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鋼鉄の野獣たち
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さすがはパットン…といった所か。」
執務室で、僕はフランス方面の地図を見つめる。
正直これではパリを護るのは難しい。
無理に死守命令を出し、パリを廃墟と化すまで抗戦すれば…。米英の世論からの糾弾は避けられない。
史実通り、いや、史実よりもソフトランディングな形で連合国軍に明け渡すのが正解で有ろう。
パリ以外の箇所の戦闘で、引き続き敵に史実以上の出血を強いつつ、ドイツ本土まで一旦撤収していく…。「
という方針しかないか。
幸い空軍力、装甲兵力は相当数温存できている。
例えばフランスに基地を築けたことで激化するであろう連合軍の本土空襲にも、かなりの程度まで対応は出来る。
防空体制が強化されるほど、兵器、資源生産設備が空爆から守られ、史実以上に戦力が増強されるという好循環を生むのだ。
またドイツ本土となれば地上兵力においても反撃密度が増し、簡単には侵攻も許さない体制が出来る筈。
少なくとも「この世界」においてはだ。
そして東部戦線…。
ソ連赤軍の物量は膨大だ。
史実と同じく、独ソ戦開始時の線まで最終的には退くことにはなるだろう。
これは如何ともなし得難い国力の差だ。たとえ僕が2年早くヒトラーに転生してスターリングラードやモスクワを奪取していたとしても大枠での展開は変わらないだろう。
マンシュタインがお家芸の機動防御戦術において各地で善戦を見せてはいるが、それにも限度がある。
真の勝負はポーランドでの攻防になる…。
そこまで思いを巡らせたところで、秘書の女性が報告書を運んできた。
情報部より、太平洋戦線の戦況を伝えるものであった。
母国…いや、同盟国日本が、1944年7月末時点において未だに、要衝マリアナ諸島を堅持している。
やはり6月のマリアナ沖海戦にて、辛勝とはいえアメリカ機動部隊を退けたのが大きいか。
1943年の初頭からの「総統からの贈り物」の数々が効いたのだと思いたい。
歴史の歯車は、ここでも切り替わりつつある…。
深夜、私室をカティアが訪ねてきた。
(因みにエヴァとも数日に一回は逢っているが。)
「どうかな?ジェット機の乗り心地は?」
「素晴らしいです。総統。ガーランド将軍の言われる通り、天使に後押しされているような乗り心地で…。
でも、私個人は、フォッケウルフの方が…。なんというか、どんな無茶な操縦にもついてきてくれる安心感がありました。他のパイロットともそう話している所です。」
「なるほどな。ジェット機というカテゴリー自体が未だ黎明期だから、そう思ってしまうのも仕方ないかもしれない。
腕に覚えのあるベテランほど、レシプロエンジン機に愛着が有ったりするのかもな。
だがそのフォッケウルフ社のタンク博士も、次世代のジェット機を今鋭意設計開発しているところだ。
いずれすべての軍用機のみならず、民間機もジェット式に切り替わるだろう。」
「時代の変わり目にいるのですね、私たち…。より完成度の高い機体に乗るのが今から楽しみです。」
カティアはそう言って、僕に縋りついてきた。
死闘
東部戦線 ソ連 ミンスク西方
「次!」
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル中佐が駆るJu87Gシュトゥーカは、修羅の如く眼下のソ連戦車群を屠っていった。
翼の下に37㎜機関砲を装備したこの機体は、操縦性が恐ろしく悪い。
それでもルーデルは、手足の如く愛機を操り、何度となく死地から生還していた。
「糞ッ!また来やがった、墜ちやがれ!」
