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謁見
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アナの1歩はショノウの約2歩分だ。ちょこちょこっと足を早く回転させながらアナを追いかける。
「あ、ごめんねショノウ君。ちょっと早かったね」
スピードを少し緩めてショノウと横並びで歩く。
先程まで寝ていた部屋と全く同じ全面白いタイルで異質な雰囲気だった。そして歩くとコツコツと足音が遠くまで響く。
「もう少しでつくからね」
そう言って間もなく今まで人が4人分同時に通れるくらいの大きさ(それでも大きいが)の廊下を歩いていたのが急に開けた部屋にでる。
扉など通ってもいないのに不思議と開けた場所に出たのだ。
「不思議でしょ?」
自分は知っているとばかりのドヤ顔でこちらの顔を微笑みながら見る。
「うん」
愛想ない返事をして説明なんて入らないよとこちらも返すが…
「ここはね、凄いベールで錯視されているようになっているんだ。普通の人は入れないようにね」
「へ、へぇ」
説明も求めていないのに説明されて相槌をうつ。要は『普通じゃない人』なら入れるということなのだ。
「だからね、王様を見たことがある人も少ないんだよ?」
なるほど~とコクコクと頷く。
そして歩き進めていくと大きな玉座に腰掛けている人物がいた。
一目見てすぐにわかる、王様だと。
短髪で切りそろえられた髪の毛に全身紫色っぽいローブを着て骸骨のような杖を握っている。
「ようこそ、魔王城ラスガリラへ!」
「は、はぁ」
「どうやら戸惑っているらしいな。まあそれもそうだろう。実際には城のことではなくこの地域のことをラスガリラと呼ぶんだがどうもそのへんが異種族には理解してもらえなくてな~」
溜息をついた王様はどうやら魔王だったらしい。
「ところで君の名前はなんというのだ?」
ドキッとする。先程アナに名付けられた名前を名前としても良いのかと。
しかし、折角つけてもらった名前だからこれからもそうしようーー
「ショノウ。ショノウです」
「そうか、ショノウか。ではショノウ改めてよろしく」
「よ、宜しくお願いします」
魔王と喋っているのだ。多少なりとも緊張はする。
「では質問を一つだけいいかな? 君はドリールドで何をしていた?」
またもやドキッとする質問だ。記憶を失っていたということを正直に話すべきかーー
ちらっと魔王の目をみると何もかも見透かれそうな紫色の瞳がジッとこちらを見ている。
そこで決心した
「ドリールドという場所は聞いたことがないですが、僕は記憶を失って彷徨っていただけです。信じてもらえないかもしれませんが」
「記憶…記憶か。ハハハハハ!信じる! 信じるぞ」
どこか思い出そうとして上の方を見上げる魔王は急に笑い出した。
どうしてそうも簡単に信じてもらえたのかはよく分からないが。
「そこで彷徨っていた君は意識を失ったんだね?」
大きく首を縦にふる。
「ではその後の事を説明しようか。まずこれ」
魔王が片手で自分が仕留めた熊の顔面を掴んで掲げている。
「これはな、爪熊といって熊の中でもかなり凶暴な熊なのだよ。これを仕留めたのは君であるな?」
「はい」
「この爪熊は屈強な人間の冒険者10人でも恐らく壊滅されるであろう動物なのだよ。まあ冒険者の強さがイマイチ分からないと思うが、強い部類の動物を君は倒したということなのだ」
(それってすごいのかな)
「そしてこれ」
今度はその熊を倒した時に使った木を掲げる。
「これはヤヌスガエラと言って私も何100年か前に1度だけ見たことがあるくらい貴重な代物なのだぞ? 現にこの杖はヤヌスガエラだし。どこで見つけたのだ?」
(これもすごいの!?)
