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1.フラガリア・ドルチェ
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「うーん。前回はイチゴだったから……やっぱりチョコバナナクリームかなぁー」
アルテアは自らが通う学び舎《サイネリア王立最高学府 クラスス学院》の校舎で、西日に照らされてキラキラと光る渡り廊下を鼻歌まじりにスキップで渡っていた。
城下町にあるパンケーキ屋に寄るために一緒に帰ろうと約束していた幼馴染との待ち合わせ場所である時計塔に、本日最後の授業が終わって一人で向かっていた。ここ半年ほど、月に一度のご褒美にと二人で食べに行っている美味しいパンケーキ。先月末は予定が合わず行けなかったので、進級してすぐだったが今日行こうと約束していたのだ。
(幼馴染《あいつ》が食べる分は自分の味とは違うものを勧めるとして、今月の新作も試したいからもう一皿食べることも……いやぁ、夕飯前だしな、……)
「うわー、誰か絡まれてる」
「知らないやつだなー。誰か助けてやれよ~」
うきうきとステップで鼻歌交じりにパンケーキの事ばかり考えていたアルテアの耳に、キラキラした放課後には不釣り合いな会話が聞こえてきた。
アルテアは渡り廊下の手すりにつかまり身を乗り出すようにしてその声のする方を探す。
少し騒ぎになって、軽く遠巻きに様子を見守る人も増えていたので場所を見つけるのは簡単だった。数人が校舎脇の通路を指さし、それでもただ見ているだけだ。指さす方向に目を向ければ、淡い紫色の髪の青年が数人の男に囲まれて、その内の一人に襟ぐりと手首を掴まれながらも懸命に離れようと抵抗しているのが見えた。
「……、ふぅ」
もう少しで幼馴染との待ち合わせ時間だが、正義感強めのアルテアは目の前の出来事を黙って見過ごすことなんてできない。
アルテアとの待ち合わせには一秒も遅刻したことがない幼馴染に(ごめん! 少し遅れる!)、と心の中で謝ってから、渡り廊下の横にある非常階段を急いで駆けおりる。
中庭にすでに出来始めていた野次馬をうまくぐぐり抜けてようやくその中に入ると、先ほどと変わらず一人の青年がいかつい男に襟ぐりと手首を掴まれ、それをさらに三人の男がにやにやとしながら見ていた。
紫の髪の青年も必死に抵抗しているが、反撃することなど出来るはずもない。
何故ならば、体は成人男性の平均よりも小さく、体つきも細いからだ。
(オメガの男子生徒か)
透き通るような白い頬が、自分がここに向かう間に叩かれたのだろうか、少し赤く腫れている。それでも絶対に屈したりはしないと、自分よりも体の大きな男に掴まれ震えながらも抗い続けていた。
「おい! やめろよ。嫌がってるだろ!」
アルテアは拳をしっかりと握りしめ腹に力を込めて大きな声で叫びながら、紫の髪の青年にの襟ぐりを掴む自分よりも大きな男に向けて走り出す。助走をつけスピードに乗ったところで地面を強く蹴り、全体重を乗せながら飛び蹴りをくらわせる。うまく背中に当たったが、青年を掴んでいた手をパッと離しはしたが少し後ずさっただけ。渾身の飛び蹴りだっただけにあまり効いていなさそうのが悔しい。
なんとかうまく着地したあと、さらにアルテアはシャドウボクシングのように拳を突き出し、周りを囲んでいた腰巾着のような奴らにも牽制する。
男達は一瞬だけ沈黙した後、何でもなかったかのようにゲラゲラと笑い、アルテアと青年にべとつくような下卑た笑いを向けた。
相手の連中とは直接の面識はないが、体が一番大きく先ほどまで青年を掴んでいた男子生徒は、おそらくキリング家の次男ダミアンで、アルファだったはずだ。
「わお、またちんまいかわいこちゃんのお出ましかよ」
「ははっ! そんなの怖くもなんともないでちゅよー」
「はー? オレ、去年から身長もちょっと伸びたし体重だって増えたんだけどっ」
ちんまい、と言われて多少頭にきたが、こう言う輩は何を言っても無駄なのだ。今も馬鹿にしたように腹を叩いて大笑いしている。
アルテアはその男たちへの警戒は怠る事なく、へたり込んでいた青年に手を伸ばして立たせた。
「ねぇ、君、なんでこんなヤツらに絡まれてたの?」
スラックスについていた土を払ってやりながらアルテアは青年に声をかけたが、ふるふると頭を振ってわかりませんと繰り返すばかりだ。
とりあえず絡んできた連中とはどうにか距離が取れたし、周りの野次馬が味方に付いてくれれば逃げ切れるだろうと手を引こうとしたその時。どがっと大きな音がしてアルテアの体が宙を舞った。
「下手に出てやってたのに、このオメガが如きがっ」
「かはっ……ゲホっ」
青年の襟ぐりを掴んでいた男が軽蔑するような一言を放った後、アルテアを背中から蹴り飛ばしたのだ。
体も小さく体重の軽いアルテアの体は、それはもうあっけなく校舎の壁近くまで吹き飛んだ。校舎壁に叩きつけられたが咄嗟に取った受け身のおかげか、はたまたふかふかの葉が生い茂る植栽に尻から突っ込んだおかげか……。幸い骨は折れていないように感じるが、体に受けた衝撃が強すぎてうまく息が吸えない。
何とか呼吸を整えて、この青年だけでも逃がしたいと震える体を起こしたその瞬間、突風が吹いた。
バサッ、と大きく音を立てて風を含み、いつもみている盾の部分の模様が葵の御門のように見える特徴的な紋章の学園旗が翻る。
(え? 葵の、御紋ってなんだ???)
