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第四章 黙々と育成からのお手伝いループ
26.兄貴肌
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まさか笑われるとは思っていなかったけど、どうやらウルフは大人で話の分かる下級精霊らしいな。
お前も大変だな、と慰めてくれた。
「オレもお前と直接関わりを持つのは初めてだからな。今のやり取りだけで判断はできないが……記憶喪失のハルは少なくともカティより話が分かる人物なのは間違いないな」
「え……」
俺が思わず疑問のまま口に出してしまうと、ウルフはまた楽しそうに笑う。
見た目は怖い感じだけど、性格はこざっぱりしていてとても付き合いやすいのかもしれない。
「カティはオレを見ると、犬のように全身撫でまわしてくる。だが、主は止めもせずに可愛いだろう? などと言うのでな。調子に乗って背に乗せろなどと無茶を言われる」
「……ウルフさんも大変なんですね」
「ウルフでいい。下級精霊に敬語など必要ないぞ」
「はあ……」
ヴォルカングより大人で兄貴肌な下級精霊って……ゲーム内でもちらっとしか出てきてなかったから正直知らなかった。
ウルフからカティの愚痴を聞かされると、カティの奔放さに内心驚いてしまう。
あぁ……本当に妹にそっくりすぎる。
「送っていただき……送ってくれてありがとう。それと、今日のことはヴォルカング様には……」
「ああ。分かっている。今の主に言うとハルに面倒なことが起こりそうだ。オレの心に留めておいて、いざという時に全力でハルの味方になろう」
ウルフがカッコよくていいヤツすぎる。
ヴォルカングが残念精霊のように見えて、ある意味可愛そうになってきた。
「それは……助かる。じゃあ、おやすみなさい」
俺が軽く頭を下げると、バウッという返事と共にウルフは森の中へ戻っていった。
炎の背を見送ってから、扉を開いて中へ入る。
今日も動き回っていたせいか、もうクタクタだ。
筋トレとかして少し体力をつけたほうがいいのか? 今更って気もするけど毎日疲れるせいで寝てばっかりだ。
「夕飯は……軽くでいいか。でも、先にシャワーだな。それから、さっと食べてしまおう」
部屋に入って、ランプに灯りをつける。
今日は育成と手伝いをしてからの突発イベントにも出くわしたしな。
使い切った分の金貨もだいぶ取り戻せたし、金貨自体はマイナスでも俺にとってはプラスになった。
この調子で手伝いと育成を両立できれば、最初に遅れた分も取り返せるかもしれない。
「よし、カティより早く恵みの樹を育ててやるぞ。次の中間報告まで、地道に育成しないとな」
俺は決意も新たに早速シャワーに入りながら今後の育成計画を練り始めた。
俺の記憶が確かなら、中間報告は合計で三回あるはずだ。
三回終わったあとはもう最終の結果報告が残るのみ。
美味しい実を作れた方が勝ちなんだけど、問題は美味しい実の作り方だ。
ゲームをしていた時は、効率重視のノーマルエンドと言動が分かりやすい水の精霊エンドを見ることができた。
だが、土の精霊を知るために闇の精霊と仲良くしてしまったので光の精霊のことは分からない。
……カティはどういう実を作る気なんだろう? 恋愛エンドを目指しているのかも分からないけど、ヴォルカングとは確実に仲が良いもんな。
光は今一つってところだけど、狙っているようにも見えた。
でも、ゲームでカティを動かすのはプレーヤーだ。
もしかしたら、外で誰かがカティを操っているという恐ろしい展開もあり得なくはないけど……。
妙な考えを排除すると、カティと仲が良さそうなのは火と光。
ということは、育成で考えると美味しそうだけどかなり味の濃そうな実ができそうな気がする。
「まずカティが誰に力を送ってほしいとお願いしてるのか、確認してみてもいいかもな」
その上で、俺は万民が食べやすい味を目指すつもりだ。