「あの…なんか拾いました」
「何たる幸運の持ち主だ! これを1日預からせてもらっても良いか?」
「どうぞどうぞ」
「ありがとう。では君は記憶を失っているということなのでこの世界の説明でもザッとしようか。そうそう、君の名前だけ聞いて忘れておった。私の名前は魔王ガルディアーナだ。さん付けなどいらぬ。ガルディアーナと呼んでくれ」
「わかったガルディアーナ!」
微笑みで返事を返す。
「また思い出した。何度もそれるがこのことを大前提に話を進めて起きたいので話すぞ? まず君は見たところ人族だ。そしてここは魔族。人族と魔族は何千年も昔からずっと睨み合っている状態にある。もし君が人族の人間達と一緒に暮らしたいと言うならばすぐさま送り届けてやるがどうする?」
少しの間があいて決心した。
「ショノウという名前はアナさんがつけてくれた名前。だから僕はここに残ります」
「アナがつけたのか! ハハハハハ!わかったわかった。では君を魔族として認めることにするが良いな?」
アナとどういう関係にあるのか気になったが考えても仕方の無いことなので一先ず置いておく。後でアナに聞いたらいいのだから。
「お願いします」
「よし、契約というのがあるがそれはあとでしよう。まずは説明だーー」
それからガルディアーナの話が長く続いた。
纏めるとこうだ。
ダールーワと呼ばれるこの世界は7大種族という7つの強い力を持っている種族がいる。
魔族・獣人族・龍族・人族・亜人族・吸血鬼族・魚人族
これらの種族はそれぞれの場所を治めている。魔族だとここ、ラスガリラ。
好戦の魔族も人族はよく戦争するが他の種族は殆ど表へ出てこないらしい。ガルディアーナが言うには7大種族の長で俺が一番強い!ハハハハハ!と言っていたが本当なのだろうか
そしてどんな生物でも魔力というものを持っているらしい。それが体外に出たものをオーラと呼ぶ。
普通はオーラは無色だそうだが7大種族の長はそれぞれ
紫・黄・藍・緑・橙・赤・青と魔族~魚人族の順番の虹色だそうだ。
だからガルディアーナは紫色のローブだったのかと気づいたのもそれを聞いた時だった。
稀に虹色以外のピンクや黄緑などいるそうだが滅多に見ないという。
そして俺のオーラは黒。
滅茶苦茶珍しいらしくなにか良く分からなかったがとにかく凄いらしい。
何度もいうが普通は透明の無色のオーラだ。色が少しでもついている時点でとても珍しいのだ。
とまあ、そんなところだ。
何とオレにはすごい魔力があるらしいので明日またここに来いと言われたのだが大丈夫だろうか…
気が重くなりつつゆっくりとベッドのある部屋に戻り意識を閉じたーー
「あ、ごめんねショノウ君。ちょっと早かったね」
スピードを少し緩めてショノウと横並びで歩く。
先程まで寝ていた部屋と全く同じ全面白いタイルで異質な雰囲気だった。そして歩くとコツコツと足音が遠くまで響く。
「もう少しでつくからね」
そう言って間もなく今まで人が4人分同時に通れるくらいの大きさ(それでも大きいが)の廊下を歩いていたのが急に開けた部屋にでる。
扉など通ってもいないのに不思議と開けた場所に出たのだ。
「不思議でしょ?」
自分は知っているとばかりのドヤ顔でこちらの顔を微笑みながら見る。
「うん」
愛想ない返事をして説明なんて入らないよとこちらも返すが…
「ここはね、凄いベールで錯視されているようになっているんだ。普通の人は入れないようにね」
「へ、へぇ」
説明も求めていないのに説明されて相槌をうつ。要は『普通じゃない人』なら入れるということなのだ。
「だからね、王様を見たことがある人も少ないんだよ?」
なるほど~とコクコクと頷く。
そして歩き進めていくと大きな玉座に腰掛けている人物がいた。
一目見てすぐにわかる、王様だと。
短髪で切りそろえられた髪の毛に全身紫色っぽいローブを着て骸骨のような杖を握っている。
「ようこそ、魔王城ラスガリラへ!」
「は、はぁ」
「どうやら戸惑っているらしいな。まあそれもそうだろう。実際には城のことではなくこの地域のことをラスガリラと呼ぶんだがどうもそのへんが異種族には理解してもらえなくてな~」
溜息をついた王様はどうやら魔王だったらしい。
「ところで君の名前はなんというのだ?」
ドキッとする。先程アナに名付けられた名前を名前としても良いのかと。
しかし、折角つけてもらった名前だからこれからもそうしようーー
「ショノウ。ショノウです」
