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第五章 漸くモノにした魔塔主と少し素直になれた弟子
109.一緒にお料理
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自室のテラスへ飛ぶと、またですか! と、レイヴンの文句が聞こえてきた。
宥めるように、頭にポンと手を乗せる。
「疲れたし腹減ったんだよ。俺は酒持ってくるから、レイちゃんは先に支度していいぞ」
「……まあ、晩酌なら仕方ありません。分かりました。行ってらっしゃい、テオ」
やたらと素直に許可を出すレイヴンは珍しいな。
最近俺と二人きりのときは少しずつ俺の愛称で呼んでくれるようになったし、良い変化だ。
笑って頭を撫でてから、一旦自室へと飛ぶ。
「あー……コレコレ。飲もうと思って買っておいたんだよなぁ。一人だと適当に飲んじまうから、こういう時に飲まねぇと」
取り寄せておいた葡萄酒を手に取って、ついでに嗜む用のグラスも手に取る。
ビールはガサツに扱ってもいいようにマグが多いが、葡萄酒は背の高いガラスのグラスでゆっくりと嗜むもんだ。
「レイヴンはまぁ雰囲気だけだろうけどな」
酔っ払ったところをいただくのもオツなもんだが、行事が控えている忙しい時期だと後でむくれそうだし。
まぁ、ほどほどにしとかねぇとな。
二つを持ってレイヴンのところへと戻ると、楽な部屋着姿に着替えたレイヴンが野菜を切り始めていた。
「なんだよ、折角なら裸エプロンとかしてくれりゃいいオカズになるのにな」
「何を言ってるんですか、このオッサンは……もしかして誰かにやらせたことあるんですか?」
「金積まないとダメだって断られたことはあるな」
「見たならいいじゃないですか、どうせお金払ったんでしょう?」
チラと振り返るレイヴンの視線がしっかりと俺を蔑んでいやがる。
いや……だって、気になるじゃねぇか。
お姉ちゃんにやってもらうのはまあまあ金取られた気がしたなァ。
また過敏に反応したレイヴンのご機嫌取りをしねぇと。
背後に回ってじゃれつくように腰に腕を回して軽く抱きつく。
「なんだ? 見てたらマズイのか?」
「いや、事実を言ったまでですけど? どうせ外泊してる時にしてたんだろうなと思いまして。というか、邪魔なので離れてくれませんか?」
「嫌だね。先に飲んでてもいいけどよ、料理をしている可愛い子には手を出さねぇといけないだろ?」
「言っている意味が分からないです。邪魔しないで、せめて手伝ってくださいよ。次、肉切らないと……」
レイヴンが手を伸ばそうとしたところを遮って、片手で腰を掴んだまま肉に手を伸ばす。
風の魔法の加減を調節すると、ふわふわと肉が宙を飛んでレイヴンの目の前で着地した。
「手伝ったぞ」
「はい、ありがとうございます。でも、日常生活の全てを魔法に頼るとダメ人間になりますよ? ……って、もう底辺だったから関係なかったですね、失礼しました」
「お前が手伝えって言ったんじゃねぇか。相変わらず口が減らねぇな? 魔法でできないこともあるだろ、そもそも美味い料理が目の前にすぐ出てくれば楽なのによ」
「師匠は万能だからいいじゃないですか。これで酒も魔法で作れるようになったら大変なことになりますよね」
お説教のように口うるさく言ってくる割に無理に引き剥がしてこねぇし、遠慮なく引っ付いてるとレイヴンも仕方なく調理を進めていく。
火を付けるのは魔法が使えると本当に楽だ。
普通は薪を焚べて火を起こして、という作業が必要だからな。
街中ではたまに頼まれることもある。
俺のこと着火剤とでも思ってんのか知らねぇが、まぁ便利だからな。
レイヴンが鍋を置いたあと、さっと火を付ける。
宥めるように、頭にポンと手を乗せる。
「疲れたし腹減ったんだよ。俺は酒持ってくるから、レイちゃんは先に支度していいぞ」
「……まあ、晩酌なら仕方ありません。分かりました。行ってらっしゃい、テオ」
やたらと素直に許可を出すレイヴンは珍しいな。
最近俺と二人きりのときは少しずつ俺の愛称で呼んでくれるようになったし、良い変化だ。
笑って頭を撫でてから、一旦自室へと飛ぶ。
「あー……コレコレ。飲もうと思って買っておいたんだよなぁ。一人だと適当に飲んじまうから、こういう時に飲まねぇと」
取り寄せておいた葡萄酒を手に取って、ついでに嗜む用のグラスも手に取る。
ビールはガサツに扱ってもいいようにマグが多いが、葡萄酒は背の高いガラスのグラスでゆっくりと嗜むもんだ。
「レイヴンはまぁ雰囲気だけだろうけどな」
酔っ払ったところをいただくのもオツなもんだが、行事が控えている忙しい時期だと後でむくれそうだし。
まぁ、ほどほどにしとかねぇとな。
二つを持ってレイヴンのところへと戻ると、楽な部屋着姿に着替えたレイヴンが野菜を切り始めていた。
「なんだよ、折角なら裸エプロンとかしてくれりゃいいオカズになるのにな」
「何を言ってるんですか、このオッサンは……もしかして誰かにやらせたことあるんですか?」
「金積まないとダメだって断られたことはあるな」
「見たならいいじゃないですか、どうせお金払ったんでしょう?」
チラと振り返るレイヴンの視線がしっかりと俺を蔑んでいやがる。
いや……だって、気になるじゃねぇか。
お姉ちゃんにやってもらうのはまあまあ金取られた気がしたなァ。
また過敏に反応したレイヴンのご機嫌取りをしねぇと。
背後に回ってじゃれつくように腰に腕を回して軽く抱きつく。
「なんだ? 見てたらマズイのか?」
「いや、事実を言ったまでですけど? どうせ外泊してる時にしてたんだろうなと思いまして。というか、邪魔なので離れてくれませんか?」
「嫌だね。先に飲んでてもいいけどよ、料理をしている可愛い子には手を出さねぇといけないだろ?」
「言っている意味が分からないです。邪魔しないで、せめて手伝ってくださいよ。次、肉切らないと……」
レイヴンが手を伸ばそうとしたところを遮って、片手で腰を掴んだまま肉に手を伸ばす。
風の魔法の加減を調節すると、ふわふわと肉が宙を飛んでレイヴンの目の前で着地した。
「手伝ったぞ」
「はい、ありがとうございます。でも、日常生活の全てを魔法に頼るとダメ人間になりますよ? ……って、もう底辺だったから関係なかったですね、失礼しました」
「お前が手伝えって言ったんじゃねぇか。相変わらず口が減らねぇな? 魔法でできないこともあるだろ、そもそも美味い料理が目の前にすぐ出てくれば楽なのによ」
「師匠は万能だからいいじゃないですか。これで酒も魔法で作れるようになったら大変なことになりますよね」
お説教のように口うるさく言ってくる割に無理に引き剥がしてこねぇし、遠慮なく引っ付いてるとレイヴンも仕方なく調理を進めていく。
火を付けるのは魔法が使えると本当に楽だ。
普通は薪を焚べて火を起こして、という作業が必要だからな。
街中ではたまに頼まれることもある。
俺のこと着火剤とでも思ってんのか知らねぇが、まぁ便利だからな。
レイヴンが鍋を置いたあと、さっと火を付ける。
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