背中に鈍く走る痛みをこらえ、どうしても気になって学園旗を仰ぎ見ると、また大きく風を掴んで学園旗がはためいた。
「うぁっ……」
さらに強く学園旗がはためいた瞬間、背中に鈍く走る痛みと共に何度も聞いたあの曲と共に、アステラの頭ので昔の思い出が流れ出した。
*******
『葵! もう、ほら、ちゃんと見てってば!!』
『もう、とも姉、今日はあと何回みんの?』
『お昼食べて少ししたら出かけるから……、あと二回は見るかな。ほぁぁぁー、いつ見てもキャラデザ優勝! 何年経っても色褪せぬ! オープニングの作画クオリティーさいこーオブさいこー! ほら見て! きゃー!!!』
オープニングムービーと共に出演声優の歌うテーマソングが流れ出す。
葵は広くも狭くもないありふれた居間で、ソファーに寝っ転がりながらゲーム好きな姉のともよに付き合ってテレビ画面を見ている。自分もアニメも漫画も好きだし、好奇心に駆られて色んなジャンルを読むが、今はたくさんの物が溢れている時代だ。興味がなければなかなか手を伸ばさない。特に好きなジャンルは冒険活劇とヒーローもの。最近は異世界転生ものもかなり読む。だから興味のないBLと呼ばれるジャンルで唯一知っているのはこれだけだ。
姉は興奮気味にテレビの前に正座し、手元も見ずにお気に入りのマグカップに入れた熱々の緑茶を飲むと、ふぅと息をついてコントローラーを握る。
溺愛系甘々オメガバースBL。『君の甘い香りに溺れるADV』、タイトルは《フラガリア・ドルチェ》への何度聞いたかわからない主人公へのクソデカ感情とともに本日五回目となるオープニングが再開された。
『ことの始まりはね、十七歳を目前にして母が病気で亡くしたオメガの主人公の元へ、父親だと名乗る男が子爵が家にやってくるところから始まるの。その子爵は、過去に使用人として働いていた母親に手をつけて手籠めにしたばかりか子供が出来たと知って外聞の為に認知もせずに解雇して屋敷から放り出した自分の父親ってわけ。本当に腹が立つったらありゃしないわ! しかーし! その後どこぞの貴族の女と結婚したけど跡取りに恵まれず父親は躍起になって昔自分の子を産んだ女を探したわけね。見つけた自分の息子の性別がアルファじゃなかったのは残念だけど、オメガでしかも男。容姿も良かったから強引に家に引き取るわけよ。こういう設定は本当に嫌だし嫌いだしほんと嫌いで腹が立つ! でね、幼い頃からお母さんと二人で暮らしてきたから幼い頃から新聞配達とか牛乳配達とか……、ここの運営配達好きかよ……、あぁ、ごめんごめん。オメガだしあんまり力仕事はむいてないんだけどさ……。色々な配達をして家計を助けながら頑張って働いてきたわけ。泣けない? 泣けるでしょ? ちょ、あんたちゃんと聞いてる? 聞いてるならいいけど。でさ、街の学校には通ってはいたけど、駄目子爵親父はやっぱり自分の息子として引き取ったからには貴族としての見栄もあるし、オメガだから他の高位貴族に見染められてあわよくばなんて考えちゃうわけ。その結果、すぐさま無理矢理《サイネリア王立最高学府 クラスス学院》……、分かりやすく言えば大学ね、に転入させんのよー。この間まで庶民だった主人公が急に貴族の令嬢令息の通う学校なんて行ったらさー! いじめられるの分かってんじゃんねー! あーっ! クソがーっ! はぁ、はぁ……、でもさー、学校は全寮制だから忌々しいあの駄目子爵親父の家からは出られるしクラスス学院に転入しないと物語が始まらないから仕方ない。定番の設定とはいえここは私も心を鬼にしてぐっと我慢するわ……。だって、そうしないとオープニングが始まらないし、オープニングが始まらなからば出会わないし、互いの面識もなくて話が進まないのだから! ね? わかるでしょ?』
なんて姉は若干鼻声で話しかけながら目元にハンカチをあてる。間違っても、何が分かるでしょ?なんだよ、とは言えない。色々な意味で脱線しまくりの姉のクソデカ感情ダダ洩れの説明に対してツッコむと、あとあとそれはそれで面倒だからだ。
