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気をつけろ

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「なぜサーシャに気を付けなければいけないんですか?」


まるで意味不明。
いきなりやってきてサーシャに気をつけろとかまったく意味が分からない。
それに何をどうを付ければいいのか。

ゼウス様は「まぁそうじゃな…」と言い黙り込んだ。
顎に手を当て何かを思案しているようだ。
だが俺は構わず続ける。


「明日から避けて過ごせばいいのですか?学園内に神出鬼没で現れる学園長である彼女を?」

「そう極端なことをしろと言っているわけではない。まだ現段階で言えることは少ないがこれだけは確実じゃ…わしとおなじようにヤツも神から能力ちからを授かっておる」

「は?え?…という事はサーシャも転生者なのですか?」

「いや、それは違うようだ。おぬしを転生させた神に聞いたがヤツを転生させた実績はないのだそうじゃ。あ、話は変わるがその神におぬしを放置して転生させた件について言っておいた。いつか謝罪に来るだろうからよろしく頼むぞ」

「それはわかりましたが、ややこしいので俺の話はいいとして、サーシャは…転生者じゃなければなんなんですか?」

「言ったであろう、今言えることは少ないと。じゃからまずは普段通り生活を続けていくのじゃ。いきなり警戒した
のでは怪しまれるであろうからのぉ」

「普段通りって…それじゃ何も気を付けられないですよ?」

「うるさいのぉ。ちょっとは自分で考えられんのかっ!」


理不尽な。
いきなり現れてただ気をつけろと言って逆ギレとは。
本当に神様かと疑いたくなる。
ジト目を向ける俺を一瞥して、「めんどくさいのぉ」と一言発する。
面倒なのはこっちだというのに。


「まったく…とりあえずはじゃ、ベータとおぬしは常に離れず過ごすことじゃな」

「え?それだけでいいんですか?」

「とりあえずは、だと言っておるじゃろうが。いつになるかはわからんがなるべく早くわしの方でもいろいろと調べておく。あとはわしがやった聖痕は使っておるのか?」

「…」

「使っておらんのか?もう少しわしを崇めてもよさそうなもんじゃな、のぉ~ベータよ」

「そ、そうっスね」

「そういう事じゃからあとでベータに聞いておくのじゃ。バンバン使えとまでは言わないが、必要な時に使えるようにしてくのじゃぞ」

「…わかりました、あとでベータから聞いておきます」

「ふむ、よろしい。ではわしの用は済んだのでこれにて退散じゃ。何かわかったらまたくるでの!じゃぁの~」

「…はい、お元気で…」


もう何が何だか…
そんな俺のお見送りの言葉も聞かず、ゼウス様は来た時同様にスッと光の中にい消えて行ってしまった。
なんだったんだ…まったく…

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