後部機銃手を務める相棒、ガーデルマンが、後方から迫るソ連軍戦闘機に必死に機銃を撃つ。
だが命中はせず、ぐんぐん敵は迫ってくる。
「なんとか振り切る!」
ルーデルは左右に機体を振る。
「うあああ来る、来る!」
ガーデルマンの声が上ずった時。
敵機の翼が吹き飛ぶ。
味方…⁉
高速でルーデル機を追い抜いていく影。
「ふいー、助かりましたね中佐。」
「ああ、あれが噂のジェット機か。」
「これで3機目、燃料はまだあるが…。」
メッサーシュミットMe262のコクピットで、エーリヒ・ハルトマンは独りごちた。
「俺や部下にとっては未知のジェット機、ここはさっさと帰投しよう。」
常に敵よりも優位を占めることを心掛け、状況により無理はしても無茶はしない。
この慎重さが、300機以上撃墜という空前の武功を支えてきたのだ。
ハルトマンのMe262はスピードを落とさず、3機の僚機を引き連れて戦場を離脱した。
各方面で、戦闘においてはドイツ軍はソ連に対し優位を保っていたが、戦略的には後退を重ね、じわじわとポーランド国境付近まで追いやられつつあった。
にもかかわらず、ソ連赤軍最高司令官代理ジューコフの顔色は優れなかった。
この日、モスクワ・クレムリンに召喚されていたのである。
「ジュ~コフ、今日は何月何日だ?」
「はっ、8月…25日であります。同志スターリン。」
「おかしいな…8月15日にはポーランドまでわが赤軍は解放しておる筈ではなかったかの…?」
スターリンの足元では犬がけたたましく鳴いている。
「も、申し訳ございません。ファシストどもの粘りが予想以上で御座いまして…。
ポーランド国境付近に奴らは兵力を集中させ堅守の構えで有ります。突破には今少しの準備を…。」
鈍い銃声。床に血糊が飛び散る。
スターリン自らが、犬の頭部をトカレフで撃ち抜いたのだ。
「こいつは夜中吠えまくって、私の安眠を妨害しておったからな、モスクワの某所に居たのをゲーペーウーに連れてこさせたのだ…
で、ジューコフ、今日は何月何日だ⁉」
ジューコフは最敬礼した。
「ははっ!!全兵力を集約し、ポーランド国境のファシストどもを粉砕、直ちにワルシャワへの道を切り拓いてご覧に入れます!」
8月27日、ソ連軍はさらに増援を得た上で、ポーランド国境に迫る。
それに対しドイツ軍はワルシャワへの扉とも言えるブレストに戦力を結集、ソ連軍を決戦へと誘う。
結集した第2、第4、第9親衛戦車軍をはじめとするソ連軍戦車群、実に8500両。
対するドイツ軍は第2SS装甲師団、第4装甲軍を中心に2800両
かくて独ソ戦史上空前の大戦車戦の幕が切って落とされた。
ティーガーⅡの8、8cm砲が、IS―2の122mm砲が吼え、パンターが、T―34/85が砂塵を巻き上げ走り回る。
黒煙に覆われた空からは、Ju87やIL―2が死の天使のごとく舞い、それぞれの敵に鉄槌を下す。
「見渡す限り敵だらけじゃねーか!照準の必要もないんじゃないか!
とにかく手を休めず撃ちまくれ!」
クニスペルのティーガーⅡもまさに奮迅の活躍であった。
彼はこの戦いで14両のT―34、4両のIS―2を屠ることになる。
が…ティーガー、パンターの勇戦にもかかわらず、じわりじわりとドイツ側は押されつつあった。
「このまま押し捲れ!一気に突破分断するぞ!こやつらを打ち破れば一息にワルシャワだ!」
ソ連側指揮官の一人、コンスタンチン・ロコソフスキー上級大将は叱咤する。
実際ここを抜きさえすれば、東部戦線にドイツ軍のまともな予備兵力など存在しない筈であった。
徐々にドイツ側の陣形が裂け、それが広がり決壊したかと思われた瞬間。
一両のIS―2が、轟音とともに消し飛ばされた。
「⁉」
まだ前方に敵装甲部隊がいるのか!?
