蟠-ワダカマル-

常盤

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引っ込み思案と自己顕示欲

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絵を描くのが好き

歌うのが好き

メイクするのが好き




それらは全て否定されてきた。


「何をそんなものを描くか。勉強しろ」

「うるさい!気持ちの悪い声で歌うな!」

「そんなメイクする時間があるなら手伝いももっとできるでしょ?」




「そんな絵を描く道具、カラオケ、メイク道具に使う金があるなら家にもっと入れればいいのに」




何一つ寛大に受け入れられることは無かった。
必ず最初はバカにされて否定されて意味を成さないものだと言われる。

母親はメイクにも絵にも歌にも自分の興味のあるもの以外全て排他的な人だった。

見つかりたくなかったからこそこそやった。
なにかのタイミングで見つかってまた鼻で笑われた。


いいね、上手だね、
そんな言葉をかけてほしいとは思わないけど、
否定をしないで欲しかった。
無駄な金だと思わないで欲しかった。
私はそれを好きなのだから、
私はそれをすることを楽しいと感じているのだから。


私の中に一つだけ確固たる信条がある。

【理解しようとしなくてもいいから、
   否定はしないでほしい】

これは、自分自身にも当てはまるし
なにより私がそうして欲しいからだった。



母は趣味をほぼ持たずに育った。

私は物心着いた頃から趣味が多かった。

当然、親子なのに相容れるはずもなく、
私は否定され続けた。
昔から、母の口癖がある。

「我が子ながらあんただけは兄妹の中で1番理解出来んし何考えてるかわからん」

そう、幼い頃から理解されなかった。
私は知らない、この子が勝手に育ったと言われ続けてきた。
昔から家族内でなぜか浮く存在だった。
この歳になっても、それは変わらないようで
年々アンタの態度は酷くなっていっていると、母からブチ切れられた。

私が何を好きで
私が何を欲しがって
私が何をしたくても

母にはそれが理解できないらしい。



だからこそ、私は思う。

子供の私の思考が貴方に理解できないのに、
私がアナタの思考を理解出来るはずもない。
都合のいいことを並べ立てるな。

と。



それでももう、どうでもよかった。
私はしたいことをしようと思った。

しかし、ここでも私が幼い頃から蔑まれてきた経験が足を引っ張った。

本気で好きでも、勇気が出ない。
どうせ笑われる、どうせ需要なんてない、
私が作品を発表したり、それを仕事にしたりしたくても、家族から受けてきた評価により足が竦むのだ。



私の作品なんてどうせ価値のないものだから



家族がそう決めたのだ。
頭の中では否定していたも心の奥底ではビビって何も出来ない。

自己満足でLINEスタンプを作れたくらいだった。
それにも努力と勇気はかなり必要だった。


自己顕示欲は強いのに、足が竦む、


呪縛はいつまでもとかれることは無い。
少しずつ、少しずつ、
自分で自分を許して励ますしか方法はない。







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