38 / 119
第五章 突発イベントフラグ乱立中
36.俺に対して思うこと
しおりを挟む
リバイアリスは眉を下げて、相手を労わるように優しい口調で話を続ける。
「ハル、昨日は無理やりラウディの話を聞かせてしまってすみませんでした。どうか、ラウディのことを嫌いにならないでくださいね」
「はい。今朝も適度な距離を保ちましょうとお伝えしてきましたから。きっと分かってくださると思います」
「そうですか……」
リバイアリスは少しだけ寂しそうに微笑んだけど、すぐに柔和な表情へ戻る。
俺にもっと何か言いたそうなんだけど、聞いたらまずい気がする。
でも……一度気になってしまうと引き下がれなくなってしまうのが俺の悪い癖だ。
気になって育成に集中できなくなるのも困るし、心を落ち着かせようとお茶を一口飲んでから口を開く。
「リバイアリス様、他にも言いたいことがあるなら……聞きますよ。グラウディ様のことは受け止めきれないと思いますが、俺に対してのことだったらお伺いします」
「ハル、ありがとうございます。逆に気遣わせてしまいましたね。昨日言いかけたことなのですが……貴方とラウディはとても似ているなと思ったのです」
「俺とグラウディ様がですか?」
「ええ。来たばかりの頃の貴方は皆を拒絶していました。今は態度が軟化したけれど、やはり一歩距離を置こうとしていますよね」
俺とグラウディが似ているって、オブディシアンも言っていた気がする。
ライバルの態度についてはイメージでしか分からないが、現状はその通りなので何も言い返せない。
だが、俺にとってはギリギリの距離感なんだ。
この世界でどう立ち回ればいいのか、正直不安だし元の世界へ帰れる保証なんてどこにもない。
それでも帰りたいと思っているから、この世界に深入りしたくない。
深入りすればするほど、未練が断ち切れなくなりそうだからだ。
「はい。その方が俺と皆さんにとってもいいと考えたからです。それが、グラウディ様と似ているということですか?」
「それだけじゃないのですが……いえ、貴方が適度な距離を保とうとして下さっているのにこれ以上私から立ち入るような話をすべきではありませんね」
リバイアリスは何を言いたいのだろう? 結局全ては話してくれなさそうだ。
好感度がもっとあがったら、教えてくれるのだろうか?
俺は好感度を上げるつもりはないから、きっとここまでなのだろう。
「お茶に付き合ってくださって、ありがとうございました。また誘わせてくださいね」
「はい。ありがとうございました」
話しながら結構お菓子もいただいてしまったし、そろそろお暇しようかと立ち上がる。
すると、ユニコがそうだ! と急に姿勢を正して家の中へ入って何かを持って戻ってきた。
「イアリス様、ハルも気に入ってくれたみたいだしもう少し持って行ってもらいましょうよ」
「ユニコ、それは良いことですね。ハル、よろしかったら疲れたときにまた召し上がってください」
ユニコは取っ手のついたカゴバッグを持ってきて、ひょいっと角をリバイアリスへ向けた。
角はユニコの手の代わりなんだろう。器用に受け渡しするのを見るのは二回めか?
