村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~

楓乃めーぷる

文字の大きさ
3 / 75

3.村にドラゴンが!

しおりを挟む
 走って村へ戻ると、村のみんなが集まっていた。
 やっぱり悲鳴も聞こえてくる。
 男の人たちはみんな手に武器や農具を持って、何かを睨みつけているのが分かる。

「どうして村にドラゴンが!」
「知らねぇ! いいから追い払わないと、このままじゃコッチの命が危ない」
「そんなことより町へ行って救援を、いやさっさと逃げて……うわぁぁぁっ! 風がっ」

 村のみんなも色々叫んでいるけど、混乱しているみたい。
 指さす人につられて見上げると、家より高いところに黒いドラゴンがいる。
 翼をバサバサと動かして風を巻き起こしながら、何かを訴えているみたいだ。
 少し遠いから、ドラゴンの言いたいことはまだ分からない。

 ドラゴンは空中で僕たちを見下ろしてるだけで何もしてこようとしない。
 ただ、村のみんなを見回して大きな声で鳴いているから伝えたいことがあるはずだ。
 
「とにかく、石でもなんでもいいから投げつけろ!」
「あの強そうなドラゴンに?」
「わぁーんっ! 怖いよー!」

 ドラゴンは何もしてないのに?
 怒っているのだって、きっと何か訳があるはずなんだ。
 それなのに、石を投げるだなんて!

 僕が止める前に、大人たちはドラゴンへ向けて石を投げたり武器を振り回したりして攻撃をし始めた。
 ドラゴンは村のみんなが石を投げつけてくると、翼をはためかせながらまた声をあげる。

「いいから帰ってくれ! 俺たちの村を荒らすな!」
「何もしてこないならコッチから攻撃しよう!」

 何人かの狩りの上手な大人は、屋根に上って弓を構えはじめた。
 ドラゴンにも考えていることがあるんだ。
 僕は前にたまたま村へきた旅人さんが、ドラゴンは賢いって言っていたのを思い出した。
 だから、ドラゴンはきっと分かってくれる。
 
 ドラゴンがみんなを攻撃するつもりだったら、最初から火を噴いたりするはずだ。
 僕たちよりドラゴンの方がずっと強いはずだから、ドラゴンが本気で怒ったらもっと大変なことになる。

「ピィ……」
「うん。あのドラゴンは言いたいことがあるんだよ。だから、村までやってきたんだ。だから……僕がドラゴンと話してみる」

 ポイはドラゴンを見ておびえてしまっている。
 撫でてやると、僕のシャツのポケットの中にもぐり込んだ。
 
 僕が駆け足でみんなの間を擦り抜けてドラゴンに近づいていくと、村長さんの姿が見えてきた。
 ドラゴンの言いたいことが分かるのは僕だけだ。
 僕は急いで村長さんに駆け寄った。

「村長さん!」
「フィロ? なんだ、今はお前に構っている暇は……」
「僕にドラゴンと話しをさせてください!」
「なんだと?」

 僕が大きな声を出すと、石を投げていた大人たちもピタリと動かなくなった。
 村長さんもジッと僕を見ていたけど、周りの大人たちと頷き合うと僕の背中をドラゴンの方へ押し出す。

「お前の妙な力が役に立つのかは知らないが、いいだろう。これでフィロが怪我をしようがわしの責任ではないからな」
「……はい。分かってます。大丈夫です、きっと分かってくれます」

 僕は村長さんに振り返ってから前を向く。
 大きく息を吸い込んで、ドラゴンに話しかけた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。

大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot
児童書・童話
 薬草を採りに入った森で、魔獣に襲われた僕。そんな僕を助けてくれたのは、一人の女性。胸のあたりまである長い白銀色の髪。ルビーのように綺麗な赤い瞳。身にまとうのは、真っ黒なローブ。彼女は、僕にいきなりこう尋ねました。 「シチュー作れる?」  …………へ?  彼女の正体は、『森の魔女』。  誰もが崇拝したくなるような魔女。とんでもない力を持っている魔女。魔獣がわんさか生息する森を牛耳っている魔女。  そんな噂を聞いて、目を輝かせていた時代が僕にもありました。  どういうわけか、僕は彼女の弟子になったのですが……。 「うう。早くして。お腹がすいて死にそうなんだよ」 「あ、さっきよりミルク多めで!」 「今日はダラダラするって決めてたから!」  はあ……。師匠、もっとしっかりしてくださいよ。  子供っぽい師匠。そんな師匠に、今日も僕は振り回されっぱなし。  でも時折、大人っぽい師匠がそこにいて……。  師匠と弟子がおりなす不思議な物語。師匠が子供っぽい理由とは。そして、大人っぽい師匠の壮絶な過去とは。  表紙のイラストは大崎あむさん(https://twitter.com/oosakiamu)からいただきました。

魔法使いアルル

かのん
児童書・童話
 今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。  これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。  だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。  孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。  ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。

【完結】アシュリンと魔法の絵本

秋月一花
児童書・童話
 田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。  地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。  ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。 「ほ、本がかってにうごいてるー!」 『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』  と、アシュリンを旅に誘う。  どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。  魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。  アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる! ※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。 ※この小説は7万字完結予定の中編です。 ※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。

処理中です...