『ごめん、ねぇちゃん、あの、早口だし、おめが? とか、あるふぁ? とか、毎回聞いてもオレ全然わかんねぇんだけど……。そもそもその設定何の役に立つの』
『くっっ、なんで覚えてくれないのよっ!』
『姉ちゃんの説明が早口すぎるしすぐ脱線するからだろ!』
そこはごめん、といいながらも結局オメガバースがなんなのかは葵に説明されることはなく、再び熱い思いの丈をほとばしらせた。
『ドルチェはオメガバの設定だけど、だからこそ生まれる二人の絆、運命に翻弄されながらも、予定調和のように組み込まれる数多の困難を乗り越えて愛に辿り着く過程がある意味サイコーなわけ。さらに致す過程は作家様方のヘキの数ほどあれど、御多分に洩れず素敵なラブが、溺愛甘々のラブが! 狂おしいほどほとばしるラブが!! ドルチェにはあるわけ。基本最愛との溺愛甘々いちゃらぶハピエン廚の私としては、最高に良。登場人物は五人全員一気に出てきて仲良くなれるけど、前半の六月イベで急接近……はぁぁぁぁ。出会いこそ塩だけどその後のギャップで風邪引けてヤバいし、ドルチェのエロ少な目だけど中盤ぐらいで悪漢から助けた後のさー、繰り広げられるデロ甘溺愛がそれはもう存分に味わえるのが最高! あんま痛い描写もないのも無いのが好きなのよー。あ、これはあくまで私の意見。始めそんなすぐできないだろーとか、ほんとにそんなに気持ちいいのかーとか……、は置いといて! そこはあくまでファンタジーだから! あ、もう! 私の愛が漏れ出ちゃってオープニング終わっちゃってるわ。ごめんごめん。ささ、今一度!』
『例のアレのってなんだよ。ってかおめがばーすってファンタジーなん?』
『オメガバースに限らずだけど、BLはまぁそこそこファンタジーよ。話にもよるけど大体痛みとかすぐに大丈夫になるし』
『ふーん?』
こんな調子で毎回話が続くものだから、登場人物の相関図、隠しキャラと言われるデルヴァは基本的に普通に登場人物として登場するけれど、ランダムでイベントが発生するらしい攻略超難関キャラだとか、それぞれの性格ざっくりしか正直覚えていない。やっぱりファンタジーの世界観だから痛みがすぐに治ると言うならば回復魔法か何かが発達しているのだろうか、なんてぼんやりと考えていたところでもう一度、とロードが始まる。
説明をすることを放棄しているのか、結局オメガバースがなんなのか改めた説明がないまま、姉の黄色い声と自分のため息とともに、再び軽快な主題歌が流れ始め、本日六回目の美麗なアニメオープニングムービーが始まった……。
バサッ、と大きく音を立てて風を含み、夕暮れ時の空に盾の部分の模様が葵の御門のようにも見える学園旗が翻る。
少し静かに始まったイントロと共に風に乗った白い花びらが舞う中、学園旗から視界が降りていくと城のような学校の中庭に攻略対象と思われる六人が次々と現れるのだ。
圧倒的陽キャ、この国サイネリア王国第二王子ロディーテが画面いっぱいにはにかんだ微笑みかけた後、どこからやって来た白い鳩を肩に乗せながら優雅に階段を降りる。続いて宰相の息子であるクール系眼鏡男子ジェイムも眼鏡を何故か外してはためく学園旗を仰ぎ見ると、中庭に止まっていた鳩が一斉に飛び立った。そのあとやっぱり本館のどこから出てきたのかわからないけれどちょっと大人びたセクシー系同級生のグラディウスと、明るく元気なワンコ系男子のフランネルがこれまた階段から一緒に降りてきて中庭に向かっていくのを、教師のベルギアがやれやれと言った具合で階段下から中庭に向かってやっぱり歩いてくるのだ。
イケメンたちがほぼ中庭に集まった途端、中庭で生徒たちがざわつき、生徒の数人がロディーテのもとに走り寄ると、ロディーテの肩に止まっていた鳩が飛んでいき……。そこには意地悪令息っぽい男に囲まれ怯える主人公が!