また一両、二両と自軍戦車が吹き飛ばされる。
こちらの有効射程の外側から⁉
ティーガーどころじゃない強力な砲を装備した奴がいるのか⁉
戦車隊指揮官の一人が双眼鏡を覗く。
「あっ…あれは…。」
噂には聞いていたが、ここで実戦投入されるとは…!
ティーガーⅡをベースに設計された、重駆逐戦車…。
12、8cm砲と前面最大250mmの重装甲を有する「巨虎」
ヤークトティーガー!
しかも100両はいる!
12,8cm砲の一斉射撃!
T―34が次々と粉砕され、IS―2もなぎ払われていく。
ソ連軍はパニックとなり、陣形が乱れる。
そこへ両側面へと回ったティーガーⅡ、パンターの部隊が鉄と炎の横槍を浴びせる。
ソ連軍も必死に前方のヤークトティーガーに向け反撃するが、ことごとく重装甲に跳ね返される。
それならばと必死の突撃で、肉薄攻撃を試みるが…。
ティーガーⅡの中隊を率いていたオットー・カリウス中尉。
彼の眼に、ソ連戦車軍の陣形そのものを支える力点が見えた。
長年の経験に基づく勘がもたらした超直感であった。
「全車11時方向に突入せよ‼。」
砲を撃ちまくりながらティーガーⅡが突貫する!
周囲のパンター戦車群もそれに追随し、ソ連戦車群の陣形に深々とくさびを打ち込む
戦場全体の、ソ連軍を支えていたバランスが一気に崩れた。
ソ連軍は崩壊した。
ヤークトティーガー、ティーガーⅡ、パンターが織りなす十字砲火に、急激にその数を減じていく。
「いかん!退くな!逃げるな!前に出…。」
そう叫んでいたロコソフスキーの指揮車も砲火に巻き込まれ、彼はあえなく戦死した。
包囲殲滅の危機からは、辛うじて脱したソ連軍で有ったが、じつに6900両の戦車を失う大打撃を被った。
一方ドイツ側も750両を失うという、無視できぬ損害ではあったが、ポーランド圏内へのソ連赤軍侵攻を食い止めるという戦略的目標は果たしたのであった。
執務室で、僕はフランス方面の地図を見つめる。
正直これではパリを護るのは難しい。
無理に死守命令を出し、パリを廃墟と化すまで抗戦すれば…。米英の世論からの糾弾は避けられない。
史実通り、いや、史実よりもソフトランディングな形で連合国軍に明け渡すのが正解で有ろう。
パリ以外の箇所の戦闘で、引き続き敵に史実以上の出血を強いつつ、ドイツ本土まで一旦撤収していく…。「
という方針しかないか。
幸い空軍力、装甲兵力は相当数温存できている。
例えばフランスに基地を築けたことで激化するであろう連合軍の本土空襲にも、かなりの程度まで対応は出来る。
防空体制が強化されるほど、兵器、資源生産設備が空爆から守られ、史実以上に戦力が増強されるという好循環を生むのだ。
またドイツ本土となれば地上兵力においても反撃密度が増し、簡単には侵攻も許さない体制が出来る筈。
少なくとも「この世界」においてはだ。
そして東部戦線…。
ソ連赤軍の物量は膨大だ。
史実と同じく、独ソ戦開始時の線まで最終的には退くことにはなるだろう。
これは如何ともなし得難い国力の差だ。たとえ僕が2年早くヒトラーに転生してスターリングラードやモスクワを奪取していたとしても大枠での展開は変わらないだろう。
マンシュタインがお家芸の機動防御戦術において各地で善戦を見せてはいるが、それにも限度がある。
真の勝負はポーランドでの攻防になる…。
そこまで思いを巡らせたところで、秘書の女性が報告書を運んできた。
情報部より、太平洋戦線の戦況を伝えるものであった。
母国…いや、同盟国日本が、1944年7月末時点において未だに、要衝マリアナ諸島を堅持している。
やはり6月のマリアナ沖海戦にて、辛勝とはいえアメリカ機動部隊を退けたのが大きいか。
1943年の初頭からの「総統からの贈り物」の数々が効いたのだと思いたい。
歴史の歯車は、ここでも切り替わりつつある…。
深夜、私室をカティアが訪ねてきた。
(因みにエヴァとも数日に一回は逢っているが。)
「どうかな?ジェット機の乗り心地は?」
「素晴らしいです。総統。ガーランド将軍の言われる通り、天使に後押しされているような乗り心地で…。
