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マーカス島の化け猫
ここは日本名、南鳥島。マーカス島である。
開戦劈頭日本が奪取、その後奪回に動いたアメリカ艦載機群を返り討ちにしたウェーキ島の近傍である。
日本海軍はここを一定の重要度を持つ拠点とし、航空基地には零戦21型75機、一式陸攻35機を配備していた。
1942年12月20日、ここの電探…レーダーに優に100機以上の機影が映る。
「何っ!?敵機!?」
基地司令以下末端のパイロット達に至るまで驚きを隠せない。
無論警戒はしていたが、そもそもここが最前線基地という認識自体が無かったのだ。
「まわせーっ!!」
それでも迅速に、緊急発進に入る零戦隊。
正直、中堅どころの上から下と言う技量のメンツだが…戦るしかない。
稼働68機が空中集合、高度4000弱につけ…
敵影。案の定戦爆連合。合計150機程度。
半分はドーントレス。
しかしそれを守る戦闘機は!?
「気を付けろ、F4Fじゃない!」
なんとなしにグラマンの系譜である。それはわかる。
しかし低翼の上に、屈強な上に引き締まったシルエット…。
などと考えるうちに、味方数機が煙を吹いて墜ちていく。
!!速い!
瞬く間に肉薄し、事もあろうに近接格闘戦を挑んできた。この零戦相手に!
舐めるな!
清田郁宏飛曹長は一機の後ろに回り込む。
もらった!
が…敵グラマンは一気に加速、清田機を引き離す。
なんだこいつは!?
明らかに馬力速度の桁が…。
そして、ゴツい外見に似合わぬ俊敏な旋回で…後ろを取られる!
ぐっ!
清田は急降下で逃れようとするが、加速し切る前に肉薄され…。
12.7ミリ機銃の嫌な音。
機体に衝撃!翼に、操縦席後方に…。
死…。
いや、生きてる、俺自身は…。
機体は翼とエンジンから黒煙を上げているが…。
とにかく無我夢中で、機体が背面飛行に入ったタイミングを見て脱出。
落下傘が開いた時、安堵と共に自分の股間が濡れていることに気づく。
でも、生き残れば全て良し。
酒を飲み女と遊ぶのも、生きていればこそだ。
だが…。周囲を見渡せば、墜ちていく機体の過半数が我が零戦…。
とんでもない化け物が現れやがった…。
「F○CK YOU!!」
アメリカ戦闘機隊隊長、ヴァン大尉は中指を立てて勝ち誇る。
が…少し消化不良感もある。
思った程ワンサイドゲームで殲滅…とはいかず、こちらも4分の1を失い、向こうの3分の1は取り逃がしてしまった。
だが…。
これまでのジャップの快進撃の象徴であった、ゼロにほぼ同数の戦いで勝利した意義は大きい!
「遂に現れたか…まさに挨拶代わりの…だな。」
山本五十六が呟く。
ウルシー泊地の連合艦隊にも、一連の報は即座に届いた。
「はっ。敵戦闘機は情報にあったグラマンF6Fヘルキャット。
母艦は米軍の新たな主力正規空母エセックス級。
仰る通り小手調べと示威の為、2隻程度を一撃離脱で繰り出して来たのでしょう。」
連合艦隊航空参謀長となった久保拓也がそう返す。
「まあ、今回は零戦とは言え21型、パイロットの腕も中どころではあるから…。」
「とは言え、21型にしても私自身、2000馬力級と当たってもある程度渡り合える、という前提で設計した機体です。
今回のF6Fは近接格闘戦にもある程度対応できる、これは正直予想外でありました。」
どこかの時点で想定される日米一大空母決戦。
新生第一航空艦隊には、どうしても中堅、あるいはジャクの域をどうにか卒業したというレベルのパイロットが3分の1は混じってしまう。台南空はじめ、全戦線のベテランを招集するという訳にもいかないのだ。
まだ様々な仕掛けを、練り込まねばならない。
開戦劈頭日本が奪取、その後奪回に動いたアメリカ艦載機群を返り討ちにしたウェーキ島の近傍である。
日本海軍はここを一定の重要度を持つ拠点とし、航空基地には零戦21型75機、一式陸攻35機を配備していた。
1942年12月20日、ここの電探…レーダーに優に100機以上の機影が映る。
「何っ!?敵機!?」
基地司令以下末端のパイロット達に至るまで驚きを隠せない。
無論警戒はしていたが、そもそもここが最前線基地という認識自体が無かったのだ。
「まわせーっ!!」
それでも迅速に、緊急発進に入る零戦隊。
正直、中堅どころの上から下と言う技量のメンツだが…戦るしかない。
稼働68機が空中集合、高度4000弱につけ…
敵影。案の定戦爆連合。合計150機程度。
半分はドーントレス。
しかしそれを守る戦闘機は!?
「気を付けろ、F4Fじゃない!」
なんとなしにグラマンの系譜である。それはわかる。
しかし低翼の上に、屈強な上に引き締まったシルエット…。
などと考えるうちに、味方数機が煙を吹いて墜ちていく。
!!速い!
瞬く間に肉薄し、事もあろうに近接格闘戦を挑んできた。この零戦相手に!
舐めるな!
清田郁宏飛曹長は一機の後ろに回り込む。
もらった!
が…敵グラマンは一気に加速、清田機を引き離す。
なんだこいつは!?
明らかに馬力速度の桁が…。
そして、ゴツい外見に似合わぬ俊敏な旋回で…後ろを取られる!
ぐっ!
清田は急降下で逃れようとするが、加速し切る前に肉薄され…。
12.7ミリ機銃の嫌な音。
機体に衝撃!翼に、操縦席後方に…。
死…。
いや、生きてる、俺自身は…。
機体は翼とエンジンから黒煙を上げているが…。
とにかく無我夢中で、機体が背面飛行に入ったタイミングを見て脱出。
落下傘が開いた時、安堵と共に自分の股間が濡れていることに気づく。
でも、生き残れば全て良し。
酒を飲み女と遊ぶのも、生きていればこそだ。
だが…。周囲を見渡せば、墜ちていく機体の過半数が我が零戦…。
とんでもない化け物が現れやがった…。
「F○CK YOU!!」
アメリカ戦闘機隊隊長、ヴァン大尉は中指を立てて勝ち誇る。
が…少し消化不良感もある。
思った程ワンサイドゲームで殲滅…とはいかず、こちらも4分の1を失い、向こうの3分の1は取り逃がしてしまった。
だが…。
これまでのジャップの快進撃の象徴であった、ゼロにほぼ同数の戦いで勝利した意義は大きい!
「遂に現れたか…まさに挨拶代わりの…だな。」
山本五十六が呟く。
ウルシー泊地の連合艦隊にも、一連の報は即座に届いた。
「はっ。敵戦闘機は情報にあったグラマンF6Fヘルキャット。
母艦は米軍の新たな主力正規空母エセックス級。
仰る通り小手調べと示威の為、2隻程度を一撃離脱で繰り出して来たのでしょう。」
連合艦隊航空参謀長となった久保拓也がそう返す。
「まあ、今回は零戦とは言え21型、パイロットの腕も中どころではあるから…。」
「とは言え、21型にしても私自身、2000馬力級と当たってもある程度渡り合える、という前提で設計した機体です。
今回のF6Fは近接格闘戦にもある程度対応できる、これは正直予想外でありました。」
どこかの時点で想定される日米一大空母決戦。
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