主題歌のサビに入る直前、うるんだ瞳と主人公とロディーテの視線がぶつかる。ぐるんと画面が切り替わり黒髪の公爵令息寡黙系男子のデルヴァの瞳が鋭く光り、シーンが再び切り替わる。
主人公の少し不安そうな表情が画面いっぱいに映し出され、すぐさま軽快なサビのメロディーと共にその瞳に登場人物達のキメ顔が主人公が瞬きするたびに映し出される。夕暮れの空に大量の花びらが舞い、さらに大量の鳩が飛び立ち画面が真っ白になった後、先程まで主人公を囲んでいた男達は初めからいなかったかのように画面から消え去り、デルヴァだけ何故か主人公から離れた植栽の辺りに背中を向けて立っている。それ以外の主人公の前に立ち並んだ攻略対象達が、夕方から夜になって星が煌めく空を見上げる……。と、姉の黄色い悲鳴と共にオープニングムービーが終わった。
『ね! マジさいこーでしょ!!!』
『流石に今日はもうお腹いっぱいだよ……』
*******
正直ゲームのシナリオ自体はあまりよく知らない。でも、目の前で繰り広げられた光景は、何回見たか覚えてないないが、ことあるごとに姉がファンディスクの内容まで熱く熱く語る『君の甘い香りに溺れるADV』、タイトルは《フラガリア・ドルチェ》、そのゲームのオープニングムービーにそっくりだった。
今自分のいる辺りは角度的に最後のデルヴァが立っていた辺りから見たアングルか?
今、見ていたのはもちろん現実で、モニターに流れるアニメなんかじゃない……。オレはアルテアで、葵で??
助けた青年は並んだイケメンたちに保護されたのだろうか。今はもう見えない。
突き飛ばされた校舎の壁に叩きつけられ植栽に尻を突っ込んだまま、自分に一体何が起こっているのかわからず混乱を極めていたアルテアの前に大きな影が落ちた。
「アル、大丈夫か?」
愛称で呼ばれ顔を上げれば、艶のある漆黒の髪を風に揺らし、藤の花のような柔らかな紫色の瞳を心配そうに揺らし幼馴染のデルヴァがアルテアを見ている。
「ん、大丈夫……ありがとな」
「礼など……、俺がもっと早く駆けつけていれば。……っ! アル、頬に傷が」
デルヴァは自分が傷ついたかのようにさらに目を細め顔を歪める。
突き飛ばされた時に確かに校舎に体を強打して、植栽に突っ込んだ時に顔を少し引っ掛けたようで、そっと撫でられた頬がちりっと傷んだ。
デルヴァはアルテアを優しく持ち上げら植栽から救い出し、制服についた葉っぱを気遣うように優しくパタパタと払うと、ネックガードと首の後ろを丹念に確認したあと後、デルヴァはアルテアの体を横抱きにして歩き始めた。
「寮の医務室……、いや今日は屋敷に帰って休んだ方がいいな。馬車を呼ぼう」
「え? 寮で大丈夫だって。ちょ、恥ずかしいだろ!」
デルヴァに抱えられるのを周りの野次馬にみられるのも恥ずかしくてバタバタと抵抗を試みたが、体格の差がありすぎてデルヴァの体はびくともしない。
回復魔法をかけるから暴れてくれるな、とその表情よりずっと優しい声といつもふんわりとした甘さの中に爽やかなミモザに似た香りがアルテアの体中を包む。
「回復魔法なんて大げさだよ」
「そんなことないだろ。体を強く打ってるんだから。頼むから無理はしないでくれ」
「もうっ! ……わかったっ。わかったからそんな心配そうな顔すんなってー。ほら、眉間にしわ寄っちゃってるじゃん」
ぶつぶつと文句を言いながらも、おとなしくデルヴァの回復魔法を受ければ、温かさが体にジワリと広がる様に背中の痛みがすっと楽になった。
屋敷に戻る馬車を待つ間、回復魔法をかけてもらったからもう大丈夫だと主張して降ろしてくれと言うアルテアにデルヴァはまったく聞く耳を持たず……。仕方がないと観念して幼馴染の腕の中にすっぽりと納まり、眉間に刻まれた深い皺を親指で伸ばしながらフラッシュバックしたさまざまな記憶を繋ぎ合わせていく。
馬車に乗り込んでもアルテアを横抱きにしたまま膝から下ろそうとしないデルヴァの眉間のしわをさらに伸ばしながら、アルテアは確信した。
これは現実で、だけど自分は姉が愛してやまなかったゲームの世界に………、そう、転生してしまったのだと。
一番の仲良しである幼馴染のデルヴァは、このゲームの隠しキャラ。
アルテアはデルヴァのファンディスクの冒頭にちょこっとだけ名前と幼馴染だという短い説明があっただけの、本編には一度も名前すら出てこないモブなのだということを。
アルテアは自らが通う学び舎《サイネリア王立最高学府 クラスス学院》の校舎で、西日に照らされてキラキラと光る渡り廊下を鼻歌まじりにスキップで渡っていた。
