彼の素顔は誰も知らない

めーぷる

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第五章 ギルド長からの招集命令

34.ギルド長からの提案

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 翌日――

 謎の招集命令がかかったのでギルドに顔を出すことになった。

 僕としては休暇が良かったのだが、あのギルド長のことだ。
 何か企んでいるに違いない。

 リューも何食わぬ顔で起きると、簡単に身支度を整えてさっさと家を出るので僕も後を追って慌てて着いていく。

 +++

 訓練場に集まった僕たちを含むギルドメンバーは何事かと目の前で仁王立ちしているギルド長に注目する。

「集まったか。今日は力比べをしようと思ってな。ギルドメンバーでトーナメント方式で競ってもらう。勝ち抜いたヤツは俺と殺り合うからそのつもりでな」
「ギルド長! やり合うってどのやり合うですかー?」
「ほう? どれでもいいぞ。お前のケツを掘ってやろうか?」

 ギルド長の突然の発表に血気盛んなメルセネールの皆もざわついてくる。
 僕は面倒事はごめんなので怠くてしょうがないが、隣のリューの表情は変わらないのでやる気の有無はよく分からなかった。

 今回は遠距離の銃は禁止されたため、接近戦もしくは中距離戦で行うことになる。
 メルセネールは基本的に近距離が多いので、獲物は剣もしくは拳などの肉体派が多い。
 リューは銃で大体の距離感を取ることが多いが、禁止されるとなると接近戦のみでやるつもりなのだろう。

 力比べは順調に進んでいき、皆ほぼほぼ本気でやり合ってどちらが先に負けを認めるか、で競われた。
 僕はさっさと一回戦目で適当に負けを認めておいたが。
 リューは何食わぬ顔で敵を薙ぎ払っている。
 その強さが抜きん出ているせいか、怖がる者は当たっただけで負けを認める者までいた。

 汗もかかずに勝ち進んでいくリューを見ていたギルド長が笑いながら戻ってきたリューの肩を叩く。

「容赦がないな、リューライト」
「……特に変わったことはしていません」

 ギルド長は高みの見物をしているが、相変わらず近寄りがたい存在だし僕ものらりくらりと躱してはいるけれど、正直真正面から当たりたくない相手だ。

 見た目も筋肉の固まりというのもあるが、近づいただけで頭から食われそうとも良く言われている。

 それでもリューに対して絡んでいくのは何か意味があるのだろうか?
 リューも流石にギルド長は無視するわけでもなく敬語で話しているところから、別の接し方をしているようだし。

 教えてもらった過去が関係しているのかもしれない。

 僕が色々と考えているうちに、残るはリューと面倒なアイツだけになった。


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