【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

楓乃めーぷる

文字の大きさ
111 / 488
第五章 漸くモノにした魔塔主と少し素直になれた弟子

108.弟子との合流

しおりを挟む
 俺はレイヴンと分かれて陛下とミネルファ祭についての確認事項と話し合いを、バ……聖女さまさまの神殿でも確認事項のすり合わせと結界の最終点検をしてた訳だが。

 まぁ、淡々としていて眠くなって仕方ねぇ。
 つまんないんだよなぁ……別にこんなの適当にやっても、綻びごと囲っちまえばいい訳だし。

 勝手にして欲しいもんだが、結界については魔塔担当だから逃げられねぇんだよな。

「これは……あの奥へと運んで頂戴。その衣装は衣装部屋へ。そっちは……って、テオドール! 欠伸してないで! 確認してるの?」
「……あぁ、してるって。陛下にも報告したしなァ。どうせボロなんだから適当に補修いれときゃいいだろ」
「あんたねぇ……いい? 各国から来賓が来るのに適当じゃダメなのよ! この国はいい加減だって思われたらどうするの?」
「んなヤツいねぇだろ。戦争やって勝てる国なんざ、この近辺にはいねぇよ」

 俺が戦争と言葉に出すと、神官たちに一斉に睨まれる。
 別に事実なんだからいいだろうが。
 ホント、神殿は空気が悪いんだよな。

「はぁ……。もう、ワザと言っているでしょう? これでふざけているくせに結界は完璧にしているのは分かるし。指摘された部分は正しいし。本当に腹立たしいわね。後は本番、頼んだわよ?」

 鬱陶しい顔しやがって。
 それはコッチも同じなんだよ。
 お前や陛下の顔なんざ見ても面白くもなんともねぇ。

「そんなにギャンギャン喚かなくてもやることはやる。面倒だがな。あと本番までに結界に問題があれば伝令を寄越せ。一応対応してやるから」
「一応って……もう。本当に口の減らない男ね。もういいわ。何かあれば連絡するから」
「おう。じゃあな」

 ヒラと手を降ってさっさとこの場から退散して神殿を出る。
 魔法が使える範囲まで来ると、レイヴンの位置を探る。
 レイヴンには特別な目印を付けてあるから、俺の目の届く範囲だったら居場所が分かるようになっている。

 知らない場所だと範囲が狭まるから注意は必要だが。

 移動テレポートで飛ぶと、ちょうど一歩踏み出そうとしたレイヴンの目の前に着地する。

「……っ、あぶなっ! いきなり目の前に飛んでこないでくださいよ!」
「別にぶつかってねぇだろ。疲れたから歩くのダルかったんだよ、大げさだな」

 ギャンギャン吠えるレイヴンを気にせず欠伸を噛み殺して見下ろす。
 その態度が気に食わないらしいレイヴンの溜め息が止まらない。
 わざとらしく何度もはぁと息を吐き出してくる。

「ここ、まだ街中ですよ? 急に子どもが飛び出てきたらどうするんですか! 座標位置が少しでもズレたら……」
「レイちゃんに印付けてるから、ズレることなんてねぇよ。安心しろ」
「はぁ……師匠の移動テレポートは制限なしですか……。今日、本当に結界張り直してきたんですよね?」
「あんなもんすぐに終わったが、面倒臭ぇ話に巻き込まれてたからなァ。ババアと陛下じゃ流石に抜け出せなくてよ。だる……」

 欠伸がさっきから止まらねぇ。
 俺の様子を見て文句を言いたげなレイヴンは、ぐっと堪えてぷるぷるしている。

「色々と言いたくなりますが、終わらせてきたのだと信じます。こちらの作業最終報告は先程一人向かわせましたから、私たちは帰還しましょうか。街で色々と頂いてしまったので、今日はシチューでも作ろうと思いまして」
「へぇ」

 レイヴンが腕にかけた買い物カゴを掲げたので中を覗き込む。

「何だ? 食わせてくれるのか?」
「結構量がありますし、お口に合うか分からないですけど。じゃないと師匠、お酒とチーズとかつまんで寝ちゃうでしょう?」
「まぁな。腹減ったし、遠慮なく食わせてもらうか。そうときまれば……」

 レイヴンの腕を掴むと、問答無用で詠唱を残して目的地へと飛ぶ。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた

木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。 自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。 しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。 ユエ×フォラン (ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

薔薇摘む人

Kokonuca.
BL
おじさんに引き取られた男の子のお話。全部で短編三部作になります

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

処理中です...