城下町にあるパンケーキ屋に寄るために一緒に帰ろうと約束していた幼馴染との待ち合わせ場所である時計塔に、本日最後の授業が終わって一人で向かっていた。ここ半年ほど、月に一度のご褒美にと二人で食べに行っている美味しいパンケーキ。先月末は予定が合わず行けなかったので、進級してすぐだったが今日行こうと約束していたのだ。
(幼馴染《あいつ》が食べる分は自分の味とは違うものを勧めるとして、今月の新作も試したいからもう一皿食べることも……いやぁ、夕飯前だしな、……)
「うわー、誰か絡まれてる」
「知らないやつだなー。誰か助けてやれよ~」
うきうきとステップで鼻歌交じりにパンケーキの事ばかり考えていたアルテアの耳に、キラキラした放課後には不釣り合いな会話が聞こえてきた。
アルテアは渡り廊下の手すりにつかまり身を乗り出すようにしてその声のする方を探す。
少し騒ぎになって、軽く遠巻きに様子を見守る人も増えていたので場所を見つけるのは簡単だった。数人が校舎脇の通路を指さし、それでもただ見ているだけだ。指さす方向に目を向ければ、淡い紫色の髪の青年が数人の男に囲まれて、その内の一人に襟ぐりと手首を掴まれながらも懸命に離れようと抵抗しているのが見えた。
「……、ふぅ」
もう少しで幼馴染との待ち合わせ時間だが、正義感強めのアルテアは目の前の出来事を黙って見過ごすことなんてできない。
アルテアとの待ち合わせには一秒も遅刻したことがない幼馴染に(ごめん! 少し遅れる!)、と心の中で謝ってから、渡り廊下の横にある非常階段を急いで駆けおりる。
中庭にすでに出来始めていた野次馬をうまくぐぐり抜けてようやくその中に入ると、先ほどと変わらず一人の青年がいかつい男に襟ぐりと手首を掴まれ、それをさらに三人の男がにやにやとしながら見ていた。
紫の髪の青年も必死に抵抗しているが、反撃することなど出来るはずもない。
何故ならば、体は成人男性の平均よりも小さく、体つきも細いからだ。
(オメガの男子生徒か)
透き通るような白い頬が、自分がここに向かう間に叩かれたのだろうか、少し赤く腫れている。それでも絶対に屈したりはしないと、自分よりも体の大きな男に掴まれ震えながらも抗い続けていた。
「おい! やめろよ。嫌がってるだろ!」
アルテアは拳をしっかりと握りしめ腹に力を込めて大きな声で叫びながら、紫の髪の青年にの襟ぐりを掴む自分よりも大きな男に向けて走り出す。助走をつけスピードに乗ったところで地面を強く蹴り、全体重を乗せながら飛び蹴りをくらわせる。うまく背中に当たったが、青年を掴んでいた手をパッと離しはしたが少し後ずさっただけ。渾身の飛び蹴りだっただけにあまり効いていなさそうのが悔しい。
なんとかうまく着地したあと、さらにアルテアはシャドウボクシングのように拳を突き出し、周りを囲んでいた腰巾着のような奴らにも牽制する。
男達は一瞬だけ沈黙した後、何でもなかったかのようにゲラゲラと笑い、アルテアと青年にべとつくような下卑た笑いを向けた。
相手の連中とは直接の面識はないが、体が一番大きく先ほどまで青年を掴んでいた男子生徒は、おそらくキリング家の次男ダミアンで、アルファだったはずだ。
「わお、またちんまいかわいこちゃんのお出ましかよ」
「ははっ! そんなの怖くもなんともないでちゅよー」
「はー? オレ、去年から身長もちょっと伸びたし体重だって増えたんだけどっ」
ちんまい、と言われて多少頭にきたが、こう言う輩は何を言っても無駄なのだ。今も馬鹿にしたように腹を叩いて大笑いしている。
アルテアはその男たちへの警戒は怠る事なく、へたり込んでいた青年に手を伸ばして立たせた。
「ねぇ、君、なんでこんなヤツらに絡まれてたの?」
スラックスについていた土を払ってやりながらアルテアは青年に声をかけたが、ふるふると頭を振ってわかりませんと繰り返すばかりだ。
とりあえず絡んできた連中とはどうにか距離が取れたし、周りの野次馬が味方に付いてくれれば逃げ切れるだろうと手を引こうとしたその時。どがっと大きな音がしてアルテアの体が宙を舞った。
「下手に出てやってたのに、このオメガが如きがっ」
「かはっ……ゲホっ」
青年の襟ぐりを掴んでいた男が軽蔑するような一言を放った後、アルテアを背中から蹴り飛ばしたのだ。
体も小さく体重の軽いアルテアの体は、それはもうあっけなく校舎の壁近くまで吹き飛んだ。校舎壁に叩きつけられたが咄嗟に取った受け身のおかげか、はたまたふかふかの葉が生い茂る植栽に尻から突っ込んだおかげか……。幸い骨は折れていないように感じるが、体に受けた衝撃が強すぎてうまく息が吸えない。
何とか呼吸を整えて、この青年だけでも逃がしたいと震える体を起こしたその瞬間、突風が吹いた。
バサッ、と大きく音を立てて風を含み、いつもみている盾の部分の模様が葵の御門のように見える特徴的な紋章の学園旗が翻る。
(え? 葵の、御紋ってなんだ???)
