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好きな人の幸せを本当に願えますか?
しおりを挟む祝福の声に包まれた一日が終わり、ジェレミーの城でお祝いの晩餐があった。
少し、休むために二人は夜の庭園に出た。
月明かりに照らされながら、ルシアンはそっとジェレミーの手を取る。
――私は、ずっと噂に怯え、孤独に耐えるしかなかった。
誰かを想っても、幸せを願っても、自分には選ぶ力などないと思い込んでいた。
けれど。
(本当は……あの頃も、たしかに“好きな人と過ごした時間”はあったのだわ)
それは決して長くはなく、叶うこともなかったけれど、温かい記憶だった。
その想いが、今の自分に「前を向いていい」と囁いてくれている。
(だから今度こそ。私は自分の幸せを選ぶ。大切な人と歩む道を)
「……私は幸せを選んでいいのですね。あなたと共に」
自然にこぼれた言葉に、ジェレミーが微笑み、強く頷く。
彼の手の温もりが、未来の証のように感じられる。
もう噂に振り回されることも、孤独に怯えることもない。
どんな過去も、どんな痛みも、この手を離さないと決めた今の私には敵わない。
(もう二度と、自分を偽らない。
私は、私の幸せを生きる。
そして、あなたと共に笑って未来へ進むのだ)
ジェレミーの腕に抱かれながら、ルシアンは目を閉じた。
胸の奥にあった影は、もうどこにもない。
ただ温かな光だけが、彼女の心を満たしていた。
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