【本編完結】変わりモノ乙女ゲームの中で塩対応したのに、超難易度キャラに執着されました

楓乃めーぷる

文字の大きさ
37 / 119
第五章 突発イベントフラグ乱立中

35.水の精霊とティータイム

しおりを挟む
 リバイアリスは湖畔に住んでいて、こぢんまりとした水色レンガの家だったはず。
 庭らしき場所にも花壇があって、色とりどりの花が咲き乱れている。
 ここも丁寧に世話がされているんだろうな。

 庭には水色のレースのパラソルがあって、その下に薄茶の木の丸テーブルと二つの丸椅子が準備されていた。
 側には少し低めのテーブルが用意されているから、おそらくユニコ用の席なんだろう。
 
 リバイアリスは黙々とお茶の準備をしてくれていた。
 意図してないお茶イベントだけどリバイアリスの動きは洗練されていて、お茶を淹れるのにも慣れている感じがする。

「イアリス様、水やり終わりました!」
「ユニコ、いつもありがとう。ハルも手伝ってくださってありがとうございます。お茶の準備もできましたし、どうぞ休んでいってください」
「ありがとうございます。お邪魔します」

 おそるおそるお茶の席へ近づくと、丸テーブルの上には美味しそうな焼き菓子が用意されていた。
 マドレーヌとクッキーかな? 普段こういうお菓子は食べないから少し緊張する。
 薄水色のカップはリバイアリスを思い出させるようなきれいなデザインでどこか品がある。
 入っているお茶は、珍しいブルーのお茶だ。

「お口に合うか分からないですが……」
「こちらこそ、お茶の席にお呼ばれされるのは初めてで。作法とか分からないので失礼があったらすみません」
「大丈夫ですよ。気軽に楽しんでいただけたら私も嬉しいです」

 リバイアリスの微笑みは、いつも心を落ち着かせてくれる。
 悲しい顔もキレイだと思うけど、この人は微笑んでる顔が一番似合うんだろうな。
 そっと席につくと、先に地面の上に座っていたユニコが嬉しそうにクッキーをほおばっていた。

「おいしーい!」
「それは良かった。ハルもどうぞ」
「はい、いただきます」

 緊張しながらマドレーヌをつまんでいただく。
 ふわっと甘い香りが口の中へ広がって、緊張感をほどいていってくれる。
 気づくとペロリと食べ終わっていた。

「お口に合ったみたいで良かったです」

 リバイアリスがニコニコしながらこちらを見たので、気恥ずかしくなって思わず顔をそむけた。
 そっとティーカップに手を伸ばして、お茶も一口いただく。
 こっちは爽やかな香りとスッとした味がして、マドレーヌとの相性も悪くない気がする。

「青色のお茶って初めてみました」
「ええ。ミンティというハーブの一種です。あたためると色が変わるお茶で、気持ちをスッキリとしてくれる効果があるのですよ」
「なるほど。美味しいお菓子とお茶をありがとうございます」

 ミンティ……ミントティーってことか?
 まだどうも気恥ずかしくてまともに顔が見られないけど、リバイアリスは独特の空気感がある人だな。
 癒されるんだろうけど、笑顔って妙な破壊力があるというか。
 まともに直視できないんだよな。

「すみません、また見つめてしまいましたね。ハルは恥ずかしがり屋だから見つめると困ると分かっているのに」
「いえ、こちらこそ。こういうの、慣れてなくて。俺はいつも一人でいることが多かったので」

 サラッと言ったつもりだったのに、リバイアリスの表情が少し曇る。
 しまった、場の空気を悪くするつもりはなかったんだけど……余計な一言を口走ってしまった。

「あの、気にしないでください。それが俺の日常だったというか……」
「こちらこそ、貴方は人に構われるのは苦手そうだと感じていたのですがつい気になってしまって。私も必要以上に近づいたりしませんから。安心してくださいね」
「お気遣いありがとうございます」

 普通に話が通じる精霊の存在は本当にありがたい。みんな我が強すぎて一緒にいると疲れちゃうんだよな。
 喋りながら、今度はクッキーをいただく。
 クッキーはチョコレートクッキーなのか? この世界ではなんていうか分からないけど普通に美味しい。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

処理中です...