【本編完結】変わりモノ乙女ゲームの中で塩対応したのに、超難易度キャラに執着されました

楓乃めーぷる

文字の大きさ
85 / 119
第八章 真のハッピーエンディングを目指して

82.ラウディとの約束

しおりを挟む
 カラスはあまり表情を変えないイメージだったけど、俺を見ながら口元だけ微笑してくれた。

「ああ、待っている。それと、オレにも気楽に接してもらって構わない」
「分かった。ありがとう、カラス。大切にするよ」

 カラスからまさかの贈り物までもらっちゃって……本当にみんな優しいよな。
 さすがの俺もちょっとうるっと来た。
 カティじゃあるまいしと思ったけど、察したラウディが俺の頭をなでて慰めてくれる。

「これも全てハルさんのお人柄ですよぉー。あっしもみんなも、ハルさんのことを応援してますからねぇー」
「ありがとう、みんな。精霊使いの卵として最後まで頑張るよ」

 下級精霊たちみんなに拍手されて恥ずかしい気持ちになりながら、俺は剣を置きに行くために一旦家へ戻ることにした。

 +++

「ハルさんはこれからどうするつもりですかぁ? 勿論育成は続けられると思いますけどー……」
「やることは変わらない。最後まで育成を続けて、最終報告に臨む。そこでカティよりも良い評価をもらって……ただそこからが分からないんだよな」
「分からないって?」

 家に戻ると、モグとラウディに質問される。
 だけど、恋愛エンディングの選択肢は分かるけど俺の目指すエンディングにはそれだけでは足りない。

「俺がやっていたゲームだと、精霊様と仲良くしていると王様からエーテルヴェールへ残ってもいいっていうお許しがもらえるはずなんだ。だから、ラウディの側にはいられるはずなんだけど……」

 俺が呟くと、ラウディは容赦なく俺を抱きしめてくる。
 最近ずっとこんな感じだ。
 俺が離れろと言わない限り、やたらとひっついてくる。
 それに、誰かと話している場面をラウディに目撃されるとジトっと見られてしばらく抱きしめられたままキスの嵐だ。

 ったく、誰だよラウディのキャラを考えたヤツは!
 普段は素知らぬ顔をしてると見せかけて、好感度が高くなると執着度も増し増しすぎるだろ!
 文句を言ってる気持ちはあるけど、俺はこの状況にどんどん慣らされてしまっている。

「ハルの選択を応援するけど……僕から離れることだけは許さない」
「こわっ! あのなぁ、そういう言い方をすると普通はドン引きするって。俺はラウディの気持ちも知ってるつもりだから、そこまでは思わないけど……ラウディを悲しませることはしないよ」
「ホントに?」
「ホントにホントだ」

 安心させるように頭をポンポンと叩くと、漸く解放してくれた。
 その間もモグは口に手を当てながらはわはわーって言ってるし。見られてるの、恥ずかしすぎる。

「モグー……お前も止めてくれよー。ラウディってこんなキャラだったっけ?」
「ラウディ様は一途なお方なんですよぉー。もう、ハルさんのことが大好きなんですねぇー。お顔が以前のようにキリっとカッコよくなられて……あっしは嬉しいです」

 モグは涙ぐんでるし、結局モグのことも慰めることになった。

 +++

 俺は中間報告の後、また育成と手伝いの日々へ戻った。
 ラウディは俺へ力を貸したそうだったけど、恵みの樹へ力を送るのは俺自身がやらなくてはいけないことだ。
 だから、終わったあとに癒してくれるならとお願いしたら夜に家へ来てくれて俺自身に力を送ってくれるようになった。

 ラウディの力って安らぎを与えてくれるから、身体に送り込まれると凄くホッとするんだよな。
 俺はいつもうつ伏せにベッドへ寝転んだ状態で、ラウディが背中へ優しく手をかざすと暖かい力が送られてくる。

「ありがとう、ラウディ。今日もよく眠れそうだ」
「ハルが喜んでくれるなら、それでいい。それに……」
「ああ。もうすぐ最終報告のはずだ。明日か、明後日か……」

 俺が呟くと、ラウディは何やら考え込んでから俺の耳元に唇を寄せた。
 触れそうで触れない距離が、とてもくすぐったい。

「ハル……明日の夜、七色の木の下に来て」
「え、あの木は……」
「大丈夫。日が暮れたら僕も行く。待ってるから」

 ラウディはそう言い残して、家から出て行った。
 七色の木って……ラウディの一番のトラウマの場所なはずじゃなかったか?
 真意は分からないけど、俺も行って確かめるしかない。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

処理中です...