レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです~ぼんやり無自覚マスターと幼なじみ同士のじれじれ恋愛トライアングル~

楓乃めーぷる

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第四章 レトロ喫茶は順風満帆?

30.レトロ喫茶イーストに到着!

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 レトロ喫茶イーストまでは、ナビによると三十分かかるらしい。
 その間は史弥ふみや君の話やげんちゃんの新作スイーツの話をした。

 +++

「とっきー、そろそろパーキングも近いんじゃない?」
「そうだな。玄暉げんき、その交差点を左に曲がって左手に見えてくるパーキングが安いらしい。ちょっと狭いらしいけど、玄暉なら大丈夫だよな」
「ああ。この車はそこまで大きくないから大丈夫だ」

 とっきーナビとげんちゃんの運転で、無事にパーキングへ車を停めることができた。
 目指すレトロ喫茶イーストはこのパーキングのすぐ側にある商店街の中らしい。

「確かドラッグストアをすぎてからすぐ見えてくるはず……あ、この建物だ」
「外にも懐かしい感じの看板がある。落ち着くレトロ喫茶って感じかな」
「今なら並ばずに入れそうだな。行こう」

 とっきーが先陣を切って、自動ドアを開けるとふわりとコーヒーの香りが漂ってきた。
 挽きたての香りはやっぱりいいもんだ。

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「三人です」
「かしこまりました。こちらのテーブル席へどうぞ」

 とっきーが店員のお姉さんに伝えると、スムーズに席へ案内される。
 制服は白の丸襟のついた黒のワンピースだ。
 腰に白のレースのカフェエプロンを付けていて、可愛らしい感じだ。

 案内された席に着くと、俺ととっきーが隣同士でげんちゃんが俺の向かい側へ座る。
 
「女の子を雇ったら、プラコレもワンピースだな」
「それ、ただのとっきーの希望じゃないの? 確かに可愛いけど……」
「今は一人いてくれるだけで助かるから、暫くワンピースの出番はないだろう。残念だったな、鷺羽ときは

 俺が言う前にげんちゃんがピシャリと言い放つ。
 とっきーは、つまんなそうな顔をしてから立てかけてあったメニューを手に取ってテーブルの上で開いた。

「ホント、玄暉はつまんないヤツだよな。どれだけ蒼樹一筋なんだよ……って。俺はクリームソーダとハムのホットサンドにするかな」
「とっきーがチャラいだけだろ。俺は噂のクリームたっぷりのフルーツサンドとブレンドにする。げんちゃんは?」
「俺は……クリームソーダとホットケーキのモーニングセット」

 全員お目当ての物を決めてから、店員さんを呼んで注文する。
 俺は店員さんに頼んだ後も、デザートの写真を眺めていた。

蒼樹あおい、デザートも頼まなくて良かったのか?」
「迷ったけど、俺フルーツサンド頼んじゃったからどうしようかなって。お腹いっぱいにならなければ、プリンアラモードも頼んでみようかなと思ってさ」
「朝から生クリームはヘビーだと思うけどな。まあ、玄暉がどう見ても少なそうだから、蒼樹がお腹いっぱいでも玄暉が食べられるだろ」

 とっきーは当然のことみたいに言うけど、げんちゃんに無理強いするほどでもないしなぁ。
 でも、どんなプリンアラモードなのか写真だけじゃなくて食べてみたい気もするんだよな。
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