でも、私個人は、フォッケウルフの方が…。なんというか、どんな無茶な操縦にもついてきてくれる安心感がありました。他のパイロットともそう話している所です。」
「なるほどな。ジェット機というカテゴリー自体が未だ黎明期だから、そう思ってしまうのも仕方ないかもしれない。
腕に覚えのあるベテランほど、レシプロエンジン機に愛着が有ったりするのかもな。
だがそのフォッケウルフ社のタンク博士も、次世代のジェット機を今鋭意設計開発しているところだ。
いずれすべての軍用機のみならず、民間機もジェット式に切り替わるだろう。」
「時代の変わり目にいるのですね、私たち…。より完成度の高い機体に乗るのが今から楽しみです。」
カティアはそう言って、僕に縋りついてきた。
死闘
東部戦線 ソ連 ミンスク西方
「次!」
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル中佐が駆るJu87Gシュトゥーカは、修羅の如く眼下のソ連戦車群を屠っていった。
翼の下に37㎜機関砲を装備したこの機体は、操縦性が恐ろしく悪い。
それでもルーデルは、手足の如く愛機を操り、何度となく死地から生還していた。
「糞ッ!また来やがった、墜ちやがれ!」
後部機銃手を務める相棒、ガーデルマンが、後方から迫るソ連軍戦闘機に必死に機銃を撃つ。
だが命中はせず、ぐんぐん敵は迫ってくる。
「なんとか振り切る!」
ルーデルは左右に機体を振る。
「うあああ来る、来る!」
ガーデルマンの声が上ずった時。
敵機の翼が吹き飛ぶ。
味方…⁉
高速でルーデル機を追い抜いていく影。
「ふいー、助かりましたね中佐。」
「ああ、あれが噂のジェット機か。」
「これで3機目、燃料はまだあるが…。」
メッサーシュミットMe262のコクピットで、エーリヒ・ハルトマンは独りごちた。
「俺や部下にとっては未知のジェット機、ここはさっさと帰投しよう。」
常に敵よりも優位を占めることを心掛け、状況により無理はしても無茶はしない。
この慎重さが、300機以上撃墜という空前の武功を支えてきたのだ。
ハルトマンのMe262はスピードを落とさず、3機の僚機を引き連れて戦場を離脱した。
各方面で、戦闘においてはドイツ軍はソ連に対し優位を保っていたが、戦略的には後退を重ね、じわじわとポーランド国境付近まで追いやられつつあった。
にもかかわらず、ソ連赤軍最高司令官代理ジューコフの顔色は優れなかった。
この日、モスクワ・クレムリンに召喚されていたのである。
「ジュ~コフ、今日は何月何日だ?」
「はっ、8月…25日であります。同志スターリン。」
「おかしいな…8月15日にはポーランドまでわが赤軍は解放しておる筈ではなかったかの…?」
スターリンの足元では犬がけたたましく鳴いている。
「も、申し訳ございません。ファシストどもの粘りが予想以上で御座いまして…。
ポーランド国境付近に奴らは兵力を集中させ堅守の構えで有ります。突破には今少しの準備を…。」
鈍い銃声。床に血糊が飛び散る。
スターリン自らが、犬の頭部をトカレフで撃ち抜いたのだ。
「こいつは夜中吠えまくって、私の安眠を妨害しておったからな、モスクワの某所に居たのをゲーペーウーに連れてこさせたのだ…
で、ジューコフ、今日は何月何日だ⁉」
ジューコフは最敬礼した。
「ははっ!!全兵力を集約し、ポーランド国境のファシストどもを粉砕、直ちにワルシャワへの道を切り拓いてご覧に入れます!」
8月27日、ソ連軍はさらに増援を得た上で、ポーランド国境に迫る。
それに対しドイツ軍はワルシャワへの扉とも言えるブレストに戦力を結集、ソ連軍を決戦へと誘う。
結集した第2、第4、第9親衛戦車軍をはじめとするソ連軍戦車群、実に8500両。
対するドイツ軍は第2SS装甲師団、第4装甲軍を中心に2800両
かくて独ソ戦史上空前の大戦車戦の幕が切って落とされた。
ティーガーⅡの8、8cm砲が、IS―2の122mm砲が吼え、パンターが、T―34/85が砂塵を巻き上げ走り回る。
黒煙に覆われた空からは、Ju87やIL―2が死の天使のごとく舞い、それぞれの敵に鉄槌を下す。
「見渡す限り敵だらけじゃねーか!照準の必要もないんじゃないか!
