レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです~ぼんやり無自覚マスターと幼なじみ同士のじれじれ恋愛トライアングル~

楓乃めーぷる

文字の大きさ
31 / 64
第四章 レトロ喫茶は順風満帆?

31.三人で分析してみる

しおりを挟む
 店の雰囲気は年季が入っている感じだ。
 テーブルも昔から使い込まれている物みたいで、丸みを帯びた洋風な感じがする。
 紙ナプキン立ても、デパートの老舗レストランで見かけたことがあるような銀色の懐かしいデザインだ。

「店の中も王道のレトロ喫茶って感じだよな。女の子たちの制服も可愛いし」
「とっきーは相変わらず目ざといよね。レトロな感じでも清潔感あるし、懐かしい感じが落ち着くから俺は好きだな」
蒼樹あおいも分析していて偉いな」

 げんちゃんが褒めてくれるのは嬉しいんだけど、子どもが頑張ったから褒められてるみたいな感じで少し恥ずかしい。
 とっきーも過保護かよって突っ込んでるから、げんちゃんの俺への甘やかしっぷりは筋金入りなのかもしれないな。

「お待たせしました。お先に飲み物をお持ちしました」

 店員さんが俺らの前に飲み物を順番に置いて行ってくれた。
 クリームソーダは見ただけで分かる緑色で、バニラアイスと一緒にチェリーが乗っかっている。
 俺は豆が気になるブレンドで、げんちゃんは珍しくホットティーだ。
 最初はクリームソーダを頼んでいたはずだけど、少し考えてから店員さんを呼んで注文を変更してたんだよな。

「げんちゃん、もしかして味見のために?」

 げんちゃんは微笑して頷く。
 やっぱり、俺のためにわざわざ変更してくれたのか。
 気を遣わずに自分の好きなものを注文してくれたらいいのに。
 
「蒼樹はコーヒーと紅茶、どっちも飲みたいかと思ってな」
「ありがとう、げんちゃん。とっきーのクリームソーダも気になってから、二人の飲み物も味見させて」
「蒼樹も真面目だよな。俺が言い出したし、俺も真面目に味比べするか」

 とっきーも笑いながら了承してくれる。
 二人とも働いていなくてもプラコレのことを考えてくれて優しいよな。
 料理ができるまで、全員で順番に飲み物を飲んでみる。

「コーヒーはブレンドだけど酸味がある感じだね。フルーティーで飲みやすい感じだからモカとかかな? ブレンドってことは他にも豆を混ぜてるだろうけど」
「そんな一口で分かるもんか? 蒼樹……さすがレトロ喫茶のマスター」
「紅茶は茶葉だろうか? ティーバッグの可能性もあるか」

 二人とも、色々悩みながら味わってるな。
 俺も絶対の自信はないんだけど、大まかに酸味よりか深煎りなのかの違いは分かるつもりだ。
 クリームソーダのバニラアイスも懐かしい味で、これは業務用のアイスを乗せてるんだろうなってことになった。

「紅茶はスタンダードなダージリンっぽいね。ホットティーと言えばダージリンなイメージあるし」
「最近はアールグレイも増えてる気はするけどな。ダージリンは誰でも飲みやすいからいいよな」
「クリームソーダも昔懐かしい味で美味い。喫茶店には必ずあるイメージだ」

 三人で色々分析していると、お待ちかねの料理が運ばれてきた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

メグエム
BL
 伯爵家次男のユリウス・ツェプラリトは、ずっと恋焦がれている人がいる。その相手は、幼なじみであり、王位継承権第三位の王子のレオン・ヴィルバードである。貴族と王族であるため、家や国が決めた相手と結婚しなければならない。しかも、レオンは女関係での噂が絶えず、女好きで有名だ。男の自分の想いなんて、叶うわけがない。この想いは、心の奥底にしまって、諦めるしかない。そう思っていた。

起きたらオメガバースの世界になっていました

さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。 しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。

世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました

芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」 魔王討伐の祝宴の夜。 英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。 酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。 その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。 一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。 これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。

弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~

マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。 王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。 というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。 この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。

オメガのブルーノは第一王子様に愛されたくない

あさざきゆずき
BL
悪事を働く侯爵家に生まれてしまった。両親からスパイ活動を行うよう命じられてしまい、逆らうこともできない。僕は第一王子に接近したものの、騙している罪悪感でいっぱいだった。

【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜

キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」 平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。 そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。 彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。 「お前だけが、俺の世界に色をくれた」 蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。 甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

処理中です...