58 / 64
第六章 三人の新しい関係
58.俺の気持ちは
しおりを挟む
二人が俺のことを恋愛対象として見ていただなんて、全く気付かなかった。
確かに最近過保護が増してきてるよなとは思ってたけど、俺のことが好きだから北條さんのことも牽制してたってことなんだよな。
「蒼樹、顔が赤くなってる」
「今更そんなに恥ずかしがるなって! っつーか、俺らの前でそんな顔するのは逆効果だぞ?」
食べちゃうぞ? って、とっきーは軽口叩いてくるけど……目線がやや本気だから勘弁してほしい。
俺、まだ抱かれてもいいだなんて返事してない。
だけど、俺のことが好きって聞いた後だと食べるっていう意味も少し違う意味に聞こえてきちゃうんだよな。
とっきーに軽い気持ちでいいよだなんて言ったら、遠慮なく来るに決まってる。
さすがに俺の心の準備ができてない。
「鷺羽、蒼樹にひかれてるぞ」
「え、なんで?」
「とっきー……急に迫られても怖いって。圧を感じる」
俺が困った顔を向けると、とっきーがショックを受けた表情でシクシクとわざとらしく泣く真似をし始めた。
「いや、だってとっきーの目が怖いって」
「ひどくね?」
「鷺羽の欲望がにじみ出てるな。蒼樹、危ないから離れろ」
俺がげんちゃんの後ろにささっと隠れると、とっきーがイラっとした顔でげんちゃんに襲い掛かった。
でも、げんちゃんの方が力も強いからびくともしない。
「おい、玄暉! ふざけんなって!」
「俺は蒼樹を守ってるだけだ。まだ蒼樹から返事をもらってないのに調子にのるな」
「なんだよそれ!」
とっきーは文句を言ってグイグイげんちゃんを押し込んでるみたいだけど、げんちゃんはやっぱり一歩も動かない。
「やっぱりげんちゃんは安心だなー」
「毎回そうだけど、蒼樹ってなんでそんなに玄暉贔屓なんだよ……温度差があるよな?」
「いやだって、とっきーだから」
「だな」
いつものやり取りをすると俺は安心するんだけど、とっきーが本当に寂しがってたら可愛そうだよな。
そろそろフォローしてあげないと。
「とっきーだから、俺も素を出してるんだよ。他の人にこんな失礼なことできないって」
「蒼樹、それ慰めになってないからな。俺はもっと蒼樹とイチャイチャしたいってのに」
「鷺羽、その言い方がよくないんじゃないか? 蒼樹が安心できないのはお前の振る舞いのせいだろう」
げんちゃんが身も蓋もないことを言うから、とっきーも言い返せなくなってる。
俺は二人のやり取りを見ながら笑いがこみ上げてくる。
ごめんごめんと謝りながら二人を見ると、今度は二人が笑顔を返してくれた。
「うん。なんか安心した。その……恋人みたいな感じはまだ無理かもしれないけど、俺は二人と一緒にいるときが一番楽しい」
「蒼樹……」
「蒼樹、その顔は反則だって。ワザとやってるだろ? はぁ……毒気抜かれちゃうんだよなーもう」
とっきーも一応は納得してくれたみたいだし、もう少しこのままの関係で甘えていても許してもらえそうだ。
勿論、後回しにするつもりはないんだけど……俺は三人で一緒にいたい気持ちが強いんだって改めて思う。
だからこそ、自分の気持ちときちんと向き合わないとな。
確かに最近過保護が増してきてるよなとは思ってたけど、俺のことが好きだから北條さんのことも牽制してたってことなんだよな。
「蒼樹、顔が赤くなってる」
「今更そんなに恥ずかしがるなって! っつーか、俺らの前でそんな顔するのは逆効果だぞ?」
食べちゃうぞ? って、とっきーは軽口叩いてくるけど……目線がやや本気だから勘弁してほしい。
俺、まだ抱かれてもいいだなんて返事してない。
だけど、俺のことが好きって聞いた後だと食べるっていう意味も少し違う意味に聞こえてきちゃうんだよな。
とっきーに軽い気持ちでいいよだなんて言ったら、遠慮なく来るに決まってる。
さすがに俺の心の準備ができてない。
「鷺羽、蒼樹にひかれてるぞ」
「え、なんで?」
「とっきー……急に迫られても怖いって。圧を感じる」
俺が困った顔を向けると、とっきーがショックを受けた表情でシクシクとわざとらしく泣く真似をし始めた。
「いや、だってとっきーの目が怖いって」
「ひどくね?」
「鷺羽の欲望がにじみ出てるな。蒼樹、危ないから離れろ」
俺がげんちゃんの後ろにささっと隠れると、とっきーがイラっとした顔でげんちゃんに襲い掛かった。
でも、げんちゃんの方が力も強いからびくともしない。
「おい、玄暉! ふざけんなって!」
「俺は蒼樹を守ってるだけだ。まだ蒼樹から返事をもらってないのに調子にのるな」
「なんだよそれ!」
とっきーは文句を言ってグイグイげんちゃんを押し込んでるみたいだけど、げんちゃんはやっぱり一歩も動かない。
「やっぱりげんちゃんは安心だなー」
「毎回そうだけど、蒼樹ってなんでそんなに玄暉贔屓なんだよ……温度差があるよな?」
「いやだって、とっきーだから」
「だな」
いつものやり取りをすると俺は安心するんだけど、とっきーが本当に寂しがってたら可愛そうだよな。
そろそろフォローしてあげないと。
「とっきーだから、俺も素を出してるんだよ。他の人にこんな失礼なことできないって」
「蒼樹、それ慰めになってないからな。俺はもっと蒼樹とイチャイチャしたいってのに」
「鷺羽、その言い方がよくないんじゃないか? 蒼樹が安心できないのはお前の振る舞いのせいだろう」
げんちゃんが身も蓋もないことを言うから、とっきーも言い返せなくなってる。
俺は二人のやり取りを見ながら笑いがこみ上げてくる。
ごめんごめんと謝りながら二人を見ると、今度は二人が笑顔を返してくれた。
「うん。なんか安心した。その……恋人みたいな感じはまだ無理かもしれないけど、俺は二人と一緒にいるときが一番楽しい」
「蒼樹……」
「蒼樹、その顔は反則だって。ワザとやってるだろ? はぁ……毒気抜かれちゃうんだよなーもう」
とっきーも一応は納得してくれたみたいだし、もう少しこのままの関係で甘えていても許してもらえそうだ。
勿論、後回しにするつもりはないんだけど……俺は三人で一緒にいたい気持ちが強いんだって改めて思う。
だからこそ、自分の気持ちときちんと向き合わないとな。
1
あなたにおすすめの小説
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き
メグエム
BL
伯爵家次男のユリウス・ツェプラリトは、ずっと恋焦がれている人がいる。その相手は、幼なじみであり、王位継承権第三位の王子のレオン・ヴィルバードである。貴族と王族であるため、家や国が決めた相手と結婚しなければならない。しかも、レオンは女関係での噂が絶えず、女好きで有名だ。男の自分の想いなんて、叶うわけがない。この想いは、心の奥底にしまって、諦めるしかない。そう思っていた。
僕はただの妖精だから執着しないで
ふわりんしず。
BL
BLゲームの世界に迷い込んだ桜
役割は…ストーリーにもあまり出てこないただの妖精。主人公、攻略対象者の恋をこっそり応援するはずが…気付いたら皆に執着されてました。
お願いそっとしてて下さい。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
多分短編予定
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
起きたらオメガバースの世界になっていました
さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。
しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。
僕の恋人は、超イケメン!!
刃
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる