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久保拓也の戦略空軍
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「アリューシャン各方面、空爆に対する抵抗は軽微。」
「やはり事前の友軍B29群による絨毯爆撃が効いておりますな。」
アメリカ海軍、第48任務部隊司令ミッチャー中将は無言で頷く。
旗艦ワスプⅣ含めミッドウェイ級2隻、エセックス級8隻。そしてエンタープライズ。
練度、質において、今この瞬間に関しては合衆国唯一最強の機動戦力である。
「無論失うわけにはいかぬ。
だが、萎縮はせず、大胆かつ慎重に運用する。」
そのミッチャーの方針通り、的確にアリューシャン各方面の飛行場、レーダーサイト等を的確にヒットアンドアウェイで叩いていく。
その立役者が…。
「いやぁスイマセーん♂」
戦闘機隊総隊長ヘリントン大佐が駆るはF8Fベアキャット…ではない。
F4Uー5コルセア。
速度機動性ではベアキャットと互角、
さらに防弾、機体強度ではF6Fヘルキャットをすら上回っていた。
そして…従来の艦爆艦攻を上回るペイロード…。
そう、今回は作戦機の大半が、この新鋭コルセアだったのである。
いわばレシプロ機最強のマルチロールファイター…。
実際コルセア隊は猛威を奮った。
アリューシャン各拠点に配備された零戦54型丁改の敵基地航空隊。
数に劣るとは言え実践経験者揃いの難敵を圧倒とはいかなかったが初実戦が9割のメンツで抑え込み、爆装型の施設空爆をほぼ完璧にフォローした。
こちらの損耗2割近く、というのは若干痛いが…。
「よろしい。
4時間後発進の目標はたしか…」
「キスカ島です。」
ミッチャーの問いに1人の参謀が答えた。
「うむ。確か最も航空戦力の充実した…。
パイロット達には休養を。」
「御意。本日の作戦はそこで終了ですな。」
はたして…現地時間1530、キスカ島の防空圏内に350機の「戦爆連合」は雪崩れ込む。
迎撃する日本海軍航空隊、零戦54型丁改110機。
練度は空母機動部隊やマリアナ方面のベテラン達よりは劣るものの、ほぼ全員に実戦経験はあり、何人かエースクラスも混じっていた。
とは言え、こいつはベアキャット以上にえぐいぜ。
総隊長の菅野直は呟く。
馬力と頑丈さはヘルキャット以上。
実戦経験なくとも十分な訓練を受けていれば、編隊空戦、ズーム&ダイブの反復だけで十分な脅威となる。
「よし、チームAで敵戦闘機隊を抑え、Bはそのまま予定通り各目標空爆!」
ヘリントンの指示通り、コルセアの大群は一斉に加速する。
「やばい!」
馬力荷重の違いか、同高度で会敵のつもりが数百メートル高度の優位を敵に与えてしまった。
「くっ、全機一旦ダイヴで…。」
菅野が機上電話で言いかけた時…。
上空から轟音。
「なんだあれは?」
敵の新手…ではない。
たった2機。
でかい。戦闘機にしてはだが。それ以前にペラがついていない。
噂の…。
「なんだあのデッカいモノ…♂」
ヘリントンも見上げて驚愕する。
今更ジェット機には驚かないが、異形に過ぎた。
全般に三角形のフォルム、グレーとレッドの2機。
それが、敵の新手の全てだが…。
正直2機で何が…!?
そう思った直後、凄まじい弾幕の雨。
「いかん、ブレイク!」
だが一瞬遅く、次々と新鋭コルセアが黒煙と炎と共に墜ちていく。
なんなんだあれは、両翼に大口径機関砲を5門以上づつ…。
しかも口径は30ミリを下らず、初速も桁違い…。
例のモンスターバードの空中掃射タイプと発想は似ているが、機動力と速度が段違い…。
「しかし、たかが2機!爆装組に近づけなければ…!」
そう思ったのも束の間、グレーの方の機体が加速し、先行した爆撃隊の方へ…。
しかも、レッドの機体一機での弾幕射撃も圧倒的であった、我が方のブローニングを優に上回る弾速…。
まさに「空の面制圧兵器」…ッッッ
これが、久保拓也中将直轄の810航空隊、通称「戦略空軍」の戦闘機ならぬ戦略機。
「零風」
「ノルニル」の鮮烈デビューであった。
「やはり事前の友軍B29群による絨毯爆撃が効いておりますな。」
アメリカ海軍、第48任務部隊司令ミッチャー中将は無言で頷く。
旗艦ワスプⅣ含めミッドウェイ級2隻、エセックス級8隻。そしてエンタープライズ。
練度、質において、今この瞬間に関しては合衆国唯一最強の機動戦力である。
「無論失うわけにはいかぬ。
だが、萎縮はせず、大胆かつ慎重に運用する。」
そのミッチャーの方針通り、的確にアリューシャン各方面の飛行場、レーダーサイト等を的確にヒットアンドアウェイで叩いていく。
その立役者が…。
「いやぁスイマセーん♂」
戦闘機隊総隊長ヘリントン大佐が駆るはF8Fベアキャット…ではない。
F4Uー5コルセア。
速度機動性ではベアキャットと互角、
さらに防弾、機体強度ではF6Fヘルキャットをすら上回っていた。
そして…従来の艦爆艦攻を上回るペイロード…。
そう、今回は作戦機の大半が、この新鋭コルセアだったのである。
いわばレシプロ機最強のマルチロールファイター…。
実際コルセア隊は猛威を奮った。
アリューシャン各拠点に配備された零戦54型丁改の敵基地航空隊。
数に劣るとは言え実践経験者揃いの難敵を圧倒とはいかなかったが初実戦が9割のメンツで抑え込み、爆装型の施設空爆をほぼ完璧にフォローした。
こちらの損耗2割近く、というのは若干痛いが…。
「よろしい。
4時間後発進の目標はたしか…」
「キスカ島です。」
ミッチャーの問いに1人の参謀が答えた。
「うむ。確か最も航空戦力の充実した…。
パイロット達には休養を。」
「御意。本日の作戦はそこで終了ですな。」
はたして…現地時間1530、キスカ島の防空圏内に350機の「戦爆連合」は雪崩れ込む。
迎撃する日本海軍航空隊、零戦54型丁改110機。
練度は空母機動部隊やマリアナ方面のベテラン達よりは劣るものの、ほぼ全員に実戦経験はあり、何人かエースクラスも混じっていた。
とは言え、こいつはベアキャット以上にえぐいぜ。
総隊長の菅野直は呟く。
馬力と頑丈さはヘルキャット以上。
実戦経験なくとも十分な訓練を受けていれば、編隊空戦、ズーム&ダイブの反復だけで十分な脅威となる。
「よし、チームAで敵戦闘機隊を抑え、Bはそのまま予定通り各目標空爆!」
ヘリントンの指示通り、コルセアの大群は一斉に加速する。
「やばい!」
馬力荷重の違いか、同高度で会敵のつもりが数百メートル高度の優位を敵に与えてしまった。
「くっ、全機一旦ダイヴで…。」
菅野が機上電話で言いかけた時…。
上空から轟音。
「なんだあれは?」
敵の新手…ではない。
たった2機。
でかい。戦闘機にしてはだが。それ以前にペラがついていない。
噂の…。
「なんだあのデッカいモノ…♂」
ヘリントンも見上げて驚愕する。
今更ジェット機には驚かないが、異形に過ぎた。
全般に三角形のフォルム、グレーとレッドの2機。
それが、敵の新手の全てだが…。
正直2機で何が…!?
そう思った直後、凄まじい弾幕の雨。
「いかん、ブレイク!」
だが一瞬遅く、次々と新鋭コルセアが黒煙と炎と共に墜ちていく。
なんなんだあれは、両翼に大口径機関砲を5門以上づつ…。
しかも口径は30ミリを下らず、初速も桁違い…。
例のモンスターバードの空中掃射タイプと発想は似ているが、機動力と速度が段違い…。
「しかし、たかが2機!爆装組に近づけなければ…!」
そう思ったのも束の間、グレーの方の機体が加速し、先行した爆撃隊の方へ…。
しかも、レッドの機体一機での弾幕射撃も圧倒的であった、我が方のブローニングを優に上回る弾速…。
まさに「空の面制圧兵器」…ッッッ
これが、久保拓也中将直轄の810航空隊、通称「戦略空軍」の戦闘機ならぬ戦略機。
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