つまり、精霊の力は全て均等に使う。買う道具は全属性、使う時も全属性一気に使う。
そうすると、全てのパラメーターが同時に伸びて安心して食べられる普通の実がなるはずだ。
お前も大変だな、と慰めてくれた。
「オレもお前と直接関わりを持つのは初めてだからな。今のやり取りだけで判断はできないが……記憶喪失のハルは少なくともカティより話が分かる人物なのは間違いないな」
「え……」
俺が思わず疑問のまま口に出してしまうと、ウルフはまた楽しそうに笑う。
見た目は怖い感じだけど、性格はこざっぱりしていてとても付き合いやすいのかもしれない。
「カティはオレを見ると、犬のように全身撫でまわしてくる。だが、主は止めもせずに可愛いだろう? などと言うのでな。調子に乗って背に乗せろなどと無茶を言われる」
「……ウルフさんも大変なんですね」
「ウルフでいい。下級精霊に敬語など必要ないぞ」
「はあ……」
ヴォルカングより大人で兄貴肌な下級精霊って……ゲーム内でもちらっとしか出てきてなかったから正直知らなかった。
ウルフからカティの愚痴を聞かされると、カティの奔放さに内心驚いてしまう。
あぁ……本当に妹にそっくりすぎる。
「送っていただき……送ってくれてありがとう。それと、今日のことはヴォルカング様には……」
「ああ。分かっている。今の主に言うとハルに面倒なことが起こりそうだ。オレの心に留めておいて、いざという時に全力でハルの味方になろう」
ウルフがカッコよくていいヤツすぎる。
ヴォルカングが残念精霊のように見えて、ある意味可愛そうになってきた。
「それは……助かる。じゃあ、おやすみなさい」
俺が軽く頭を下げると、バウッという返事と共にウルフは森の中へ戻っていった。
炎の背を見送ってから、扉を開いて中へ入る。
今日も動き回っていたせいか、もうクタクタだ。
筋トレとかして少し体力をつけたほうがいいのか? 今更って気もするけど毎日疲れるせいで寝てばっかりだ。
「夕飯は……軽くでいいか。でも、先にシャワーだな。それから、さっと食べてしまおう」
部屋に入って、ランプに灯りをつける。
今日は育成と手伝いをしてからの突発イベントにも出くわしたしな。
使い切った分の金貨もだいぶ取り戻せたし、金貨自体はマイナスでも俺にとってはプラスになった。
この調子で手伝いと育成を両立できれば、最初に遅れた分も取り返せるかもしれない。
「よし、カティより早く恵みの樹を育ててやるぞ。次の中間報告まで、地道に育成しないとな」
俺は決意も新たに早速シャワーに入りながら今後の育成計画を練り始めた。
俺の記憶が確かなら、中間報告は合計で三回あるはずだ。
三回終わったあとはもう最終の結果報告が残るのみ。
美味しい実を作れた方が勝ちなんだけど、問題は美味しい実の作り方だ。
ゲームをしていた時は、効率重視のノーマルエンドと言動が分かりやすい水の精霊エンドを見ることができた。
だが、土の精霊を知るために闇の精霊と仲良くしてしまったので光の精霊のことは分からない。
……カティはどういう実を作る気なんだろう? 恋愛エンドを目指しているのかも分からないけど、ヴォルカングとは確実に仲が良いもんな。
光は今一つってところだけど、狙っているようにも見えた。
でも、ゲームでカティを動かすのはプレーヤーだ。
もしかしたら、外で誰かがカティを操っているという恐ろしい展開もあり得なくはないけど……。
妙な考えを排除すると、カティと仲が良さそうなのは火と光。
ということは、育成で考えると美味しそうだけどかなり味の濃そうな実ができそうな気がする。
「まずカティが誰に力を送ってほしいとお願いしてるのか、確認してみてもいいかもな」
その上で、俺は万民が食べやすい味を目指すつもりだ。
つまり、精霊の力は全て均等に使う。買う道具は全属性、使う時も全属性一気に使う。
そうすると、全てのパラメーターが同時に伸びて安心して食べられる普通の実がなるはずだ。
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