とにかく手を休めず撃ちまくれ!」
クニスペルのティーガーⅡもまさに奮迅の活躍であった。
彼はこの戦いで14両のT―34、4両のIS―2を屠ることになる。
が…ティーガー、パンターの勇戦にもかかわらず、じわりじわりとドイツ側は押されつつあった。
「このまま押し捲れ!一気に突破分断するぞ!こやつらを打ち破れば一息にワルシャワだ!」
ソ連側指揮官の一人、コンスタンチン・ロコソフスキー上級大将は叱咤する。
実際ここを抜きさえすれば、東部戦線にドイツ軍のまともな予備兵力など存在しない筈であった。
徐々にドイツ側の陣形が裂け、それが広がり決壊したかと思われた瞬間。
一両のIS―2が、轟音とともに消し飛ばされた。
「⁉」
まだ前方に敵装甲部隊がいるのか!?
また一両、二両と自軍戦車が吹き飛ばされる。
こちらの有効射程の外側から⁉
ティーガーどころじゃない強力な砲を装備した奴がいるのか⁉
戦車隊指揮官の一人が双眼鏡を覗く。
「あっ…あれは…。」
噂には聞いていたが、ここで実戦投入されるとは…!
ティーガーⅡをベースに設計された、重駆逐戦車…。
12、8cm砲と前面最大250mmの重装甲を有する「巨虎」
ヤークトティーガー!
しかも100両はいる!
12,8cm砲の一斉射撃!
T―34が次々と粉砕され、IS―2もなぎ払われていく。
ソ連軍はパニックとなり、陣形が乱れる。
そこへ両側面へと回ったティーガーⅡ、パンターの部隊が鉄と炎の横槍を浴びせる。
ソ連軍も必死に前方のヤークトティーガーに向け反撃するが、ことごとく重装甲に跳ね返される。
それならばと必死の突撃で、肉薄攻撃を試みるが…。
ティーガーⅡの中隊を率いていたオットー・カリウス中尉。
彼の眼に、ソ連戦車軍の陣形そのものを支える力点が見えた。
長年の経験に基づく勘がもたらした超直感であった。
「全車11時方向に突入せよ‼。」
砲を撃ちまくりながらティーガーⅡが突貫する!
周囲のパンター戦車群もそれに追随し、ソ連戦車群の陣形に深々とくさびを打ち込む
戦場全体の、ソ連軍を支えていたバランスが一気に崩れた。
ソ連軍は崩壊した。
ヤークトティーガー、ティーガーⅡ、パンターが織りなす十字砲火に、急激にその数を減じていく。
「いかん!退くな!逃げるな!前に出…。」
そう叫んでいたロコソフスキーの指揮車も砲火に巻き込まれ、彼はあえなく戦死した。
包囲殲滅の危機からは、辛うじて脱したソ連軍で有ったが、じつに6900両の戦車を失う大打撃を被った。
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