背中に鈍く走る痛みをこらえ、どうしても気になって学園旗を仰ぎ見ると、また大きく風を掴んで学園旗がはためいた。
「うぁっ……」
さらに強く学園旗がはためいた瞬間、背中に鈍く走る痛みと共に何度も聞いたあの曲と共に、アステラの頭ので昔の思い出が流れ出した。
*******
『葵! もう、ほら、ちゃんと見てってば!!』
『もう、とも姉、今日はあと何回みんの?』
『お昼食べて少ししたら出かけるから……、あと二回は見るかな。ほぁぁぁー、いつ見てもキャラデザ優勝! 何年経っても色褪せぬ! オープニングの作画クオリティーさいこーオブさいこー! ほら見て! きゃー!!!』
オープニングムービーと共に出演声優の歌うテーマソングが流れ出す。
葵は広くも狭くもないありふれた居間で、ソファーに寝っ転がりながらゲーム好きな姉のともよに付き合ってテレビ画面を見ている。自分もアニメも漫画も好きだし、好奇心に駆られて色んなジャンルを読むが、今はたくさんの物が溢れている時代だ。興味がなければなかなか手を伸ばさない。特に好きなジャンルは冒険活劇とヒーローもの。最近は異世界転生ものもかなり読む。だから興味のないBLと呼ばれるジャンルで唯一知っているのはこれだけだ。
姉は興奮気味にテレビの前に正座し、手元も見ずにお気に入りのマグカップに入れた熱々の緑茶を飲むと、ふぅと息をついてコントローラーを握る。
溺愛系甘々オメガバースBL。『君の甘い香りに溺れるADV』、タイトルは《フラガリア・ドルチェ》への何度聞いたかわからない主人公へのクソデカ感情とともに本日五回目となるオープニングが再開された。
『ことの始まりはね、十七歳を目前にして母が病気で亡くしたオメガの主人公の元へ、父親だと名乗る男が子爵が家にやってくるところから始まるの。その子爵は、過去に使用人として働いていた母親に手をつけて手籠めにしたばかりか子供が出来たと知って外聞の為に認知もせずに解雇して屋敷から放り出した自分の父親ってわけ。本当に腹が立つったらありゃしないわ! しかーし! その後どこぞの貴族の女と結婚したけど跡取りに恵まれず父親は躍起になって昔自分の子を産んだ女を探したわけね。見つけた自分の息子の性別がアルファじゃなかったのは残念だけど、オメガでしかも男。容姿も良かったから強引に家に引き取るわけよ。こういう設定は本当に嫌だし嫌いだしほんと嫌いで腹が立つ! でね、幼い頃からお母さんと二人で暮らしてきたから幼い頃から新聞配達とか牛乳配達とか……、ここの運営配達好きかよ……、あぁ、ごめんごめん。オメガだしあんまり力仕事はむいてないんだけどさ……。色々な配達をして家計を助けながら頑張って働いてきたわけ。泣けない? 泣けるでしょ? ちょ、あんたちゃんと聞いてる? 聞いてるならいいけど。でさ、街の学校には通ってはいたけど、駄目子爵親父はやっぱり自分の息子として引き取ったからには貴族としての見栄もあるし、オメガだから他の高位貴族に見染められてあわよくばなんて考えちゃうわけ。その結果、すぐさま無理矢理《サイネリア王立最高学府 クラスス学院》……、分かりやすく言えば大学ね、に転入させんのよー。この間まで庶民だった主人公が急に貴族の令嬢令息の通う学校なんて行ったらさー! いじめられるの分かってんじゃんねー! あーっ! クソがーっ! はぁ、はぁ……、でもさー、学校は全寮制だから忌々しいあの駄目子爵親父の家からは出られるしクラスス学院に転入しないと物語が始まらないから仕方ない。定番の設定とはいえここは私も心を鬼にしてぐっと我慢するわ……。だって、そうしないとオープニングが始まらないし、オープニングが始まらなからば出会わないし、互いの面識もなくて話が進まないのだから! ね? わかるでしょ?』
なんて姉は若干鼻声で話しかけながら目元にハンカチをあてる。間違っても、何が分かるでしょ?なんだよ、とは言えない。色々な意味で脱線しまくりの姉のクソデカ感情ダダ洩れの説明に対してツッコむと、あとあとそれはそれで面倒だからだ。
