゃんも、街の人たちに愛される店が一番だって言ってたからな。
今まで来てくれてた人たちもがっかりさせない店にしていきたい。
+++
リニューアルオープンまでの数日は、順調に準備ができた。
って言っても、元々開いていた喫茶店だから器具の点検や食器の確認をして店で使う備品が足りているかチェックすればいいだけだ。
オープンの前日には、期限の短い食料品を買って備えないといけないな。
最初は近所の安いスーパーで買い過ぎないようにすればいいと思う。
じいちゃんも拘ってたのはコーヒー豆くらいだった気がする。
「そうだ、新メニュー決めたんだろ? 玄暉、作ってくれよ。みんなで味見しないとな」
「わかった。キッチン借りるぞ」
「どうぞー」
げんちゃんは冷蔵庫の中を覗いてから、ひょいひょい材料を選んでいく。
カレーじゃないことは何となく分かるんだけど、素人が見てるとさっぱりだ。
「蒼樹、見ても分からないって顔に書いてあるから俺らは大人しく座っとこうぜ」
「でも、オーナーとしてげんちゃんがいないときは代わりに作らないといけないだろ」
「いや、玄暉がいない時は品切れにしとかないと。味が違うってクレームが出ても困るだろ。素人が作れる範囲のは出すべきだけどさ」
確かに作り置きできるものなら問題ないけど、スイーツ系は特に技術が必要なイメージあるもんな。
とっきーが言ってた限定メニューはげんちゃんがいる日の限定になりそうだ。
俺らがぼんやり喋ってる間に、げんちゃんはテキパキと作業を進めていく。
げんちゃんが料理をしてる姿って、男の俺からみてもカッコイイな。
生クリームを泡立ててるだけで様になるって、女の子もキャーキャー言うはずだ。
「なーに見惚れてんだよ」
「いたっ! いや、カッコイイなって思ってさ」
デコピンされた額を擦りながら、ぼーっとげんちゃんの手元を眺めてただけなんだけど。
またとっきーが不機嫌になってる気がする。
「……チッ。普段は脳筋な癖に、料理をすると男前ってズルいよな」
「男女関係なく、料理ができるってカッコイイと思うけど? とっきーはとっきーのいいところがあるんだからいじけなくてもいいのに」
「別にいじけてねぇし。そのフォローだかなんだか分からない言い方も腹立つわ」
俺らが話してる間も、げんちゃんは相変わらず作業に没頭してる。
げんちゃんの集中力は、俺も見習いたいところだな。
俺も家へ帰って、埃だらけになった身体の汚れを落とそうとすぐにシャワーを浴びる。
「やっぱり、持つべきものは友だよな」
改めて、心強いって思った。
俺もぼんやりとは考えていたけど、一人ではここまでスムーズに事を進められなかったと思う。
一人でもゆったりと始めるつもりだったけど、俺って何も考えずに勢いだけで始めちゃうときがあるからな。
俺が突っ走った時も、フォローしてくれるのはいつもとっきーとげんちゃんだった。
「俺も二人に頼られるレトロ喫茶のマスターにならないとな」
じいちゃんも、街の人たちに愛される店が一番だって言ってたからな。
今まで来てくれてた人たちもがっかりさせない店にしていきたい。
+++
リニューアルオープンまでの数日は、順調に準備ができた。
って言っても、元々開いていた喫茶店だから器具の点検や食器の確認をして店で使う備品が足りているかチェックすればいいだけだ。
オープンの前日には、期限の短い食料品を買って備えないといけないな。
最初は近所の安いスーパーで買い過ぎないようにすればいいと思う。
じいちゃんも拘ってたのはコーヒー豆くらいだった気がする。
「そうだ、新メニュー決めたんだろ? 玄暉、作ってくれよ。みんなで味見しないとな」
「わかった。キッチン借りるぞ」
「どうぞー」
げんちゃんは冷蔵庫の中を覗いてから、ひょいひょい材料を選んでいく。
カレーじゃないことは何となく分かるんだけど、素人が見てるとさっぱりだ。
「蒼樹、見ても分からないって顔に書いてあるから俺らは大人しく座っとこうぜ」
「でも、オーナーとしてげんちゃんがいないときは代わりに作らないといけないだろ」
「いや、玄暉がいない時は品切れにしとかないと。味が違うってクレームが出ても困るだろ。素人が作れる範囲のは出すべきだけどさ」
確かに作り置きできるものなら問題ないけど、スイーツ系は特に技術が必要なイメージあるもんな。
とっきーが言ってた限定メニューはげんちゃんがいる日の限定になりそうだ。
俺らがぼんやり喋ってる間に、げんちゃんはテキパキと作業を進めていく。
げんちゃんが料理をしてる姿って、男の俺からみてもカッコイイな。
生クリームを泡立ててるだけで様になるって、女の子もキャーキャー言うはずだ。
「なーに見惚れてんだよ」
「いたっ! いや、カッコイイなって思ってさ」
デコピンされた額を擦りながら、ぼーっとげんちゃんの手元を眺めてただけなんだけど。
またとっきーが不機嫌になってる気がする。
「……チッ。普段は脳筋な癖に、料理をすると男前ってズルいよな」
「男女関係なく、料理ができるってカッコイイと思うけど? とっきーはとっきーのいいところがあるんだからいじけなくてもいいのに」
「別にいじけてねぇし。そのフォローだかなんだか分からない言い方も腹立つわ」
俺らが話してる間も、げんちゃんは相変わらず作業に没頭してる。
げんちゃんの集中力は、俺も見習いたいところだな。
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