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人類への宣戦
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唐突だが筆者の記録したインタビューを、ここに記す。
本作の主役たるGを見た、あるいは戦った人々の回想である。
それを「G」視点と入れ替わりに記していきたいと思う。
2026年に尖閣諸島沖で実質初めてあの超怪獣と戦った人民解放軍海軍の元中尉である。
機密の為本名は隠す。
「はい。自分はあの時、ある新鋭イージス艦の戦闘指揮所…CICに居ました。
最初は訳がわかりませんよ。
あなた方の国が好んで作るような映画に出てくる、フィクションにしか存在しない筈の怪獣、黒い龍がいきなり現れて、空母戦闘機隊が全滅したというんですからね。
でも負けるとは思っていませんでした。
私の乗っていた岳飛級ならば、アメリカやあなたの国のそれも凌駕する。
世界最強の艦だと信じて疑いませんでしたから。
あの時祖国が西太平洋をいずれ牛耳る世界の覇者となると信じて疑わなかったように。
今Gと呼ばれている奴に関しても、当然驚きはしましたが害獣駆除の感覚でいましたから。
多分艦隊司令部も含めてね。
子供の頃住んでた村の近所で、人食い熊が現れて一時パニックになりましたが、猟師のライフルで結局斃されましたから。
人智を超えた怪物や怪獣などいない。
驚くような奴が現れても結局人類の科学兵器には勝てない。
ましてあの時のライフルの何万倍もの火力がここにはある。
私たちの祖国が人類で1番、それらを造る叡智を磨いてきた。
人類を超えた怪獣だろうが問題じゃない。他の国の軍隊ならいざ知らず。
ええ、本気でそう信じていたんです。
だが、いきなり水中を70ノット以上で驀進してきた奴に、ものの見事にその信仰はへし折られました。
旗艦の正規空母、遼寧の船体と共に。
大げさでなく、ソナー群が感知したと思ったらあっという間に輪形陣中央に入り込まれていたんです。
対潜水艦用の魚雷や各種兵器が追いつかないうちに、黒い龍の腕力で司令部ごと空母が葬られて…。
あとはパニックでした。
断片的な動画は残っていますが。
とにかく当たりさえすればいつかは死ぬだろうとばかりに対艦ミサイルや速射砲、魚雷を半ばは目視で撃ち込みまくりましたが…本当にGの皮膚に傷一つつけられないんです。
中には真・空母殺しと言われる大型の、極超音速ミサイルもあった筈なんですが…。
で、あとは記録の通りです。
反撃の熱線の2斉射。
それだけで大小50隻の艦隊は全滅です。
私が軽傷で済んだのは奇跡でした。
皮肉にも海上で気を失っているところを、アメリカ海軍のヘリに救助されたわけですが…。
人心地ついたら、すぐに亡命を希望しましたね。
それまでは祖国の共産党政府に畏怖もあり恐怖もありましたが、所詮ヒトの作った権力構造や軍事力など、「奴」の前では砂の城同然なんだと思い知らされましたから。骨の髄まで。
だったら、自分の自由意思で、奴…Gのことを調べるなり、戦うなり逃げるなり、選択肢の多い方を選びますよ。
同じ運命でも自分で考えて、というのが違いますからね。
ただ、やはり、祖国や家族、同胞人民の辿った運命を思うとね、今でも薬なしではねむれないんですよね…。」
筆者注・現在この元少尉は名前、戸籍等をリセットされ、監視と保護の元、国連軍のアドバイザーとして新しい人生を選んでいる。
本作の主役たるGを見た、あるいは戦った人々の回想である。
それを「G」視点と入れ替わりに記していきたいと思う。
2026年に尖閣諸島沖で実質初めてあの超怪獣と戦った人民解放軍海軍の元中尉である。
機密の為本名は隠す。
「はい。自分はあの時、ある新鋭イージス艦の戦闘指揮所…CICに居ました。
最初は訳がわかりませんよ。
あなた方の国が好んで作るような映画に出てくる、フィクションにしか存在しない筈の怪獣、黒い龍がいきなり現れて、空母戦闘機隊が全滅したというんですからね。
でも負けるとは思っていませんでした。
私の乗っていた岳飛級ならば、アメリカやあなたの国のそれも凌駕する。
世界最強の艦だと信じて疑いませんでしたから。
あの時祖国が西太平洋をいずれ牛耳る世界の覇者となると信じて疑わなかったように。
今Gと呼ばれている奴に関しても、当然驚きはしましたが害獣駆除の感覚でいましたから。
多分艦隊司令部も含めてね。
子供の頃住んでた村の近所で、人食い熊が現れて一時パニックになりましたが、猟師のライフルで結局斃されましたから。
人智を超えた怪物や怪獣などいない。
驚くような奴が現れても結局人類の科学兵器には勝てない。
ましてあの時のライフルの何万倍もの火力がここにはある。
私たちの祖国が人類で1番、それらを造る叡智を磨いてきた。
人類を超えた怪獣だろうが問題じゃない。他の国の軍隊ならいざ知らず。
ええ、本気でそう信じていたんです。
だが、いきなり水中を70ノット以上で驀進してきた奴に、ものの見事にその信仰はへし折られました。
旗艦の正規空母、遼寧の船体と共に。
大げさでなく、ソナー群が感知したと思ったらあっという間に輪形陣中央に入り込まれていたんです。
対潜水艦用の魚雷や各種兵器が追いつかないうちに、黒い龍の腕力で司令部ごと空母が葬られて…。
あとはパニックでした。
断片的な動画は残っていますが。
とにかく当たりさえすればいつかは死ぬだろうとばかりに対艦ミサイルや速射砲、魚雷を半ばは目視で撃ち込みまくりましたが…本当にGの皮膚に傷一つつけられないんです。
中には真・空母殺しと言われる大型の、極超音速ミサイルもあった筈なんですが…。
で、あとは記録の通りです。
反撃の熱線の2斉射。
それだけで大小50隻の艦隊は全滅です。
私が軽傷で済んだのは奇跡でした。
皮肉にも海上で気を失っているところを、アメリカ海軍のヘリに救助されたわけですが…。
人心地ついたら、すぐに亡命を希望しましたね。
それまでは祖国の共産党政府に畏怖もあり恐怖もありましたが、所詮ヒトの作った権力構造や軍事力など、「奴」の前では砂の城同然なんだと思い知らされましたから。骨の髄まで。
だったら、自分の自由意思で、奴…Gのことを調べるなり、戦うなり逃げるなり、選択肢の多い方を選びますよ。
同じ運命でも自分で考えて、というのが違いますからね。
ただ、やはり、祖国や家族、同胞人民の辿った運命を思うとね、今でも薬なしではねむれないんですよね…。」
筆者注・現在この元少尉は名前、戸籍等をリセットされ、監視と保護の元、国連軍のアドバイザーとして新しい人生を選んでいる。
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