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74.寝る前に少しお話

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 ラグお姉さんとはグラム村を出たときから一緒だから、一番お世話になってる気がする。
 初めて会った時は、色々あったけど……一緒に旅をして冒険者として頑張っていられるのはラグお姉さんのおかげだ。

「どうした? 私の顔をじっと見つめて」
「ラグお姉さん、いつも本当にありがとう」

 ラグお姉さんを見上げながらお礼を言うと、ラグお姉さんは僕のほっぺを両手で包んで笑いかけてくれる。
 
「なんだ改まって。それを言うなら私もだ。フィロのおかげで狭い世界から飛び出して好きに楽しく旅をしているからな」
「ラグお姉さんに会ってから、ルナちゃんとオルお兄さんとも会えたし。僕、色々あったけど旅ができてすごくうれしい」

 僕が話していると、ポイが自分もだって言いながら僕の肩に止まる。

「ピピピッ」
「うん。ポイはずっと一緒にいてくれたもんね。ポイは一番の友だちだよ」

 ポイをなでなですると、うれしそうにピィって鳴いてくれた。
 それを見ていたラグお姉さんがポイと僕を一緒になでなでしてくれる。

「二人ともかわいいぞ。これからも一緒に旅をするのが楽しみだ。ノイオゾを出たらどこに行こうか?」
「僕はみんなと一緒だったらどこでも楽しいと思うけど……そうだ、海が見てみたいな」

 前にグラム村で海へ行ったって話を聞いて、目の前に地面がなくて水がたくさんあるのってどんな景色なのか気になってたんだ。
 
「海か。私もこの目で見たことはないな。第一候補は海を見に行くのもいい案だ」
「ホント? じゃあ、ルナちゃんとオルお兄さんにも聞いてみなくっちゃ」
「そうだな。まあ、気ままに旅するのも悪くないし。今日はそろそろ眠らないと。また明日皆で決めるとしよう」

 ラグお姉さんが僕をベッドへ寝かせてくれる。
 ポイもふわっと飛んでから、僕の枕の上で横になる。

「ポイも眠くなっちゃった? 僕も横になると眠くなってきちゃう……」

 ごろんってすると、あくびが出てきた。
 ラグお姉さんも僕の隣で横になると、子どもを寝かしつけるみたいに僕の身体をぽんぽんと叩きながら優しく笑ってくれる。

「難しいことは考えずに、フィロはやりたいようにすればいい。危険なことはやはりあまりしてほしくはないが」
「うん。危ないことをしてラグお姉さんを悲しませたりしないから。もししそうになったら……僕をしかっていいからね」
「そうだな。なるべくしてほしくはないが……どうしても無茶をしなくてはいけないと思ったときは、相談してくれ」
「約束する」

 僕が約束って言うと、ラグお姉さんも安心してくれたみたいだ。
 おやすみの一言と一緒に、おでこにちゅっとおやすみのキスをしてくれた。
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