リバイアリスはカゴを受け取って、中に紙ナプキンを敷く。
そして、皿に並んでいた焼き菓子たちをカゴの中へ詰めていった。
「このお茶は冷めても味が変わらないので、また後で飲んでください。こちらのポットとカップを一緒に入れておきますね」
リバイアリスが手のひらを空へ向けると、水がしゅるしゅると湧き出て形作っていく。
あっという間に透明のポットと数個のカップが現れて、中に飲んでいたお茶がすーっとポットの中へ満たされていった。
まるで魔法みたいな出来事に目を奪われる。
「このポットは水の力で作ったものですが、割れたりしませんので安心してください」
「ありがとうございます」
さすが精霊。サラッと能力を使ってくれるのはすごいな。
このカゴを持つと、おばあさんのところへ向かう赤ずきんみたいなイメージだけど俺はただの地味系なヤツだしな。
ずきんも被ってる訳じゃないから、変な感じだ。
「ハル、昨日は無理やりラウディの話を聞かせてしまってすみませんでした。どうか、ラウディのことを嫌いにならないでくださいね」
「はい。今朝も適度な距離を保ちましょうとお伝えしてきましたから。きっと分かってくださると思います」
「そうですか……」
リバイアリスは少しだけ寂しそうに微笑んだけど、すぐに柔和な表情へ戻る。
俺にもっと何か言いたそうなんだけど、聞いたらまずい気がする。
でも……一度気になってしまうと引き下がれなくなってしまうのが俺の悪い癖だ。
気になって育成に集中できなくなるのも困るし、心を落ち着かせようとお茶を一口飲んでから口を開く。
「リバイアリス様、他にも言いたいことがあるなら……聞きますよ。グラウディ様のことは受け止めきれないと思いますが、俺に対してのことだったらお伺いします」
「ハル、ありがとうございます。逆に気遣わせてしまいましたね。昨日言いかけたことなのですが……貴方とラウディはとても似ているなと思ったのです」
「俺とグラウディ様がですか?」
「ええ。来たばかりの頃の貴方は皆を拒絶していました。今は態度が軟化したけれど、やはり一歩距離を置こうとしていますよね」
俺とグラウディが似ているって、オブディシアンも言っていた気がする。
ライバルの態度についてはイメージでしか分からないが、現状はその通りなので何も言い返せない。
だが、俺にとってはギリギリの距離感なんだ。
この世界でどう立ち回ればいいのか、正直不安だし元の世界へ帰れる保証なんてどこにもない。
それでも帰りたいと思っているから、この世界に深入りしたくない。
深入りすればするほど、未練が断ち切れなくなりそうだからだ。
「はい。その方が俺と皆さんにとってもいいと考えたからです。それが、グラウディ様と似ているということですか?」
「それだけじゃないのですが……いえ、貴方が適度な距離を保とうとして下さっているのにこれ以上私から立ち入るような話をすべきではありませんね」
リバイアリスは何を言いたいのだろう? 結局全ては話してくれなさそうだ。
好感度がもっとあがったら、教えてくれるのだろうか?
俺は好感度を上げるつもりはないから、きっとここまでなのだろう。
「お茶に付き合ってくださって、ありがとうございました。また誘わせてくださいね」
「はい。ありがとうございました」
話しながら結構お菓子もいただいてしまったし、そろそろお暇しようかと立ち上がる。
すると、ユニコがそうだ! と急に姿勢を正して家の中へ入って何かを持って戻ってきた。
「イアリス様、ハルも気に入ってくれたみたいだしもう少し持って行ってもらいましょうよ」
「ユニコ、それは良いことですね。ハル、よろしかったら疲れたときにまた召し上がってください」
ユニコは取っ手のついたカゴバッグを持ってきて、ひょいっと角をリバイアリスへ向けた。
角はユニコの手の代わりなんだろう。器用に受け渡しするのを見るのは二回めか?
リバイアリスはカゴを受け取って、中に紙ナプキンを敷く。
そして、皿に並んでいた焼き菓子たちをカゴの中へ詰めていった。
「このお茶は冷めても味が変わらないので、また後で飲んでください。こちらのポットとカップを一緒に入れておきますね」
リバイアリスが手のひらを空へ向けると、水がしゅるしゅると湧き出て形作っていく。
あっという間に透明のポットと数個のカップが現れて、中に飲んでいたお茶がすーっとポットの中へ満たされていった。
まるで魔法みたいな出来事に目を奪われる。
「このポットは水の力で作ったものですが、割れたりしませんので安心してください」
「ありがとうございます」
さすが精霊。サラッと能力を使ってくれるのはすごいな。
このカゴを持つと、おばあさんのところへ向かう赤ずきんみたいなイメージだけど俺はただの地味系なヤツだしな。
ずきんも被ってる訳じゃないから、変な感じだ。
470
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる