拳の価値は〜いじめで人生詰んだ僕がチート超戦士になり国を守る!【現実を異世界にします!?】

俊也

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決意

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所轄警察のパトカー数台が、現場に駆けつけたのは実に4時間後であった。
スマホも壊されるか没収されるかした、半グレ達。
どうにか一人が文字通り這いずり敷地外に出て、通りすがりの車に手を挙げ気付いてもらわなければ、通報はもっと遅れたであろう。
「うっわ…酷いなこりゃ。」
山下警部は、周囲を一瞥し部下達に向け呻いた。
「一人、腹を刺された男性、病院で治療中、死亡が確認されたようで。」
「ナリからして半グレ…しかし、確か美沢高校の生徒達が混じってたとか?」
「はい、生徒手帳から…彼らも重傷で意識はありませんが、命に別状はありません。他の面々も。」
「グループ同士の抗争か?」
そこへ部下の一人が駆け寄る。
「警部、純正品のトカレフが一丁!」
「何?」
「てえと、マル暴か。ハネ回り過ぎてシメられたってとこですかね?」
「にしては、やり方が全般に雑過ぎないか?
そもそも、ガイシャで誰か喋れる奴はいないのか?」
「それが…。例の通報に繋がった少年が、意識を失う前に言ったそうです。『クソガキが…』と。」
「ううむ…」

さしもの警察も、推測すらしようもないことであった。
一連の惨禍が、「たった一人の少年の素手」でもたらされたことを。

…新幹線に乗るのは、中学の時の家族旅行以来だな。
乗り心地が、空を飛んでいる様で気持ちいい。
夜景から目線を外し、神崎高志はスマホに電源を入れる。
ニュースサイトは、「愛知県で19歳少年不審死、他重傷者多数。殺人の疑い濃厚」
とのみ。報じていた。
福井の過去の所業も書けよ…。
そう思いつつ、探知を警戒して直ぐに電源を切る。
とは言え…
警察が本腰入れても、まだ俺には辿り着けまい。
最悪マークされていても、高速移動体の中なら…
それにいずれ…。
着いた。
東京、品川駅。
中学の時の修学旅行以来か。
去年まで続いた世界的疫病禍時の閑散がウソのように、遅い時間にも関わらず、人混みが凄い。
高志はトイレの個室に入り、福井から丸々奪った財布を改めて開ける。
へっ、大したもんだ。
目視で100万円以上は入ってる。
勿論神崎家が奪われた分には届かない。
いずれ奴の親からなんらかの形で取り立ててやる。
取り敢えず、3分の1は実家に現金書留で送ろう。
両親からは息子を案じるメッセージが何件かあったが、先刻、何も心配いらないよ、とのみ返してある。

トイレを出る。
まずは休みつつ、今後の展開を考えないと。
コンビニで台湾混ぜそばとスポーツドリンクを買い、直近のシティホテルにチェックインする。

因みに返り血を浴びた学校制服は、一旦身長が一番近い梅沢のと差し替え、豊橋のファストファッションで一式適当な私服を揃えて現在着ている。
まずは部屋に入って食事をかき込む。
まるで出張サラリーマンだな。
内心苦笑しながら、シャワーを浴びる。
血の匂い。まだ残っているなら流し切らないとな。シャンプー、ボディーソープを普段の倍使う。
テレビニュースをチェックしたが、ネットと変わらず福井の名前も顔も出てこない。
直ぐに切った。
ベッドに横たわる。
ふぅ…。
この一週間強の間、単なる人生の転換点、自分自身の成長などと言う表現では済まされないレベルで、あまりにも激しく周囲の世界が揺るぎ過ぎた。
それまでの人生の優に100倍の濃密さ…
出逢いも…。
東郷先生ではなく、さくらの顔が浮かぶ…。
いかん、年齢相応の欲求が…。
そこに白石七瀬との会話の記憶が割り込んで来て、なんやかや相殺されたが。
…別に、今後の人生禁欲的に生きる気はさらさらない。
だが。今はその時ではない。
自分の右手を見つめる。
もう既に一線を…、この手で一人の命を奪っているのだ。
いかに相手が救いようのない屑とは言え。
もう後戻りは出来ないのだ。
この狂気の鍛錬の果てに作り上げた拳。
まずは、この日本の、福井の様な弱いものを踏みにじって平然としている奴らを斃していく。
それが正義かどうかはわからない。
だが、大義ではあろう。 
やるぞ。俺は。

最初の目標は、既に決めている。

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