『ごめん、ねぇちゃん、あの、早口だし、おめが? とか、あるふぁ? とか、毎回聞いてもオレ全然わかんねぇんだけど……。そもそもその設定何の役に立つの』
『くっっ、なんで覚えてくれないのよっ!』
『姉ちゃんの説明が早口すぎるしすぐ脱線するからだろ!』
そこはごめん、といいながらも結局オメガバースがなんなのかは葵に説明されることはなく、再び熱い思いの丈をほとばしらせた。
『ドルチェはオメガバの設定だけど、だからこそ生まれる二人の絆、運命に翻弄されながらも、予定調和のように組み込まれる数多の困難を乗り越えて愛に辿り着く過程がある意味サイコーなわけ。さらに致す過程は作家様方のヘキの数ほどあれど、御多分に洩れず素敵なラブが、溺愛甘々のラブが! 狂おしいほどほとばしるラブが!! ドルチェにはあるわけ。基本最愛との溺愛甘々いちゃらぶハピエン廚の私としては、最高に良。登場人物は五人全員一気に出てきて仲良くなれるけど、前半の六月イベで急接近……はぁぁぁぁ。出会いこそ塩だけどその後のギャップで風邪引けてヤバいし、ドルチェのエロ少な目だけど中盤ぐらいで悪漢から助けた後のさー、繰り広げられるデロ甘溺愛がそれはもう存分に味わえるのが最高! あんま痛い描写もないのも無いのが好きなのよー。あ、これはあくまで私の意見。始めそんなすぐできないだろーとか、ほんとにそんなに気持ちいいのかーとか……、は置いといて! そこはあくまでファンタジーだから! あ、もう! 私の愛が漏れ出ちゃってオープニング終わっちゃってるわ。ごめんごめん。ささ、今一度!』
『例のアレのってなんだよ。ってかおめがばーすってファンタジーなん?』
『オメガバースに限らずだけど、BLはまぁそこそこファンタジーよ。話にもよるけど大体痛みとかすぐに大丈夫になるし』
『ふーん?』
こんな調子で毎回話が続くものだから、登場人物の相関図、隠しキャラと言われるデルヴァは基本的に普通に登場人物として登場するけれど、ランダムでイベントが発生するらしい攻略超難関キャラだとか、それぞれの性格ざっくりしか正直覚えていない。やっぱりファンタジーの世界観だから痛みがすぐに治ると言うならば回復魔法か何かが発達しているのだろうか、なんてぼんやりと考えていたところでもう一度、とロードが始まる。
説明をすることを放棄しているのか、結局オメガバースがなんなのか改めた説明がないまま、姉の黄色い声と自分のため息とともに、再び軽快な主題歌が流れ始め、本日六回目の美麗なアニメオープニングムービーが始まった……。
バサッ、と大きく音を立てて風を含み、夕暮れ時の空に盾の部分の模様が葵の御門のようにも見える学園旗が翻る。
少し静かに始まったイントロと共に風に乗った白い花びらが舞う中、学園旗から視界が降りていくと城のような学校の中庭に攻略対象と思われる六人が次々と現れるのだ。
圧倒的陽キャ、この国サイネリア王国第二王子ロディーテが画面いっぱいにはにかんだ微笑みかけた後、どこからやって来た白い鳩を肩に乗せながら優雅に階段を降りる。続いて宰相の息子であるクール系眼鏡男子ジェイムも眼鏡を何故か外してはためく学園旗を仰ぎ見ると、中庭に止まっていた鳩が一斉に飛び立った。そのあとやっぱり本館のどこから出てきたのかわからないけれどちょっと大人びたセクシー系同級生のグラディウスと、明るく元気なワンコ系男子のフランネルがこれまた階段から一緒に降りてきて中庭に向かっていくのを、教師のベルギアがやれやれと言った具合で階段下から中庭に向かってやっぱり歩いてくるのだ。
イケメンたちがほぼ中庭に集まった途端、中庭で生徒たちがざわつき、生徒の数人がロディーテのもとに走り寄ると、ロディーテの肩に止まっていた鳩が飛んでいき……。そこには意地悪令息っぽい男に囲まれ怯える主人公が!