「そうか、ショノウか。ではショノウ改めてよろしく」
「よ、宜しくお願いします」
魔王と喋っているのだ。多少なりとも緊張はする。
「では質問を一つだけいいかな? 君はドリールドで何をしていた?」
またもやドキッとする質問だ。記憶を失っていたということを正直に話すべきかーー
ちらっと魔王の目をみると何もかも見透かれそうな紫色の瞳がジッとこちらを見ている。
そこで決心した
「ドリールドという場所は聞いたことがないですが、僕は記憶を失って彷徨っていただけです。信じてもらえないかもしれませんが」
「記憶…記憶か。ハハハハハ!信じる! 信じるぞ」
どこか思い出そうとして上の方を見上げる魔王は急に笑い出した。
どうしてそうも簡単に信じてもらえたのかはよく分からないが。
「そこで彷徨っていた君は意識を失ったんだね?」
大きく首を縦にふる。
「ではその後の事を説明しようか。まずこれ」
魔王が片手で自分が仕留めた熊の顔面を掴んで掲げている。
「これはな、爪熊といって熊の中でもかなり凶暴な熊なのだよ。これを仕留めたのは君であるな?」
「はい」
「この爪熊は屈強な人間の冒険者10人でも恐らく壊滅されるであろう動物なのだよ。まあ冒険者の強さがイマイチ分からないと思うが、強い部類の動物を君は倒したということなのだ」
(それってすごいのかな)
「そしてこれ」
今度はその熊を倒した時に使った木を掲げる。
「これはヤヌスガエラと言って私も何100年か前に1度だけ見たことがあるくらい貴重な代物なのだぞ? 現にこの杖はヤヌスガエラだし。どこで見つけたのだ?」
(これもすごいの!?)
「あの…なんか拾いました」
「何たる幸運の持ち主だ! これを1日預からせてもらっても良いか?」
「どうぞどうぞ」
「ありがとう。では君は記憶を失っているということなのでこの世界の説明でもザッとしようか。そうそう、君の名前だけ聞いて忘れておった。私の名前は魔王ガルディアーナだ。さん付けなどいらぬ。ガルディアーナと呼んでくれ」
「わかったガルディアーナ!」
微笑みで返事を返す。
「また思い出した。何度もそれるがこのことを大前提に話を進めて起きたいので話すぞ? まず君は見たところ人族だ。そしてここは魔族。人族と魔族は何千年も昔からずっと睨み合っている状態にある。もし君が人族の人間達と一緒に暮らしたいと言うならばすぐさま送り届けてやるがどうする?」
少しの間があいて決心した。
「ショノウという名前はアナさんがつけてくれた名前。だから僕はここに残ります」
「アナがつけたのか! ハハハハハ!わかったわかった。では君を魔族として認めることにするが良いな?」
アナとどういう関係にあるのか気になったが考えても仕方の無いことなので一先ず置いておく。後でアナに聞いたらいいのだから。
「お願いします」
「よし、契約というのがあるがそれはあとでしよう。まずは説明だーー」
それからガルディアーナの話が長く続いた。
纏めるとこうだ。
ダールーワと呼ばれるこの世界は7大種族という7つの強い力を持っている種族がいる。
魔族・獣人族・龍族・人族・亜人族・吸血鬼族・魚人族
これらの種族はそれぞれの場所を治めている。魔族だとここ、ラスガリラ。
好戦の魔族も人族はよく戦争するが他の種族は殆ど表へ出てこないらしい。ガルディアーナが言うには7大種族の長で俺が一番強い!ハハハハハ!と言っていたが本当なのだろうか
そしてどんな生物でも魔力というものを持っているらしい。それが体外に出たものをオーラと呼ぶ。
普通はオーラは無色だそうだが7大種族の長はそれぞれ
紫・黄・藍・緑・橙・赤・青と魔族~魚人族の順番の虹色だそうだ。
だからガルディアーナは紫色のローブだったのかと気づいたのもそれを聞いた時だった。
稀に虹色以外のピンクや黄緑などいるそうだが滅多に見ないという。
そして俺のオーラは黒。
滅茶苦茶珍しいらしくなにか良く分からなかったがとにかく凄いらしい。
何度もいうが普通は透明の無色のオーラだ。色が少しでもついている時点でとても珍しいのだ。
とまあ、そんなところだ。
何とオレにはすごい魔力があるらしいので明日またここに来いと言われたのだが大丈夫だろうか…
気が重くなりつつゆっくりとベッドのある部屋に戻り意識を閉じたーー
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