おっさんの転生珍道中

dai

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晩餐会

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「ダイキ、遠慮せず食べなさい」

「はぁ~」
目の前には見た事もない料理が山程テーブルに乗っている。
そして何故か俺はアレキサンド王の隣に座っていた。
え~っと普通は王の隣なんかには座らないよな?こんな所に座っていたら飯もガツガツ食えないじゃん。

今は晩餐会の最中、エスメラルダを助けたお礼も兼ねて大樹とセシル、そして宿で俺達の帰りを待っていたミコとメルが食卓に座っていた。

「して、ダイキ!先程も言ったがこの度の事、本当にすまなかった。わしの弟のサタナエルが王座を狙いこの度の犯行を企だてエスメラルダを拐い、おぬし達まで巻き込み迷惑をかけた」

そう、今回の事件はアレキサンドの弟のサタナエルが王座欲しさにエスメラルダを拐った。しかし俺とセシルがその犯行を阻止したのだ。これは先程晩餐会の前にエスメラルダと話をしてわかった事だ。

弟のサタナエルは出来の良い兄アレキサンドを僻んでいた。皆から愛され、尊敬される兄を幼い頃からサタナエルは見て来た。本当なら出来の良い兄を持って自慢になる所がサタナエルは違った。それは大きくなるにつれ黒い感情が日に日に増し、犯行に移ったのだろう。

「アレキサンド様、もう感謝の気持ちは十分伝わりました。そして、晩餐会も開いていただきありがとうございます。連れ達も見た事もない料理を食べることが出来喜んでいます」

セシルはエスメラルダの隣に陣取り、楽しくと言うか……そこ!顔が近いからエスメラルダ様が困ってるから……

ミコは行儀がいいが、皿にそんなに盛って食べれるのか?
メルはまぁ、年相応な感じだね。顔の周りにいっぱいつけて。

「うむ、そう言ってもらえて助かる。サタナエルは領土の返還と王家の称号の剥奪、それに島流しにした。本当なら処刑をせねばならない所なのだが……」

確かに、今回の事件は余り表には出てはいないが、立派な反逆というかクーデターになる。首謀者は打ち首が相応な対応になるだろうが、アレキサンドは実の弟には出来なかったのだろう。王としての今回の処罰はダメかもしれないが、兄弟としては妥当なのかもしれない。

「それはそうとダイキ、褒美の事は考えたのか?今回のおぬしの働きにはそれ相応の褒美を与えようと思うが……」

ん~考えていなかった。何が必要かもわからない……俺はこれからどうしたいんだ?
大樹は首を傾げながら考えた。

「まぁまだアイテールにはいるんじゃろ?ここから旅立つ前には決めといてくれ」

「すいません……」

「ほれ、料理が冷めてしまうから遠慮せず食べるがよい」

それから晩餐会は恙無く終わった。

大樹達がアイテールにいる間は城に部屋を用意して貰えるようになり、ベッドの上で大樹は今後の予定を考えている。

明日からは奴隷屋にも行かないとなぁ~。セシルの弟にも会って、メルを早く親元に届けなくてはならないし……
はぁ~やる事が沢山だな。あっ!褒美の事も考えなくてはならない。しかし、メルを届けた後はどうするかなぁ?もう、家族にも会うことが出来ないし、のんびり過ごすのもいいかもな、一軒家でペットを飼って、家庭菜園なんかもして、美容室開くのもいいかも、こっちの世界ではどうしているんだろ?

そんな考えや妄想していると、ミコとメルが乗っかって来た。

「あるじさま、久しぶりにバナナを所望します」
「お兄ちゃん、バナナ…バナナ…バナナ」

大樹は2人にアイテムボックスからバナナを出し渡した。

「ん~美味し~!」
美味しそうにバナナを頬張るメルを見て少し安らいだ。

「あるじさま、何か悩みでもあるんですか?」
ミコが心配そうに見ている。

「別に悩みってほどではないけど、自分がどこに向かえばいいのかわからなくてね。前にも考えたけど中々答えが出なくて……」
異世界に来てから大分経ち色々な事があった。神からは好きに生きろと言われたが、好きに生きるとはどういう事かも最近はわからなくなってきた。

ん~疲れてるのかな?

「あるじさま、私はいつまでもあるじさまに着いていきます。なので、あるじさまの心が感じた通りにやって行けば間違いないと思います」

「心が感じた通りにね……」
まぁ、成るように成るしかないか。

コン…コン
ん?こんな時間に誰だ?
扉を開けるとエスメラルダが立っていた。

「こんな時間にどうしたんですか?」
エスメラルダを部屋の中に通した。

「ダイキ!お願いがあるの!」

え?何か嫌な感じがする。

「私もあなた達の仲間にしてほしいの!」

「チョッ…チョット待ってください!何を言ってるんですか?ミコ!隣からセシル呼んできて!」

うぁ~また厄介ごとになりそうだぞ……もう勘弁してよ。

「どうした?ダイキ!うゎっエスメラルダ様!」
セシルが笑顔で部屋に入って来た。セシルに事情を話し、エスメラルダにも訳を聞いた。

エスメラルダ曰く、色々な街や景色、色んな人と触れ合い、自分を高めたいとの事。ただ今までは思っていただけで踏ん切りがつかなかった。ましてや自分が王女なのだから中々難しいだろうと思っていたが、俺やセシルと出会い、その気持ちが大きくなった。

「エスメラルダ様、その気持ちはわかります。だが王女を危険な目に合わせる事は出来ません。たしかに俺とダイキはエスメラルダ様が仲間になって下さるのは嬉しく思います。だけどそんな事は許されるはずがありません」

え~~セシルがまともな事を言っていて少し引くわ……セシルなら凄く喜びそうなものに。

「それはわかるわ!だけど鳥のように自由に羽ばたきたいの!」

な…何?このドラマの様な展開。

「ダイキからも何か言ってやれよ」
いやいや十分あなたが仰ってた通りだよ。

「俺もセシルの言っている事は正しいと思います。それに俺らの仲間になったってこの先どうなるかなんて俺にもわからないんですよ。先ずは目先の目標としてメルの親族を探す事なんですから」

「だけど……」エスメラルダは目に涙を浮かべている。

見かねたセシルがエスメラルダに言った。
「それなら王都にいる間だけでも一緒に行動するのでもいいですか?」

「おいおい、勝手に決めるなよ」

「しょうがないだろ!エスメラルダ様が泣きそうなんだから!女を泣かすのは俺はベッドの上と決めている」

わけのわからん事言って……

「それでもいいわ。」

いいのか~い!

もう好きにして!
「エスメラルダ様、アレキサンド様には了承得てくださいね」
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