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59.気持ちは必ず伝わるから

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 一歩ずつフェニックスへ近づいていくと、フェニックスは来るなって叫んで炎を吐いてくる。

「フィロ!」

 ルナちゃんが慌てて水を飛ばしてくれて、炎を消してくれた。
 ラグお姉さんもフェニックスの攻撃をかわしながら、僕にフェニックスの攻撃が来ないようにしてくれてる。
 オルお兄さんは、暴れようとするフェニックスを押さえつけようと足を両腕でガッチリ捕まえて離さない。

「僕はみんなが協力してくれるからこそ、フェニックスさんのところへ来れたんだ。騎士のルイーツさんも昔からフェニックスさんのことを知っているから、僕たちにフェニックスさんと話をして欲しいって言ってたんだよ」
「そうです。生き物たちの言葉を理解し、誰よりも多種族と仲良くできる方。我々もフェニックス様と話ができるというフィロさんをお連れしたんです」

 ルイーツさんもフェニックスの爪を受け止めながら、必死に説得に加わってくれてる。
 どうしたら分かってもらえるかな?
 僕は思い切ってフェニックスに近づいてから、熱そうな羽のところへ飛び込んだ。

 じゅわっという音がした。
 すごく熱い。
 僕のことを心配してくれてるみんなの声は聞こえてくる。
 痛くてヒリヒリしてるけど、僕の気持ちを伝えるためにはちょうどいいのかもしれない。

「僕は今、武器を持ってないでしょ? だから……」

 フェニックスも迷ってくれているみたいだ。
 僕はもっと力をこめてぎゅっとする。
 
「フィロ、これ以上はフィロが!」
「僕は……大丈夫。だから、フェニックスさんも……」

 ルナちゃんが怒るように大きな声で僕を心配してくれる。
 フェニックスは、怒ってあばれることをあきらめてくれたみたい。
 フェニックスの身体から、力が抜けてくるのが分かる。

「良かった……」

 フェニックスと一緒に、僕の身体の力も抜けてきた。
 炎をいっぱい吸い過ぎたみたいで、のどもひりひりする。
 話したいことはたくさんあるのに、言葉が出てこない。

「フィロ!」
「無茶しすぎよ!」
「しっかりしろ、フィロ!」

 もっと頑張らなくちゃいけないのになあ。
 そう思ってるのに、身体がいうことを聞いてくれない。
 
 みんなが僕の近くに来てくれて、フェニックスから僕の身体を引き離す。
 フェニックスも、もう攻撃してこない。

「想像以上にヤケドが酷い。応援するとは言ったが、無茶しすぎだ」
「待って、今魔法で!」

 ラグお姉さんに抱きかかえられながら、ルナちゃんが魔法をかけてくれる。
 でも、ルナちゃんも頑張ってたから魔法が使えなくなってるみたいだ。

「ちょっと! なんでよ!」
「ルナも魔力切れか。ラグはどうだ?」
「残念だが、私は回復系が使えない。しかしフィロを早く手当てしてやらないと……」

 みんなを心配させちゃってるみたいだ。
 僕はみんなが安心できるように笑おうとしたんだけど、うまく笑えないや。
 ポイが僕のそばに来て、ピィって鳴くのが聞こえた。
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