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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
299.洞窟の中で
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レイヴンが俺らを案内したのは、城下町から徒歩で三十分ほど離れたところにある洞窟だった。
中は薄暗く人が入れる程度の広さはあるが、この辺りは時々野生の魔物がうろつく場所で町民が来ることはねぇ場所だ。
入り口に古ぼけた看板あったが、薄汚れていて文字は読めなくなっている。
地面には何本かの杭が打ち付けられていて、杭自体に上下二枚の板が張られていた。
板を繋ぎ合わせることで入口を塞ぎ侵入禁止にしていたようだが、板自体が腐って朽ちてしまい隙間から誰でも中に入れそうだ。
「この場所も探索したはずなのに、どうして気づかなかったんだ? これじゃあ騎士は仕事してないとか言われちゃうじゃないですか」
「ウルガー、お前のせいじゃねぇよ。認識妨害がかかっていやがる。魔道具みたいに分かりやすいヤツじゃねぇな……それなりの魔法が使えるヤツの仕業だ」
ウルガーのヤツ、茶化すような口調の癖に責任を感じてんのか?
珍しく真面目じゃねぇか。
確かに人命がかかってるから、それを見逃したってなると落ち込みもするか。
ウルガーの肩を軽く叩いてやる。
仕方ねぇから、優しい魔塔主様が慰めてやろうじゃねぇか。
パッと見はただの洞窟だが、俺ら魔法使いは魔力を感じとることができる。
魔法を使うと、使った場所には魔力が残る。
目に見えるモノと目に見えないモノがあって、見えないモノは接近すればより強く感じ取る。
相手がかなり手練れのヤツで、そいつが認識妨害をかけた場合。
遠距離からの捜索じゃ、違和感に気づくことはできない。
仮に俺が認識妨害をかけた場合、俺よりも優れた魔法を使いこなせるようなヤツじゃなければパッと見で見破られることはないって訳だ。
この洞窟自体にかけられた認識妨害は、言うほど強固なもんじゃねぇ。
ただ、ある程度魔法に精通したヤツじゃなければ素通りしちまうだろうな。
魔力の残滓は絶対的なモノって訳じゃねぇが、一種の勘みたいなもんだ。
肌で感じたり、匂いで感じ取ったり。
人によって感じ方は様々だが、優れている魔法使いほど察しやすい。
「やはり魔法の知識がある、何者かが関わっていると?」
「ま、そういうこった。俺とレイヴンは魔法を使えるから、違和感に気づけるってだけだ」
「はい。普通に見ただけでは分からないし、捜索でも引っかからない類のものです。近づいたことによって、違和感に気づきました」
レイヴンも同じく魔力の残滓を感じ取ったらしいな。
俺に同意してからウルガーよりもやりきれない表情を浮かべているディーを、必死に励ましてやってる。
相変わらずディーには優しいよなぁ。
中は薄暗く人が入れる程度の広さはあるが、この辺りは時々野生の魔物がうろつく場所で町民が来ることはねぇ場所だ。
入り口に古ぼけた看板あったが、薄汚れていて文字は読めなくなっている。
地面には何本かの杭が打ち付けられていて、杭自体に上下二枚の板が張られていた。
板を繋ぎ合わせることで入口を塞ぎ侵入禁止にしていたようだが、板自体が腐って朽ちてしまい隙間から誰でも中に入れそうだ。
「この場所も探索したはずなのに、どうして気づかなかったんだ? これじゃあ騎士は仕事してないとか言われちゃうじゃないですか」
「ウルガー、お前のせいじゃねぇよ。認識妨害がかかっていやがる。魔道具みたいに分かりやすいヤツじゃねぇな……それなりの魔法が使えるヤツの仕業だ」
ウルガーのヤツ、茶化すような口調の癖に責任を感じてんのか?
珍しく真面目じゃねぇか。
確かに人命がかかってるから、それを見逃したってなると落ち込みもするか。
ウルガーの肩を軽く叩いてやる。
仕方ねぇから、優しい魔塔主様が慰めてやろうじゃねぇか。
パッと見はただの洞窟だが、俺ら魔法使いは魔力を感じとることができる。
魔法を使うと、使った場所には魔力が残る。
目に見えるモノと目に見えないモノがあって、見えないモノは接近すればより強く感じ取る。
相手がかなり手練れのヤツで、そいつが認識妨害をかけた場合。
遠距離からの捜索じゃ、違和感に気づくことはできない。
仮に俺が認識妨害をかけた場合、俺よりも優れた魔法を使いこなせるようなヤツじゃなければパッと見で見破られることはないって訳だ。
この洞窟自体にかけられた認識妨害は、言うほど強固なもんじゃねぇ。
ただ、ある程度魔法に精通したヤツじゃなければ素通りしちまうだろうな。
魔力の残滓は絶対的なモノって訳じゃねぇが、一種の勘みたいなもんだ。
肌で感じたり、匂いで感じ取ったり。
人によって感じ方は様々だが、優れている魔法使いほど察しやすい。
「やはり魔法の知識がある、何者かが関わっていると?」
「ま、そういうこった。俺とレイヴンは魔法を使えるから、違和感に気づけるってだけだ」
「はい。普通に見ただけでは分からないし、捜索でも引っかからない類のものです。近づいたことによって、違和感に気づきました」
レイヴンも同じく魔力の残滓を感じ取ったらしいな。
俺に同意してからウルガーよりもやりきれない表情を浮かべているディーを、必死に励ましてやってる。
相変わらずディーには優しいよなぁ。
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