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第四章 黙々と育成からのお手伝いループ
25.炎の下級精霊
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俺の言葉に反応したらしく、炎の下級精霊は首を上げて俺の方を見上げてくる。
だが、その目もどこか虚ろで元気がない。
「うぅ……」
「大丈夫ですか?」
「すまない、どうやら妙なモノを食ったらしい。もし、そこらに薬草が生えていたら食べさせてくれないか?」
「薬草……」
ゲーム画面で薬草を見たことあったか? 俺はしゃがんで辺りを見回してみるが、全部同じ草に見える。
しかも辺りは暗くなってきているし、ヒントなしでは分からない。
「薬草について、何か特徴があったら教えてもらえますか?」
「ああ……薬草は水辺に生えていて、夜は光る」
「分かりました」
ここから一番近い水辺は……リバイアリスの下級精霊がいた湖だろう。
俺は走って湖を目指す。
早くしないと辺りが真っ暗になって、炎の狼の場所も分からなくなってしまう。
俺の全速力で何とか湖まで辿り着くと、前に世話した花の側に光る草が生えているのが見えた。
「アレか? すみませんが、緊急事態なのでいくつかいただきます」
適量も分からないが、とりあえず小声で断って何本か草を引き抜いた。
俺はよろつきながら来た道を必死で戻り、炎の狼のところまで戻ってきた。
「取ってきました。どうぞ」
俺の声に反応し、炎の狼は口を開ける。
これが正解なのを願って、口の中へ取ってきた薬草らしき草を入れてやる。
狼は口を閉じて草を飲み込んだ。すると、炎がぶわっと燃え出して辺りを更に明るく照らし出す。
身体をぶるりと震わせると、炎の狼は俺の方を見上げてきた。
「助かった。礼を言う。お前は……ハルだったな。オレはウルフ。炎の下級精霊だ」
「いえ。薬草が効いて良かったです。身体は大丈夫ですか?」
「ああ。主が嬉しそうにカティからもらったおやつとやらをオレに分けてくれたのだが……それを食べた途端に動けなくなってしまってな」
カティのおやつ? 一体何をあげたのかは知らないが、精霊がお腹を壊すものとはいったい……?
どうやら炎の精霊の炎は近づいても敵意がなければ熱くないらしい。
大分距離が近いけど、全く熱さを感じない。
「そうでしたか。ウルフさんも大丈夫そうですし。俺はこれで」
走ってくたびれたし、さっさと家へ帰ろうとすると待てと引き留められる。
これも突発イベントなのかもしれないけど、炎の下級精霊だと深く関わるのも怖いんだよな。
ウルフは落ち着いている大人な性格の下級精霊みたいだけど、ヴォルカングは感情に左右されやすい性格みたいだし。
「助けてもらったのに礼の一つもしない訳にもいかない。しかし……主が言っていたのと随分印象が違うな」
「それも良く言われます。なので、お気遣いは無用です」
「ふむ……しかし、それではオレの気が済まん。では、せめてこれだけ受け取ってくれ」
ウルフがバウッと一吠えすると、俺の手のひらにずっしりとした重みのある袋が乗せられた。
これは、金貨の入った袋か?
「せめてもの礼だ」
「では……ありがたく頂戴します」
軽く頭を下げてから歩こうとすると、ウルフがまだこちらを見ていることに気づく。
まだ話があるのだろうか?
