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第五章 ギルド長からの招集命令
35.剣士ヒースファイ
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「ディケンズ君、やはり君が上がってきたね。嬉しいよ、君と手合わせができるとは」
「……いいから構えろ」
「そう焦らないでくれ。私は君と手合わせすることをじっくりと楽しみたいんだ。そう、男と男の火花散る、この 訓練場でね?」
(……リューは無視してナイフを構えてるな。だが、ヤツはウザったいが実力はある。しかも獲物が長剣ときてるからリューにとっては不利かもな)
リューの目の前にいるのは、このギルドでは実力派だが癖が強いヒースファイだ。
僕と同い年だがいちいち言い回しが気障ったらしい。
腹の立つ喋り方で、どうでもいい口上が長い。
それでいて顔立ちが整っているのと、薄青の長髪がなびくのも似合っているのに腹が立つ。
なんとなく僕と同じ路線だと思われているのも心外なのだが、たまに間違えられる時がある。
僕はここまでしつこくしないし、もっと普通だと思うのだが……。
周りから見ると系統が一緒なのだろうか?
――寒気がする。
「相変わらずヒースは変なヤツだな。遠慮してないでちゃんとやりあえよ? 不甲斐ない奴らばかりでリューライトが暇そうだからな」
「ギルド長、私の名前はヒースファイ・サトクリフですよ? 由緒正しきこの名を略すなどと……我が輝きに一点の曇りがと思うと、恐ろしいのです。せめて名前は略さずにお呼びください」
「分かった分かった。リューライトが暇そうだから、早く始めろ」
面倒そうなギルド長が手を振ってヒースを追いやる。
ギルド長ですら扱いに困るヤツにリューが表情一つ変えないのが本当に恐ろしい。
ここまで来ると無表情が最強な気もしてきた。
漸く力比べが始まる気配に、リューもヒースも構えを取る。
ヒースは長剣を斜めに構え、リューはナイフを片手に攻め方を計算しているようだ。
ジリ、ジリ、とお互い円を描くように出方を伺っている。
沈黙の時間が続き、見ている方が緊張してしまうような張り詰めた空気感の中、リューが最初に足を踏み出してあっという間に距離を詰め、まずは一撃を放つ。
振り下ろしたナイフが長剣とぶつかり合い、キィン!という鋭い音を響かせる。
そこから何度もナイフを繰り出してみるが、ヒースは長剣でその攻撃を上手く捌いていく。
何度か打ち合って具合を確かめるが、そのどれもをやはりうまく受け流すので、攻撃としては決定打にならない。
「フフ、さすがディケンズ君。この私を、ここまで、動かすとは……。やはり君の実力を認めざるを得ないようだね?」
「……獲物の長さはやはり不利か。問題はない。次に切り替えるだけだ」
ヒースが長剣を押したところでリューも両足で飛び退き一旦下がると、今度はナイフを牽制に使いながら足を繰り出していく。
体勢を崩そうと放つ足の関節めがけての蹴りは、寸でのところでヒースが躱して上から剣を振り下ろす。
リューはその軌道を読み、身体を捻って躱したところで身体を屈めて追撃の下半身に向けての回し蹴りを放つが、それも上に跳ねられて空振りに終わる。
飛び跳ねたヒースが今度は上から長剣を思い切り振り下ろすが、リューも地面に手を付いて地を蹴り、お返しとばかりにヤツの顔をめがけて上段の回し蹴りを放った。
ギッッ! と、嫌な金属音が立ち、リューのブーツから飛び出たナイフもヒースは長剣で受け止めた。
リューも少々苛立っているのか僕の耳には舌打ちが聞こえた気がした。
「……いいから構えろ」
「そう焦らないでくれ。私は君と手合わせすることをじっくりと楽しみたいんだ。そう、男と男の火花散る、この 訓練場でね?」
(……リューは無視してナイフを構えてるな。だが、ヤツはウザったいが実力はある。しかも獲物が長剣ときてるからリューにとっては不利かもな)
リューの目の前にいるのは、このギルドでは実力派だが癖が強いヒースファイだ。
僕と同い年だがいちいち言い回しが気障ったらしい。
腹の立つ喋り方で、どうでもいい口上が長い。
それでいて顔立ちが整っているのと、薄青の長髪がなびくのも似合っているのに腹が立つ。
なんとなく僕と同じ路線だと思われているのも心外なのだが、たまに間違えられる時がある。
僕はここまでしつこくしないし、もっと普通だと思うのだが……。
周りから見ると系統が一緒なのだろうか?
――寒気がする。
「相変わらずヒースは変なヤツだな。遠慮してないでちゃんとやりあえよ? 不甲斐ない奴らばかりでリューライトが暇そうだからな」
「ギルド長、私の名前はヒースファイ・サトクリフですよ? 由緒正しきこの名を略すなどと……我が輝きに一点の曇りがと思うと、恐ろしいのです。せめて名前は略さずにお呼びください」
「分かった分かった。リューライトが暇そうだから、早く始めろ」
面倒そうなギルド長が手を振ってヒースを追いやる。
ギルド長ですら扱いに困るヤツにリューが表情一つ変えないのが本当に恐ろしい。
ここまで来ると無表情が最強な気もしてきた。
漸く力比べが始まる気配に、リューもヒースも構えを取る。
ヒースは長剣を斜めに構え、リューはナイフを片手に攻め方を計算しているようだ。
ジリ、ジリ、とお互い円を描くように出方を伺っている。
沈黙の時間が続き、見ている方が緊張してしまうような張り詰めた空気感の中、リューが最初に足を踏み出してあっという間に距離を詰め、まずは一撃を放つ。
振り下ろしたナイフが長剣とぶつかり合い、キィン!という鋭い音を響かせる。
そこから何度もナイフを繰り出してみるが、ヒースは長剣でその攻撃を上手く捌いていく。
何度か打ち合って具合を確かめるが、そのどれもをやはりうまく受け流すので、攻撃としては決定打にならない。
「フフ、さすがディケンズ君。この私を、ここまで、動かすとは……。やはり君の実力を認めざるを得ないようだね?」
「……獲物の長さはやはり不利か。問題はない。次に切り替えるだけだ」
ヒースが長剣を押したところでリューも両足で飛び退き一旦下がると、今度はナイフを牽制に使いながら足を繰り出していく。
体勢を崩そうと放つ足の関節めがけての蹴りは、寸でのところでヒースが躱して上から剣を振り下ろす。
リューはその軌道を読み、身体を捻って躱したところで身体を屈めて追撃の下半身に向けての回し蹴りを放つが、それも上に跳ねられて空振りに終わる。
飛び跳ねたヒースが今度は上から長剣を思い切り振り下ろすが、リューも地面に手を付いて地を蹴り、お返しとばかりにヤツの顔をめがけて上段の回し蹴りを放った。
ギッッ! と、嫌な金属音が立ち、リューのブーツから飛び出たナイフもヒースは長剣で受け止めた。
リューも少々苛立っているのか僕の耳には舌打ちが聞こえた気がした。
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