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62.みんなで仲良くできたらいいな

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 フェニックスは僕全員を見るように首を動かしてから、またゆっくりと話し始めた。

「人間には子育てに適した地を借り、我々は礼として恵みをもたらすこと。貸し借りだけで成り立つ関係は我々にとって当然のものだった。だから、人間が我々の子を持ち去ったと気付いた時は怒りしかなかった」
「つまり、一方的に裏切られた訳だ。私もつい最近までそのような考えだったのだがな。この子だけは違った。だから、私も考え方を変えてみようと思った」

 ラグお姉さんが僕を見て笑いかけてくれた。
 笑顔のラグお姉さんはとてもキレイでドキっとしちゃう。
 僕もうれしくなって、にっこりと笑い返す。

「そうだね。最初ラグお姉さんもとっても怒ってたから。誰だってひどいことをされたら怒るもの。フェニックスさんも怒るのは当たり前だから」
「ここにいる者はみな人間からヒドイ目にあわされた。私も住処すみかを荒らされたし、ルナは罠で捕らえられた。オルは弱ったところを拉致らちされ、無理やり力を押さえつけられた挙句あげく売られそうになっていた」

 ラグお姉さんが改めて言うと、人間はヒドイことをしちゃうんだなって分かる。
 僕だってフェニックスがみんなを傷つけたとき、フェニックスも傷ついても仕方がないって思ってた。
 自分の大切な人を守りたいって思ったら、相手の人の気持ちは考えられなくなっちゃうかもしれない。

「やられたらやり返す。そんなときもあるかもしれないけど、きっとそれだけじゃダメなんだよね。悪いことをしたら反省しなくちゃいけないんだ。そして、ゆるしてもらえなかったとしてもごめんなさいって謝らなきゃ」
「そうですね。人は取り返しのつかないおろかなことをするときがある。その時は間違えを間違えだと認める。認められないのなら認めさせる。つみをつぐなって前へ進まなくてはいけない」

 ルイーツさんも騎士さんだから、もしかしたら悪い人を倒すために命を奪ったことがあるのかもしれない。
 だけど、本当はその人に悪いことをしたんだって反省してほしかったはずだ。
 大人の考えは違うのかもしれないけど、僕はみんなが話し合ってごめんなさいって言って済むのならいいなって思う。
 
 なかなかできないから、いろんな場所で悲しいことが起こっちゃうんだけど……。
 少しずつでも、悲しいことがなくなって欲しいな。

「種族は違えど、ここで会ったのも何かの縁。今まで人間のことなど興味もなかったが、互いのことを知るのもいいかもしれないな」
「ああ。俺もまだ完全に理解はできていないが、人間も悪いヤツばかりじゃないし飯もうまい」
「オル……なんでここでご飯の話なのよ。まあ、フィロのキレイごとは子どもの意見だけど。仲良くするっていうのは悪くないって思うわ」

 フェニックスも子どもを守らなくちゃいけなかったから、人間のことを考えてる時間がなかったのかもしれない。
 みんな少しでも仲良くしたいって思ってくれるのなら、うれしいな。

「フィロさんを見ていると、我々の方が学ばなくてはと思い知らされます。賢者とは、種族関係なく仲良くしたいと願う者だったのかもしれませんね」

 フェニックスはふわりと羽を動かしてから、静かにうなずいた。
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