主題歌のサビに入る直前、うるんだ瞳と主人公とロディーテの視線がぶつかる。ぐるんと画面が切り替わり黒髪の公爵令息寡黙系男子のデルヴァの瞳が鋭く光り、シーンが再び切り替わる。
主人公の少し不安そうな表情が画面いっぱいに映し出され、すぐさま軽快なサビのメロディーと共にその瞳に登場人物達のキメ顔が主人公が瞬きするたびに映し出される。夕暮れの空に大量の花びらが舞い、さらに大量の鳩が飛び立ち画面が真っ白になった後、先程まで主人公を囲んでいた男達は初めからいなかったかのように画面から消え去り、デルヴァだけ何故か主人公から離れた植栽の辺りに背中を向けて立っている。それ以外の主人公の前に立ち並んだ攻略対象達が、夕方から夜になって星が煌めく空を見上げる……。と、姉の黄色い悲鳴と共にオープニングムービーが終わった。
『ね! マジさいこーでしょ!!!』
『流石に今日はもうお腹いっぱいだよ……』
*******
正直ゲームのシナリオ自体はあまりよく知らない。でも、目の前で繰り広げられた光景は、何回見たか覚えてないないが、ことあるごとに姉がファンディスクの内容まで熱く熱く語る『君の甘い香りに溺れるADV』、タイトルは《フラガリア・ドルチェ》、そのゲームのオープニングムービーにそっくりだった。
今自分のいる辺りは角度的に最後のデルヴァが立っていた辺りから見たアングルか?
今、見ていたのはもちろん現実で、モニターに流れるアニメなんかじゃない……。オレはアルテアで、葵で??
助けた青年は並んだイケメンたちに保護されたのだろうか。今はもう見えない。
突き飛ばされた校舎の壁に叩きつけられ植栽に尻を突っ込んだまま、自分に一体何が起こっているのかわからず混乱を極めていたアルテアの前に大きな影が落ちた。
「アル、大丈夫か?」
愛称で呼ばれ顔を上げれば、艶のある漆黒の髪を風に揺らし、藤の花のような柔らかな紫色の瞳を心配そうに揺らし幼馴染のデルヴァがアルテアを見ている。
「ん、大丈夫……ありがとな」
「礼など……、俺がもっと早く駆けつけていれば。……っ! アル、頬に傷が」
デルヴァは自分が傷ついたかのようにさらに目を細め顔を歪める。
突き飛ばされた時に確かに校舎に体を強打して、植栽に突っ込んだ時に顔を少し引っ掛けたようで、そっと撫でられた頬がちりっと傷んだ。
デルヴァはアルテアを優しく持ち上げら植栽から救い出し、制服についた葉っぱを気遣うように優しくパタパタと払うと、ネックガードと首の後ろを丹念に確認したあと後、デルヴァはアルテアの体を横抱きにして歩き始めた。
「寮の医務室……、いや今日は屋敷に帰って休んだ方がいいな。馬車を呼ぼう」
「え? 寮で大丈夫だって。ちょ、恥ずかしいだろ!」
デルヴァに抱えられるのを周りの野次馬にみられるのも恥ずかしくてバタバタと抵抗を試みたが、体格の差がありすぎてデルヴァの体はびくともしない。
回復魔法をかけるから暴れてくれるな、とその表情よりずっと優しい声といつもふんわりとした甘さの中に爽やかなミモザに似た香りがアルテアの体中を包む。
「回復魔法なんて大げさだよ」
「そんなことないだろ。体を強く打ってるんだから。頼むから無理はしないでくれ」
「もうっ! ……わかったっ。わかったからそんな心配そうな顔すんなってー。ほら、眉間にしわ寄っちゃってるじゃん」
ぶつぶつと文句を言いながらも、おとなしくデルヴァの回復魔法を受ければ、温かさが体にジワリと広がる様に背中の痛みがすっと楽になった。
屋敷に戻る馬車を待つ間、回復魔法をかけてもらったからもう大丈夫だと主張して降ろしてくれと言うアルテアにデルヴァはまったく聞く耳を持たず……。仕方がないと観念して幼馴染の腕の中にすっぽりと納まり、眉間に刻まれた深い皺を親指で伸ばしながらフラッシュバックしたさまざまな記憶を繋ぎ合わせていく。
馬車に乗り込んでもアルテアを横抱きにしたまま膝から下ろそうとしないデルヴァの眉間のしわをさらに伸ばしながら、アルテアは確信した。
これは現実で、だけど自分は姉が愛してやまなかったゲームの世界に………、そう、転生してしまったのだと。
一番の仲良しである幼馴染のデルヴァは、このゲームの隠しキャラ。
アルテアはデルヴァのファンディスクの冒頭にちょこっとだけ名前と幼馴染だという短い説明があっただけの、本編には一度も名前すら出てこないモブなのだということを。
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