拳の価値は〜いじめで人生詰んだ僕がチート超戦士になり国を守る!【現実を異世界にします!?】

俊也

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報復 下

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「フン…空手かなんかか?そんなにやれてなんで今までいいようにヤラれてた?マゾかオメー!?」
福井はまだ、表情に余裕がある。
何かあるな。
「その」何かをする暇は与えんッ!
高志はダッシュし、距離を詰める。
その時目の前に影。
福井が意識を失った手下の身体を半ば投げつけて、足止めをしたと気づいたのは、辛うじて騎馬立ちの態勢で転倒を防いでからだった。
チャキッ

!!!

拳銃…
再び、福井の下卑た笑みが浮かぶ。
「残念だったなァ、正義マン君。」
「…トカレフか、流石にそれをやったら貴様の頼りのパパでもフォローしきれないんじゃねーか?」
「テメーが気にすることじゃねえ、親父以外でも、俺には奈路海組の幹部がバックに居るからよぉ。」
なるほどね。
「テメーみてえな底辺キモオタが死のうが、マスコミも警察も大して気にはしねえ。
ましてここならハジキの音も人の耳には入らねえ。」
「…」
距離5メートル前後ってとこか…。
アレを発動しても成功率は10%切るな。
中途半端に近寄ってくれればよいが敵もさるもの、警戒している。
どうする。考え…
いや演算しろ!
「四つん這いになれや!そっからまずは手足を一発づつ撃って潰す。」
ゆっくりと脱力しつつ、膝と腰を曲げ始める高志。
「オラあくしろぅ!!」
まさかいきなり「対銃火器」という実戦武道の極限の想定に晒されるとは。
正直、怖れもあるが、この程度の状況を覆せないで、先生の、そして…

!!??

消えた!?
福井の目にはそう映った。
銃声!反射的に撃つが、入れ替わりに右肩付け根に激痛!!
「ぬごあっ!?」
馬鹿な!あの距離から…。
片膝をついてしまう福井、右腕全体が痺れ上がり拳銃を落としてしまう。

迫真空手神崎流・桜花突!

決まった!決められた!
高志は激しい動悸の中満足した。
古武道に伝わる、いわゆる「縮地」
それを全身を完全脱力し、裏もものアクセル筋の瞬間出力と自然の重力を最大限に利用して実践、まさに瞬間移動を成し遂げ、正拳突きとコンボさせたのだ。
現在の、100メートル走、世界記録保持者のスタート時初速が秒速8メートル。
しかし桜花突の初速、実に秒速12メートル!
まだ速度と射程距離に関しては伸び代があるな。
足元の拳銃を遠くへ蹴り飛ばしつつ、高志は意識の隅で考えた。
「ぐ…クソがぁ…認めねぇ、俺は認めねぇぞ。」
無理矢理に、脂汗を垂らしつつも立ち上がる福井。
へえ、意外と根性が…。
!!
福井のミドルキック!
咄嗟にバックステップするが左脇をかすめ、かすかな衝撃をもたらす。
「倒し切ったと思っても気を抜くな!残心の念だ!!」
そう、脳内の東郷先生に叱咤される。
それにしても…
この福井…ただの体格とケンカ自慢の素人では…。
今のミドルキック、明らかに「やり込んで」いる。
畳みかけるように左のロングフック。身長差的には半ば打ち下ろしのような。
先生のスピードには遠く及ばないとは言え、辛うじて廻し受けで捌く。それでも痺れる。
…逆に高志の怒りは加速した。
これだけの才能と体格、恵まれた環境にありながら、何で…。
銃なんかに頼った!?
いや、あんな外道な罪を犯した!?
やはりこいつは。
右下段蹴り一閃!
激痛ゆえだろうか、フックを捌かれた後のわずかな身体のぶれ。その隙に叩き込まれた高志のそれは、福井の左膝を完全破壊した。
「はぎああああっ!?」
他人からここまで傷つけられるのは初めてであろう。
勿論、到底こんなんでは。
返しの左で、金的を蹴りつぶす。
苦痛に転げ回る福井。
しかし、十数秒後、ある類の強烈な思念を高志から感じ取り、痛みを一時忘れて視線を向ける。

「テ、テメー!ま、まままさか!?」
「白石絵梨花さんを覚えているか?」
すでに死神の声となっていた。
「んだと…」
「3年前貴様が凌辱し、自殺に追い込んだ女性の名だ。
被害者の方も、ご家族の方も、どれだけ痛みと苦痛を味わった事か。
今から貴様を処刑して、その御無念を多少なりとも晴らす!」
ただでさえ苦痛に歪んでいた福井の顔から、さらに血の気が引く。
「オ、オメー…頭おかしいだろ!?したらお前も殺人犯に…。俺のバックも、親父も黙って…」
「だろうね。だが俺も、どうせなら貴様の様な屑でこちらの童貞も捨てておきたい」
「ちょ、まてお!
俺は裁判では無罪に…」
「世界的企業の役員様に忖度しまくったそんなものは無効だ。」
「あひいいいいいっ、ややややめてくれえ、し、死にたくない。
そ、そうだ、金は全部返す…い、いや、プラスで3000万!お、親父にた、頼めばそんぐらい…。い、いのちだけは、なんでもやる、いや、なんでもしますから…」
「…とことん屑だな。
いままでそうして僕や白石さんや、他の弱い人々が哀願しても、一切聞かずに嗤いながら踏み躙ってきただろうがあああっ!!」
渾身の力を込め、高志は福井の腹に突き込んだ。
右貫手を。
半端に腹筋鍛えてやがるな、深さ2センチ以降は中々…。だが、絶対に貫通させる。
「うおおおおおおおおおおお!!」
「がぎあえええええええええ!?」

「ぬがおらあああああああああっ!!!」
ぞぶり、という音と共に、生暖かい感触。更に手首を捻り、内臓を抉る。
迸るおびただしい鮮血。

「あぎいっ、ごあああああ!?」
また異質の苦痛に、のたうち回る福井。
「昔の介錯無しの切腹は、死に切れるまでに相当苦しむらしいな。丸一日ってこともあるらしい。
ここでは銃声も周りに聴こえない?
じゃあ貴様のようなクズの悲鳴なら尚更だな。
しばし生き地獄を味わって、それから特上の地獄へ堕ちろ。」
「あかががががが、ぎ、しょんな、がっ、きゅ、救急車。」
「悪魔にでも祈っとけ。」

高志の思考は既に次の行動に切り替わっていた。
自分では冷徹に全てを遂行しているつもりだった。
故に気づかなかった。
流れ出る自らの涙に。
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