【本編完結】変わりモノ乙女ゲームの中で塩対応したのに、超難易度キャラに執着されました

楓乃めーぷる

文字の大きさ
24 / 119
第四章 黙々と育成からのお手伝いループ

22.図書館でお手伝い

しおりを挟む
 俺は持ち込んだアイテムを順番に使用していく。
 土を盛ったり、栄養剤をあげたりとやっていることは園芸の作業に近い。
 ただ、アイテムを使用するとキラキラと光ったりする演出があるから見ていて楽しい。

「ふう……アイテムの効果が出るのは翌日以降だから、今日はこのくらいか」

 肥料系は使い切りだと思っていたけど、スコップやじょうろも役目を終えると消えていくことが分かった。
 やっぱりその都度アイテム屋で新しいものを買わないとダメそうだな。

「毎回仕入れてくれるんだよな? じゃないと俺は困るんだけど」

 今まで溜めていた金貨はなくなってしまったし、まだもう少し時間がありそうだから今日も金貨集めをしたほうがよさそうだ。
 
「恵みの樹に一番近そうな場所は……」

 ここから一番近いのは図書館か。
 白い石造りの建物があって、建物の中に本がたくさん置いてある場所がある。
 ちなみにアウレリオルがお気に入りの場所でもあり、ここに光の下級精霊がいる。
 アウレリオルの住処すみかもすぐ側にあって、白の大理石で作られた光輝く美しい建物だったはずだ。

「失礼します」

 建物内に入ると、書物の乾いた香りがする。この香りは嫌いじゃない。
 なるべく静かに進んでいくと、奥で本の整理をしているらしい羽の透けた可愛らしいフェアリーたちの姿が見えてきた。
 彼らはいつもフェアリーの姿で作業しているけど、全員が魔法の力で一つになると人の形をとることができるという特殊な下級精霊だ。
 図書館は恵みの樹の近くにある場所だったから、ゲーム内でもよくお世話になった場所でもある。

「こんにちは」
「本を読みに来たの?」
「手伝いに来ました」

 三人のフェアリーがいるが、一斉に二人に喋られると誰に話しかければいいのかよく分からなくなる。
 黄色い服を着たフェアリーがコッチコッチと招くので、大人しくついて行く。

「君は……ハル? ビックリしたー。図書館に来てくれるなんて」

 緑の服を着たフェアリーが、透ける羽をはばたかせながら俺の周りをくるりと飛ぶ。
 光の下級精霊だから、俺の印象はイマイチなのかもしれないな。
 でも、冷たい態度というより興味津々って感じがする。
 
「今、机に積んでいた本をあっちの棚へ戻そうとしていたんだ。帯の色が一緒だから分かるかなぁ?」
「はい。この本だと青い帯だから……右から二番目の棚ですね?」
「そうそう。その調子!」

 ピンクの服を着たフェアリーが元気に褒めてくれる。フェアリーたちは三人で一つの本を持って少しずつ本を戻しているし、時間がかかりそうだ。

「俺なら何冊か持てますから。この赤い帯の本は全て戻してきます」
「そう? じゃあ、お願いするね」

 フェアリーたちと分担しながら俺はなるべく遠くの棚へまとめた冊数を持っていき、フェアリーたちには俺が届かない上の方の本をお願いした。
 うまく分担できたみたいで、机の上に重なっていた数十冊の本は少しずつ本棚の中へ戻されていく。
 何度目かの往復で机の上の本は全て片付いた。

「わあ、こんなに早く終わるなんて! レリオル様も喜んでくれるよ」
「いえ、フェアリーの皆さんがいたからこそです。上の方は俺じゃはしごがないと届きませんから」
「そうだね! 協力することは大切だってよく言われるし、ハルに手伝ってもらって良かった」

 三人のフェアリーは俺の周りをふわりと飛びながら、口々にお礼を言ってくれる。
 何だか、むずがゆい気分だ。

「そうだ、お手伝いしてもらったんだからお礼をしないと! 対価は大切!」

 フェアリーたちが一斉に頷くと、三人が順番に俺の手のひらの上に金貨を置いてくれた。
 よし、これでアイテム一個分くらいにはなりそうだ。

「お役に立てて良かったです。では、失礼します」

 フェアリーたちにお礼を言って図書館を出ようとすると、ちょうど中へ入ってきた人物と目が合ってしまった。

「あ、レリオル様だ!」
「レリオル様ー! 本のお片付け終わりましたよ!」
「ハルに手伝ってもらったおかげです」

 フェアリーたちはアウレリオルの側へ行って、口々に報告する。
 アウレリオルは報告を聞きながら、無言で俺を見遣ってきた。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

処理中です...