好きな人の幸せを本当に願えますか?

はな

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再会

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四阿にいても女性たちのざわめきが聞こえた。
そこに戻るつもりもなく頃合いを見て帰宅しようと決めている。

それに・・
先ほどその元気そうな姿を見たので、今日の目的は達成されている。


今日のお茶会の主催は「第二王子殿下」である。

いわゆる婚約者候補選ぶお茶会

王族は本来は10歳頃に婚約者が決まるのだが・・。
第一王子と第二王子との間に色々あり
第二王子が9歳の時に留学をしてしまったため
婚約者がいないままだった。
そして、15歳で学園に編入をするために最近帰国したのだ。

そのためのお茶会であった。

「そろそろ帰ろうかしら・・」
独り言を呟く。
喉も渇いたし、少しお腹が空いた。
戻ればお茶も飲めるし、お菓子も食べられるのだが
いかんせん歓迎されてない空気の場所に戻るのも面倒だ。
立ち上がろうとしたその時だった。
「挨拶もせずに帰るなんて冷たいね」
「!」
驚いて顔を上げた。
黒い髪、黒い瞳、恐ろしく整った顔立ちの第二王子が立っていた。
「大丈夫?全然気がつかなかったよね、公爵家の令嬢が不用心だよ」
「・・・申し訳ありません・・」
「んー、そういう話し方なんだね」
そして、ニコリと笑い、連れてきた従僕にお茶の用意をさせた。
あっという間に可愛らしいお菓子や一口大のサンドイッチなどが並べられ
ふわりといい匂いのするアップルティーが自分の前に置かれた。
そして、音もなく人が下がる。
「で、どうして挨拶もなく帰るかな」
少し拗ねたような言葉使いに昔を思い出して口元が緩んだ。
「元気な姿を見たかったの。それで満足だったから」
それにこの空気感は想像できたから・・お茶会にしても
学園にしても自分は悪役なのだ。
「俺は不満だけど・・」
恐ろしく整った顔が人間らしく拗ねるのを見てルシアンは微笑んだ。
恐ろしくととのっった容姿、国内では珍しい黒い髪と黒い瞳は
色々な噂をよんでルシアンが出会った頃はすっかりその表情を失くしていた。

******
ルシアンが第二王子であるジェイミー=テュレンヌと出会ったのは
ルシアンが7歳のジェイミーが6歳の時だった。

王家には2人の王子がいた。
優秀で誰にでも笑顔をむける第一王子・・白の王子
優秀だが無表情な第二王子・・黒の王子
そんな第二王子の評判はあまり良くなかった・・いかんせ、この国では珍しい黒髪と黒い瞳だった。
ルシアンは初めて会った時から黒髪と黒い瞳は気にならなかった。
思えば前世を思い出す前だったから懐かしさを感じていたのだろう。
そのことを踏まえて王子の遊び相手になった・・本来は男の子がなるものだったのだ・・
それにルシアンは今でこそ淑女らしくしているがかなりお転婆で男の子に負けないくらいだったので
遊び相手に任命されたのだ。
そして、ルシアンの婚約が決まる頃に、ジェイミーの留学が決まった。













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