「こうも暗いと灯りなしでは道も分かりづらいだろう。オレが家まで送ろう」
金貨だけでも十分助かるのに、灯り代わりにまでなってくれるらしい。
ウルフならきっと俺のことも勘違いしなさそうだよな? 俺はありがたく好意に甘えることにした。
「主はカティのことが大好きみたいだが、オレはあまり好みではない。あのキンキン声は耳に響く」
「そうですか。でも、元気だからいいんじゃないですか?」
カティを悪く言うと、ヴォルカングにどう伝わるか分からない。
例えウルフがカティのことを好きじゃないと言っていても、俺が悪口を言うようなことは避けた方がいいだろう。
正直、ウルフの意見に大賛成だけど。
「ハルは耐えられるのか? アレに」
「……」
「ん? どうした?」
「いや……ウルフはヴォルカング様の下級精霊ですよね? だから……」
俺が言葉に詰まると、ウルフはワハハと急に笑い始めた。
だが、その目もどこか虚ろで元気がない。
「うぅ……」
「大丈夫ですか?」
「すまない、どうやら妙なモノを食ったらしい。もし、そこらに薬草が生えていたら食べさせてくれないか?」
「薬草……」
ゲーム画面で薬草を見たことあったか? 俺はしゃがんで辺りを見回してみるが、全部同じ草に見える。
しかも辺りは暗くなってきているし、ヒントなしでは分からない。
「薬草について、何か特徴があったら教えてもらえますか?」
「ああ……薬草は水辺に生えていて、夜は光る」
「分かりました」
ここから一番近い水辺は……リバイアリスの下級精霊がいた湖だろう。
俺は走って湖を目指す。
早くしないと辺りが真っ暗になって、炎の狼の場所も分からなくなってしまう。
俺の全速力で何とか湖まで辿り着くと、前に世話した花の側に光る草が生えているのが見えた。
「アレか? すみませんが、緊急事態なのでいくつかいただきます」
適量も分からないが、とりあえず小声で断って何本か草を引き抜いた。
俺はよろつきながら来た道を必死で戻り、炎の狼のところまで戻ってきた。
「取ってきました。どうぞ」
俺の声に反応し、炎の狼は口を開ける。
これが正解なのを願って、口の中へ取ってきた薬草らしき草を入れてやる。
狼は口を閉じて草を飲み込んだ。すると、炎がぶわっと燃え出して辺りを更に明るく照らし出す。
身体をぶるりと震わせると、炎の狼は俺の方を見上げてきた。
「助かった。礼を言う。お前は……ハルだったな。オレはウルフ。炎の下級精霊だ」
「いえ。薬草が効いて良かったです。身体は大丈夫ですか?」
「ああ。主が嬉しそうにカティからもらったおやつとやらをオレに分けてくれたのだが……それを食べた途端に動けなくなってしまってな」
カティのおやつ? 一体何をあげたのかは知らないが、精霊がお腹を壊すものとはいったい……?
どうやら炎の精霊の炎は近づいても敵意がなければ熱くないらしい。
大分距離が近いけど、全く熱さを感じない。
「そうでしたか。ウルフさんも大丈夫そうですし。俺はこれで」
走ってくたびれたし、さっさと家へ帰ろうとすると待てと引き留められる。
これも突発イベントなのかもしれないけど、炎の下級精霊だと深く関わるのも怖いんだよな。
ウルフは落ち着いている大人な性格の下級精霊みたいだけど、ヴォルカングは感情に左右されやすい性格みたいだし。
「助けてもらったのに礼の一つもしない訳にもいかない。しかし……主が言っていたのと随分印象が違うな」
「それも良く言われます。なので、お気遣いは無用です」
「ふむ……しかし、それではオレの気が済まん。では、せめてこれだけ受け取ってくれ」
ウルフがバウッと一吠えすると、俺の手のひらにずっしりとした重みのある袋が乗せられた。
これは、金貨の入った袋か?
「せめてもの礼だ」
「では……ありがたく頂戴します」
軽く頭を下げてから歩こうとすると、ウルフがまだこちらを見ていることに気づく。
まだ話があるのだろうか?
「こうも暗いと灯りなしでは道も分かりづらいだろう。オレが家まで送ろう」
金貨だけでも十分助かるのに、灯り代わりにまでなってくれるらしい。
ウルフならきっと俺のことも勘違いしなさそうだよな? 俺はありがたく好意に甘えることにした。
「主はカティのことが大好きみたいだが、オレはあまり好みではない。あのキンキン声は耳に響く」
「そうですか。でも、元気だからいいんじゃないですか?」
カティを悪く言うと、ヴォルカングにどう伝わるか分からない。
例えウルフがカティのことを好きじゃないと言っていても、俺が悪口を言うようなことは避けた方がいいだろう。
正直、ウルフの意見に大賛成だけど。
「ハルは耐えられるのか? アレに」
「……」
「ん? どうした?」
「いや……ウルフはヴォルカング様の下級精霊ですよね? だから……」
俺が言葉に詰まると、ウルフはワハハと急に笑い始めた。
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